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【江連忠のPROJECT E】Vol.251 中村寅吉「自分の体を完全にコントロールしていた」

片山晋呉や上田桃子など、数多くのトッププロを世に送り出してきた江連忠が、自身の経験をもとに、レジェンドのスウィングに宿った“本質”を語る!

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Blue Sky Photos、GD写真部 THANKS/オーシャンリンクス宮古島

前回のお話はこちら


●今月のレジェンド●

中村寅吉

1915年生まれ、神奈川県出身。レギュラーツアー51勝、シニアツアー16勝。1957年のカナダカップ優勝は日本で初めてテレビ中継され、国中を沸かす一大事となった


小柄でも飛ばしたい人は
参考にするべき打ち方

カナダカップの優勝で日本にゴルフブームをもたらしたことは有名ですが、それ以外にも樋口久子さんを育てたことや、女子プロゴルフ協会の創設など、中村寅吉さんのゴルフ界への貢献度は計り知れません。

身長158センチと小柄ながらその体を目いっぱい使い切って、当時の重いクラブを使いこなして世界と戦ったことも多くの日本人に夢を与えました。

現代は道具が進化しているので、スウィングは「無駄を省く」ということが重要視されていますが、寅吉さんは「自分の体をコントロールして使い切る」ことを体現していました。


バックスウィングでは頭が大きく動く横振りで体を回し切っていますが、インパクトはしっかり正面で球をとらえています。これはトップで打ち急がずに待てる余裕があったからこそ、大きく動いても元の位置に戻れているのです。

しかも正面で打とうとすると体が止まって手打ちになりやすいものですが、寅吉さんは体を使い切りながら正面で打っているところが素晴らしいと思います。

捻転差を作らずに右を向けば大きく回れる

上半身と下半身に捻転差を作らずに、全身で回る「ドアスウィング」のトップ。クラブの位置はコンパクトでも体が回っていればパワーは出せるので、体が硬くなったシニア層は真似するべき

中村寅吉の系譜を継ぐのはこの選手

ミンジー・リー

体をコントロールして正面で打つ
無駄を省いた現代流のスウィングではあるが、自分の体をコントロール下に置いている雰囲気が寅吉さんを彷彿とさせる。トップに間があり正面でインパクトしている部分も共通項といえる

江連忠

江連忠

1968年生まれ。東京都出身。高校を卒業して渡米し、ミニツアーを転戦しながらジム・マクリーンに師事したのち帰国。日本のプロコーチ第一人者となり、片山晋呉や上田桃子を賞金王に育て上げた

月刊ゴルフダイジェスト2024年9月号より