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【浦ゼミナール】Vol.48  シャフトの正しい「しならせ方」を覚えよう

身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。シャフト選びは重要だと誰もが言うが、シャフトの違いはなかなかわかりにくい。自分に合ったシャフトを見つけるコツとシャフトの力を引き出して飛ばす切り返しのコツを教わった。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroyuki Tanaka THANKS/√dゴルフアカデミー

前回のお話はこちら

浦大輔

浦大輔

うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰

切り返しでシャフトに
負荷をかけられるか

――前回、スウィングリズムの話をお聞きしましたが、スウィングリズムが速い人と遅い人とでは、合うシャフトに違いがあるんじゃないですか?

 そういうイメージを持つ人は多いんですが、実は直接的にはあまり関係ありません。せっかくなのでシャフトの話をしますと、シャフト選びの際には、まず自分がシャフトをしならせることができるかどうかを判断することがとても重要です。

――普通に振ればシャフトはしなるものではないんですか?

 そういう意味では確かに振るだけでしなりますが、そうではなくて、切り返しでシャフトに負荷をかけて積極的にしならせることができるかどうか。これでキックポイントの相性がだいたい決まります。しならせることができる人は手元調子系のシャフトが、しならせられない人は先調子系のシャフトが合いやすいと考えていいでしょう。

――これがキックポイントの基準になるんですね。

 あくまでベースとしてですが。フレックスが硬くなると先調子でも手元系と似た感じになるので、手元調子のSが合う人が先調子を使いたいならXにするというようなアレンジはできます。

――これはウッド系のシャフトの話ですか? アイアンのシャフトに関してはどうでしょう。


浦 基本的にはドライバーと傾向の似たものが合いやすいですが、アイアンシャフトはキックポイントではなく、球が上がるシャフトか上がりにくいシャフトかという基準のほうが判断しやすいです。
球が上がりやすい「KBSツアー」や「ダイナミックゴールドSL」などは先調子が合う人に向いていますし、球が上がりにくい「プロジェクトX」や「KBSツアーCテーパー」「ダイナミックゴールド」などは手元調子が合う人に向いています。

――球が上がりやすいシャフト、上がりにくいシャフトの差は何が影響するのでしょうか。

 重さと硬さですね。軟らかいシャフトのほうが球が上がりやすく、同じ硬さなら重いほうが軟らかく感じやすい。これも、相互に関係する相対的な話です。

ウッドはキックポイント
アイアンは重さ・硬さが大事

ドライバーのシャフトはキックポイントを基準に選ぶ。シャフトに負荷をかけられる人は手元調子が合いやすい。アイアンのシャフトは重さと硬さを基準に選んでいく。手元調子が合う人は、硬め、軽めで球が上がりにくいものが合う

シャフトをしならせる
コツを知っておこう

――シャフトに負荷をかけられるスウィング、かけられないスウィングはどう違うのでしょうか?

 切り返し方の違いです。バックスウィングからダウンスウィングへと動きが方向転換する際に、一瞬無重力になるようなフワリとした静かな動きだとシャフトに大きな負荷がかかりません。松山英樹選手のようなイメージですね。反対に、ギュギュッとスピーディで急激な方向転換をする切り返しはシャフトに負荷がかかって大きくしなります。キャメロン・チャンプ選手などが代表格でしょうか。

――どちらがいいスウィングというのはありますか?

 飛ばすためには負荷をかけるスウィングのほうが断然有利です。負荷をかけないほうがシャフトが暴れず精度や方向性は出しやすいですが、ドライバーがキャリーで240ヤード未満のパワーの人が普段からあえて負荷をかけないように振るメリットはほとんどありません。体格や運動神経に自信があって飛距離で困っていない人が、シャフトの力を借りずに身体能力で飛ばして、そのうえで精度を重視したいなら、負荷をかけないスウィングにもメリットが生じてきます。

――なるほど。では普通のアマチュアで負荷をかけられない人はどうすればいいのでしょうか。

 シャフトに負荷をかけるのもかけないのも、コツがあります。負荷をかけられない人はかけ方を知れば飛距離アップに有効ですし、普通に振って負荷がかかるタイプの人も、意図して負荷をかけないスウィングができないと、ショットの精度が求められる場面で困ります。

――そのコツはどうすれば体得できるのでしょうか?

 まず負荷をかけるコツですが、バックスウィングを最大速度で上げて、ヘッドが最大位置に行き切る前にバックスウィングにブレーキをかけ、それと同時に下半身を使ってダウンスウィングに移行することで体感できます。この感覚を取り入れれば、シャフトをしならせてその力を利用して飛ばせます。
反対にシャフトをしならせないように切り返すには、切り返しで一瞬エネルギーゼロの状態を作るイメージ。バックスイングで上がったクラブが、重力で落ちてくるのを待つ感覚です。グリップも強く握らず支えているだけで切り返せれば、シャフトはしなりません。

シャフトに負荷をかける方法

STEP 1
とにかく速く上げる

自分にできる最速のスピードでバックスウィング。勢いをつけて一気に振り上げ、クラブに引っ張られて背中にヘッドが当たる最大点まで行かせよう


STEP 2
クラブを止めつつ下半身を踏み込む

同じ感覚でバックスウィングを始めるが、最大点に行きつく前にバックスウィングを止めると同時に、下半身の踏み込みでダウンスウィングを開始。この瞬間、シャフトがしなるのがわかるはずだ

負荷をかけない振り方は?

トップで一瞬クラブの重さが消え、その後重力でクラブが落ちてくるのを待ってダウンスウィングを開始すればシャフトはあまりしならない。グリップは強く握らずクラブを支えているだけ

月刊ゴルフダイジェスト2024年3月号より