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【クラチャンと回ろう】館山CC・佐野充成さん<後編>『とんぼ』みたいに“風と遊ぶ感覚”でプレーしています

全国のクラチャン(クラブチャンピオン)にゴルフ上達の極意を学ぶ「クラチャンと回ろう」。前編につづき、館山CCのクラブチャンピオン・佐野充成さんのゴルフ上達法に迫っていく。

TEXT/Kenji Oba PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/館山CC
※佐野さんにはボランティアとして登場していただきました

佐野 充成さん 館山CC・令和5年クラブチャンピオン(51歳・ゴルフ歴17年・ドライバー飛距離270Y・メンバー歴16年)

>>前編はこちら

ピンフラッグの
はためきは”喜び”

週刊ゴルフダイジェスト連載の『オーイ! とんぼ』は、佐野さんの愛読書のひとつでもある。

「風は空中のハザードと言いますが、とんぼの“風と遊ぶ感覚”は館山のゴルフに通じます。確かに海風は重いし気まぐれで、気を抜くと2ホールも向こうに流されてしまいます(笑)。でも、それもゴルフだし、ゴルフの奥の深さではないでしょうか」

130Yの打ち上げをPWで右からの強風に乗せてベタピン!

佐野さんは、普段届かない距離でも、風を使って飛距離を伸ばしたりするなど、風とのゴルフを楽しんでいる。このショットは右手前からの海風を利用してベタピンに寄せてみせた。まさに「とんぼ」のようなゴルフだ

©かわさき健・古沢優/ゴルフダイジェスト社

ビックリさせられるのが、佐野さんのローボールだ。風に負けない低いボールはシーサイドコースでは鉄則だが、大げさではなく時に自分の身長の高さくらいに抑えたボールを打っていく。それもキャリー&ランで250ヤード。打ち方は前項でも紹介した父の教え「右手を静かに使え」である。


「要は右手首の角度を最後まで変えるな、ということです。この角度によって高さをコントロールします。加えてボールがつかまらないと重い海風に負けてしまいますから、手首を返さずにドローボールを打つようにしています」

かなり難易度の高い技術だが、「すべてのショットはインパクトから作っていく」のも父の教えだ。

高さ1mのローボールで250Y“転がし飛ばす”!

「目線の高さより低く」という意識で低く抑えて打つプロはいるが、佐野さんの場合、実際に目線の高さを越えないローボール

ローボール右足寄り「右手を長く押す!」
ハイボールはボール1個左「やや右足体重です」

他のコースではハイボールも打つ佐野さん。ローボールはボールを右寄りに置き、右手で長く押していくのに対し、ハイボールはボールを左めに置き、右体重でキャリーを稼ぐ

アプローチは“インパクトの強さ”で打ち分ける

左手甲で押していく

左手甲とフェース面を同調させる。そのためアプローチは左手甲を返さない。押しの加減によって、様々なボールを打ち分ける

ピッチ&ラン=静かなインパクト

ピッチ&ランは、やさしく静かなインパクト。どちらかといえば、パターの打ち方に近い

スピンアプローチ=強めのインパクト

スピンをかけてキュッと止めたい時は、小さなフォローでやや強めのインパクト。緩みは禁物

高麗グリーンは
「強く」ではなく「芯で」打つ

「館山CCのもうひとつの特徴が、1年を通じて3倍くらい速さの変わる高麗芝の1グリーンです。夏の上りの逆目なら4〜5フィート、冬の下りの順目なら13〜14フィート。冗談ではなく昔は10メートルのパットが5メートル残ることもあれば、ボールがグリーンから転がり出ることもしばしばでした(笑)」

この難グリーンも、10歳の時に聞いた父の言葉で克服した。いわく、

「ボールは強く打つんじゃない。芯で打つんだ」。多くのゴルファーが芯で打てないのは、そこに緩みがあるからでもある。ちなみにパットやアプローチは手を緩ませないが、ショットはお尻の穴を緩ませない。これは23歳の息子に伝える極意だろうか?

パターの芯でボールの芯を“打ち抜く”。高麗芝に負けない強い転がりは、強さではなく、芯で芯を打ち抜けるかどうか

お尻の穴はいつもギュッと締めています

股関節より「お尻の穴」を意識しているという佐野さん。ギュッと“穴”を締めないとボールは飛ばないという

毎日コツコツ!
佐野さんの家練メニュー

家練1
素振り棒でヘッドスピードアップ

強く、速く振るのではなく、素振り棒の重さを感じながら素振りする。ヘッドスピードをアップさせるには、重さがキーワード。連続で素振りするのも効果的な練習だ

家練2
体重移動がしやすくなるストレッチ

特に股関節、肩関節の可動域を広げるためのストレッチ。前屈運動を多めにしているのは、スウィングの動きを意識してのもの。健康のためにも必須の練習

家練3
キャリー1mアプローチ

小さな動きは、すべてのショットの基本になる。最小限の動きでボールに最大限のエネルギーを伝えるコツが身につく。同時にボールコンタクトの感覚が磨かれる

佐野さんの14本セッティング

月刊ゴルフダイジェスト2024年7月号より