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【ゴルフの急所】Vol.40 結果を求めるなら“できることだけをやる”

30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。

PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/美奈木ゴルフ倶楽部

前回のお話はこちら

競技に出ていると、流れをつかめず平凡なスコアで終わる、いい流れで来ていても終盤に崩れるなどの経験をします。序盤でいい流れを作り、その流れを離さない。そのために、寺西プロが心がけていることがあれば、お聞かせください(横浜高尚さん・HC8・会社員)


質問者のお手紙には、「気合を入れすぎて序盤で叩いた」「慎重にいきすぎてボギーが先行した」「いいスコアで来ても終盤守り切れなかった」など、競技のなかで流れをつかめなかった経験が具体的につづられていました。そういう失敗を防ぐにはどうしたらいいかが、今回のテーマです。

ただ、この質問に対して、「こうすれば絶対に成功する」という答えはありません。ですから、今回は、ボクが流れをつかむために何を心がけ、何を意識しているのかをお話ししたいと思います。

まずボクは、朝の練習場で自分の体が思い通りに動くかどうかをチェックします。そこで体調がよく、気持ちが乗っていれば、「今日はアンダーパーでいけそうだ」。体の一部が痛かったり、疲れていたりして思うように動けなければ、「72で回れたらいいかな」などと感じ取るのです。

ボクは、ある意味この時点でその日のスコアは決まっているような気がしています。ボクの経験から言って、常にそこで感じたスコアに近い結果になるからです。

ただし、これはあくまでショットの話。調子が悪く、74になりそうなショットばかりでも、アプローチやパターがよければ71~72になることはあります。だから、体が動かないからといって諦めることはありません。あくまで、その日の調子を見極め、それを受け入れる確認作業をするのです。


朝の練習場で、その日の球筋をチェックする人もいますが、私はその考えに反対です。練習場とコースでは、ボールも景色も気持ちも違う。そこで出る球はまったくの別物だからです。

ですから、練習場ではウォーミングアップと体の調子を知ることに努め、球筋のチェックは1番ホールで行います。普段のリズムとテンポ、8割程度の力感を心がけて球を打ち、自分のイメージした高さ、打ち出し方向、曲がり幅と、実際の球筋がどう違うかをチェックするのです。

同様に、アイアン、アプローチ、パットなども1番ホール、遅くても2番ホールまでには、その日の調子や傾向をチェックします。たとえば、少し引っかかりやすいとか、思ったよりもタッチが強く出ているなどのチェックを、なるべく早めに済ませておくのです。

これらの確認作業を済ませたら、その日の調子とその日の球でプレーします。調子がよかったら、いつもどおりに。調子が悪かったら100パーセントでは振らないし、いつもより曲がり幅が大きければ、その球で目標を狙っていくのです。

ここでやってはいけないのは、球筋を修正することです。「つかまりすぎだから逃がそう」「コスれているからつかまえよう」などとやれば、右のミスも左のミスも出てしまいます。それでは流れもスコアも作れません。朝の練習やラウンド中にスウィングを直そうとしても間に合わない。その行為が流れを失わせるのです。

とにかく、1番ホールは確認作業に徹し、そこからは、その日そのとき、自分が確実にできるショット、アプローチ、パットを選んでプレーをする。それが序盤で流れをつかむことにつながると、ボクは考えています。

自分の決め事を
徹底してやり切る

中盤に関しては、朝に出た球を自分の持ち球に近づけられるか否かがテーマになります。繰り返しますが、これはスウィングを修正するという意味ではありません。球筋を直そうとしなくても、普段どおりのリズム、テンポを心がけてプレーし、体が温まってくれば、自分の持ち球に近づいてくることはあります。そうなれば持ち球でプレーすればいいし、そうでなければ我慢のプレーを続けていく、ということです。

また、序盤から中盤にかけては、目の前の1打1打を、自分が決めたマネジメントでやり切ることも大切です。たとえば、ティーショットはグリーンを狙いやすいサイドに置く。1打を失うようなラフ、バンカー、池、崖などは避ける。ピンをオーバーさせない(下りのパットやアプローチを残さない)。ピンサイドには外さない(ピンが右のときに右、左のときに左に外さない)などの決め事を徹底して行うのです。

それができれば、自然にいい流れ、リズムが出来上がり、前向きな気持ちでプレーができるようになります。あとは、ここまでやってきたプレーを終盤まで続けていけば、流れを手放すこともないでしょう。

できることだけをやる
それが一番大事

ボクは、常々、ゴルフをなめてはいけないと考えています。調子が悪いのに、いつものように飛ばそうとする、いい球を打とうとする。成功する確率が低いショットを、イチかバチか打ってミスをする。それは、自分を過信した運任せのプレーと言えます。

もちろん、それで上手くいくこともあるでしょう。それがゴルフの醍醐味だと言われたら、そうかもしれません。でも、そうやってゴルフをなめていると必ず痛い目に遭います。そういうプレーが流れを失わせるのです。

とにかく大事なのは、できることだけをやる、ということです。自分が確実にできるショットを選択し、それを淡々と続けていく。流れをつかむにはそれが大事で、それしかないと、ボクは思います。

もちろん、ここに書かれたことをやろうとしても上手くいかない日もあります。ショットの調子はプロでも日替わりで、調子が悪すぎて、どうにもならないこともある。さらに、ゴルフは自然を相手にする競技なので、どんなに調子がよくたって、思い通りにいくとは限らないからです。

だから、これは絶対の答えではありません。それでも、競技に向き合い、よりよい結果を目指す人には、きっと役に立つはずなので、試してもらえたらと思うのです。

寺西プロが実践している
「流れの作り方」

【 1 】朝の練習場

ウォーミングアップと、その日の体調を確認する作業に徹する。体調がよければ、いつもどおりに。よくないときは力まず、振りすぎず、悪いなりのスウィングを心がける

【 2 】1~2番ホール

その日の自分の球筋、アイアンショット、アプローチ、パターの傾向を確認する。その作業を済ませたら、球が曲がっていてもスウィングを直そうとせず、その日に出る球で目標を狙い、自分が確実にできるショットだけを選択していく

【 3 】序盤~中盤

自分の決めたマネジメントをやり切る。とくに、ピンをオーバーさせないこと、ピンサイドに外さないことは徹底してプレーする

自分を過信した運任せのプレーは避けよう

調子が悪いときに、いいときと同じショットを求める。飛ばそうとする。または、できる確率の低いショットを選んでプレーをする。それは「ゴルフをなめた」行為と言える。その選択がミスを呼び、流れを失わせるのだ

月刊ゴルフダイジェスト2023年7月号より

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