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【浦ゼミナール】Vol.49 「上がりやすい」はもはや武器ではない! ドライバーは体重移動のタイプで選ぼう

身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。自らプロデュース・設計したクラブを販売するなどクラブ通であり、クラブへのこだわりも強い浦さんに、ドライバーについて話を聞いた。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー

前回のお話はこちら

浦大輔

浦大輔

うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰

今どきのドライバーは
球が上がるのは当たり前

――前回、シャフトの話が出ましたが、そろそろクラブのことについて話を聞いてみたいです。浦さんはクラブにもかなり造詣が深いですね。

 最近はYoutubeでもクラブの話題が人気なんです。クラブネタは、レッスンよりも再生回数が多くなるんですよ。

――そうなんですか。やっぱりクラブが好きなゴルファーは多いんですね。では、ドライバーに関してお聞きしますが、いいドライバーってどんなドライバーでしょう?

 もちろん飛ぶクラブです。でもスコアのことを考えたら、悪いショットでも80点の球が出てくれるクラブはいいクラブと言えると思います。120点が出なくてもいいけれど、80点から100点の間がコンスタントに出てくれたらすごくラク。

――最新クラブの進化の方向性もそっちですね。アマチュアはどうしても120点を求めがちですが。

 一発の飛びは、もうルール的に限界。だからそこを追求するしかないんです。最近のトレンドという意味では、「球が上がりやすい」というのは、もはやいいクラブの指針から外してもいいかなという気がしています。

――どうしてですか?


 女性や高齢の方は別ですが、一般男性で「球が上がらなくて困る」なんて人はほとんどいなくなっているんです。クラブの性能が進化して、低重心化が進み、平均して球が上がりやすくなった。もちろんパワーのない人がプロモデルの9度とかを使っちゃダメですが、ちゃんとモデルとスペックを選べば、誰でも球を必要十分なだけ上げられるようになったんです。むしろ、やたらと球が上がりやすい設計をすることによるデメリットが、球が上がるメリットを上回り始めているように感じます。

――なるほど。

 打ち出し角を上げるには低重心化が一番有効ですが、低重心化が極端に進むとインパクト効率が落ちます。それよりも深重心のほうがメリットが大きい。低重心のように打点と重心のズレでロフトが増えるのではなく、ヘッド全体の挙動として球が上がりやすいインパクトができる。慣性モーメントも大きくできるので、トレンドはこっちですね。

球を上げたいなら
深重心ヘッドがいい

――つまり深重心のクラブがいいクラブだということですか?

 そういうわけではありません。いままでは球が上がりやすいクラブを求めるなら低重心のものを選ぶというイメージでしたが、いまは自分のスウィングに合わせて重心の深さを選ぶという考えがマッチするだろうということです。ローリー・マキロイが新しいドライバー「Qi10」シリーズのなかで、浅重心・低スピンの「LS」ではなく深重心・大慣性モーメントの「MAX」にしたという話を聞きましたが、これがそのいい例だと思います。

――マキロイのパワーなら球が上げられるので浅重心の「LS」が合うはずじゃないんですか?

 実はマキロイは、インパクトでハンドファーストにしてロフトを立てつつ、長いインパクトゾーンでボールをレベルにとらえているんです。だから「LS」の9度じゃ球が上がらない。

――ということは、ロフトを立てて打つ人は深重心、インパクトでロフトが増えて当たる人は浅重心がいいということでしょうか。

 ある程度はそうとも言えますが、細かく言うとスウィング中の体の重心の動かし方のタイプによります。マキロイは、アドレスからあまり右に動かずその場でバックスウィングし、ダウンスウィング以降で重心を左にスライドさせて打っています。こういう中→左の動きで球を打てる人は深重心が合います。ちなみにこれは、上体だけが左に流れてしまう「突っ込み」ではなく、軸を傾けずにスライドさせる高等技術。彼はニーアクションでこの動きを作っていますが、強い筋力が必要な動きです。反対にバックスウィングで右に動いてそのまま右で打つ人は球が上がりやすいので浅重心のヘッドのほうがいいでしょう。

――スウィングタイプによって、重心の高さではなく深さを選ぶということですね。

 そうです。できれば一度正面からスウィング動画を撮るなどして、チェックしてみてください。もちろん重心だけでなく、ロフトやシャフトなども考慮してのクラブ選びですが、ひとつの指針として考慮すべきだと思います。

自分のスウィングタイプで適正重心位置を知ろう

●中→左で打つ人は
「深重心の上がりやすいクラブ」

●中→中で打つ人は
「極端でなければ幅広くOK」

●中→右で打つ人は
「上がりにくい浅重心のクラブ」

「動き過ぎる」人はスウィングに問題アリ
スウィング中の重心移動は「1コマ」までが基本。右に大きく動きすぎるとセンターに戻り切れなかったり、反動で左に大きく動きすぎるなどの弊害が出て再現性が低下する。また、バックスウィングで左に動いてしまうのもNG。多くの場合、逆体重になる

右に2コマ動いてしまうと、スウェイやあおり打ちになりやすい

バックスウィングで左に動くとダウンスウィングで右に動いて逆体重になる

月刊ゴルフダイジェスト2024年4月号より