Dr.クォンの反力打法 Vol.40 飛ばなくなったと感じたら「アームスウィング」を疑おう
学会のため来日したクォン教授。忙しい時間の合間を縫って2人のアマチュアに緊急レッスンを敢行。その模様をレポート。
【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる
【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家
吉田 今回は、教授の来日に合わせて、2人のアマチュアゴルファーに来ていただきました。勝目禎子さんと綿貫吉直さんです。
クォン はじめまして。
勝目&綿貫 よろしくお願いします!
クォン ではレディファーストで、勝目さんのスウィングから見させてもらおう。
吉田 勝目さんは競技志向の50代でHC10.4。ドライバーの飛距離は170~180ヤードす。
勝目 もう少し飛べばラクになるんですけど……。
クォン ふむ。背も高いし、スウィングも悪くない。もっと飛ばせるポテンシャルは十分にあるね。ちょっとこれを付けて振ってみてほしい。
勝目 これはなんですか?
クォン この器械をネックに付けて振ると、あるスピードに達したときにライトが点灯するんだ。
勝目 ブン、ブン……なかなか点かないですね。
クォン もっと、もっと速く!
勝目 ブン! ブン‼ あ、点きました。
クォン うん。最後のスウィングはしっかり体を使えていたね。
吉田 体を使う?
クォン 勝目さんはアームスウィング(=手打ち)の傾向が強い。でも手打ちだと、うまくヘッドを加速することができないから、ライトを点けようとすることで、自然と体を使って振るようになるんだ。
吉田 手打ちというのは、どこで判断したんですか?
クォン 彼女は一見トップが深いように見えるが、実際には肩が十分に回っておらず、トップで左ひじが曲がっている。つまり、肩の回転を腕で補っているわけだ。
吉田 たしかに腕で上げると、腕で下ろすスウィングになりやすいですね。
クォン そうすると、上半身の動きと下半身の動きが上手く連動しない。まず足が動き、続いて腰、肩、腕……と下半身から順序よく動くことで、最後にクラブヘッドが勢いよく加速してくれるわけだ。
吉田 それにはどこを直せばいいのでしょう。
クォン まず、トップは無理に大きくしなくていい。肩さえしっかり回せば、左腕が地面と平行になるぐらいの高さで十分。
吉田 運動の順序を覚えるいい練習法はありますか?
クォン 以前、紹介したロープスウィングが効果的だね。ほかにも家でできる簡単なドリルがあるから、次回紹介しよう。
Dr. クォン&吉田洋一郎
『驚異の反力打法』
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