Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • レッスン
  • 【浦ゼミナール】Vol.50  スライスなのに低い球、フックなのに高い球…「セオリーと逆の球が出る」ならクラブを見直そう!

【浦ゼミナール】Vol.50  スライスなのに低い球、フックなのに高い球…「セオリーと逆の球が出る」ならクラブを見直そう!

身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。スライスやフックなどのミスはクラブで直せるものなのだろうか。スウィングの問題との境界線はどこにあるのか。自分に合ったドライバーの選び方について、さらに突っ込んだ話を聞いた。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー

前回のお話はこちら

浦大輔

浦大輔

うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰

スウィングとクラブ
どちらが問題なのか

――前回、自分に合ったドライバー探しの話をしていただきましたが、僕らアマチュアは、クラブでスウィングの問題点が直らないか、という願望が常にあります。

 そうでしょうね。だからクラブもそういったものが売れる。スライスしないお助けクラブみたいな。普段からほとんど練習しない人やスコアはそこそこでいいですみたいな人は、そういったクラブに助けてもらうことも私は否定しません。ただし、それで救われている間は問題点は解決しないし、絶対に上手くならないってことは覚悟してください。

――絶対にですか?

 そりゃあそうです。本来スライスしか出ないスウィングで真っすぐ飛ばせるクラブは、いいスウィングをしたら左にしか行きません。いいスウィングがミスショットになるクラブを使っていたら、いいスウィングが身につくはずがないんです。でも、ミスがスウィングの問題ではなくクラブの問題ということもあるので、そこは注意が必要です。

――というと?

 インパクトに大きな問題がないのにセオリーと逆のミスが出るクラブを使っている人は、クラブを見直すべきです。普通ゴルフクラブは、フェースが開けばロフトが増え、フェースが閉じればロフトが立つので、スライスは高い球、フックなら低い球が出るのがセオリーです。なのでミスをしたときに、右に曲がる高い球や左に曲がる低い球が出るのは、ある意味正しいミス。もっとフェースを閉じて打ちましょう、フェースがかぶらないように打ちましょうというシンプルな話。でもミスとして低いスライスが出るクラブや高いフックが出るクラブはそのセオリーが崩れているので、大きな問題がある。多分、スペックが完全に合っていないので、そこは見直すべきです。


――「インパクトに大きな問題がないのに」と前置きしていたのはどういう意味ですか?

 インパクトで手元が本来あるべき位置から大きくズレている人は、スウィングに大きな問題があるのでこのセオリーの範囲外ということ。クラブだけで判断できないので、スウィングも見直さないとダメです。

体の重心と手元の位置をチェック

体の重心位置から手元が大きく外れてインパクトしている人はスウィングを見直すのが先

重心位置の基本を
ベースに考える

――最初の話に戻りますが、やはりクラブでスウィングをよくしようというのは無理ですか?

 クラブでスウィングの問題点が緩和されて弾道がよくなることはあってもスウィング自体がよくなることはありません。そこは勘違いしないでください。まあクラブがあまりにも合っていないせいでスウィングが崩れてしまっているというケースもありますが。弾道はヘッドの重心位置で変わるので、それを活用するのはアリというか、自分に合った重心位置を選ぶことこそがクラブ選びとも言えます。「スライスしないクラブ」なんかもこの延長線上の話で、性能を極端にしてその性能を付与しているんです。前回は重心の高さや深度の話がメインでしたが重心距離も重要。

――具体的にはどう考えればいいのでしょうか?

浦 重心位置がヘッドのヒール側に寄っていれば重心距離は短くなって球はつかまりやすくなり、反対にトウ側に寄っていれば重心距離が長くなってつかまりにくくなる。重心がフェース側に寄って浅くなれば球が上がりにくく、後方に寄って深くなれば上がりやすい。基本中の基本ですが、ちゃんと理解していない人も多いのでここは押さえておいてください。昔からあるヘッドに鉛を貼るチューニングはこの考え方ですからね。

――重心位置はどうやって見分ければいいのでしょうか?

 厳密には重心距離や重心深度が何ミリとかって話になりますが、まずは単純にヘッドをよく見てください。ヘッドのどこにボリュームがあって、どこにウェイトビスがあるか。後ろが長いヘッドは重心が深いですし、ヒール側にもっこりとボリュームがあるヘッドは重心距離が短い。そしてヘッドの見えるところに設置されているウェイトは、そのクラブの性能の象徴です。ヒール側に目立つウェイトビスがあるのは「球がつかまるよ!」とアピールしているんです。とくに同じ系列のモデルを比較してみれば、一目瞭然だと思います。

――なるほど。球がつかまらない人は、ヘッドのヒール側をチェックってことですね。

 デザイン重視であえて隠しているクラブもありますが、基本はそこ。試打してつかまらなかったら、もっとヒールが主張しているクラブを試すという考え方でいいと思います。

ウェイトの位置を見れば特性はひと目でわかる

フェース側に大きなウェイト(画像左)、ヒール側にウェイトビス(画像右)。
同系シリーズのヘッドを見比べてみると特徴がひと目でわかる。ヘッドのどこにボリュームやウェイトがあるか。フェース側にウェイトがあれば低スピンの強い球が打てるが球は上がりにくく、ヒール側や後方にウェイトがあれば球が上がりやすくつかまりがいい

困ったら鉛を貼ってみよう!

重心深度 球が上がりにくければソールの後方、上がりすぎるなら前方に鉛を貼れば重心深度が変わり、球の高さに変化が出る
重心距離 球のつかまりが悪ければソールのヒール側に、つかまりすぎるならトウ側に鉛を貼ることでつかまり具合いが変わる

月刊ゴルフダイジェスト2024年5月号より