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【浦ゼミナール】Vol.47 自分にあった“リズム”とは?

身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。スウィングはリズムが大事だとはよく言われるが、リズムとは何かをきちんと説明することは意外と難しい。リズムの正体、いいリズムを身につける方法を教わった

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroyuki Tanaka THANKS/√dゴルフアカデミー

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浦大輔

浦大輔

うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰

リズムとは始動から
フィニッシュまでの時間

――今回はスウィングの「リズム」についてお聞きしたいんですが、リズムは大事って言うプロは多いですよね。やはり浦さんもリズムを重要視しているんですか?

 もちろんリズムは大事です。でも世の中ではミスしたときの「逃げ口上」に使われがちで、何もかもリズムのせいにしすぎているんじゃないのっていう気はします。ミスの原因をちゃんと見ずに「いまのは速かったよね」って、安易にリズムに責任転嫁してしまう。普段のスウィングもその人のリズムもちゃんと知っていて、さらにスウィングの意図も理解したうえで言っているとは思えないケースが多すぎます。

――確かに、そういう側面はあるかもしれません。

 プレーヤーそれぞれに「自分に合ったいいリズム」はあって、これをちゃんと把握してコントロールできれば確実に成果は出ます。実際、私が教えている(平井)亜美も、プロテストに通った好調時はリズムを整える練習をすごく入念にやっていたんです。でも試合に出られるようになってそういう基礎に手が回らなくなって、調子が落ちています。でもなかなか繊細で難しいことなので、普通のアマチュアにはあまりおすすめできないテーマでもあるんですよね。

――そもそもリズムって、何なんでしょうか?

 単純に言えば、1スウィングにかける時間と考えるとわかりやすいかもしれません。テークバックでヘッドが動き始めてからフィニッシュで止まるまでの時間を、4拍子か3拍子に当てはめて考える。


たとえばいまの私の場合、4拍子で122BPMです。BPMは「Beats Per Minute」のことで、1分間に何拍するかを示す単位。数字が大きいほうが速いことを示し、私の122というのは結構速いほうです。自分にとって心地よく、スムーズに振れるBPMを知ることがリズムの話をするうえでの大前提で、これはドライバーからパターまでどんなクラブでも同じなんです。だから長いクラブほど速く振る、短いクラブほどゆっくり振ることによって、全部そろっていることが大事です。

――3拍か4拍かというのは?

 実はあまり関係なくて、自分のイメージしやすいほうでいいと思いますが、4拍で語られることのほうが多いですね。間の拍も関係なくて、4拍だから「イチ」が始動で「ニ」がトップなどということはなく、「イチ」で始動して「シ」でフィニッシュに収まっていればOKです。

ヘッドが動いて止まるまでの「時間」がリズムの正体

スウィングリズムの正体は、バックスウィングの始動でヘッドが動き始めてからフィニッシュで止まるまでにかかる時間を3拍もしくは4拍に当てはめたもので、BPMで表す。人それぞれ、自分にとって振りやすいリズムがあり全番手で共通するという

リズムはパターでも同じ。打つ距離=振り幅が変っても、始動からフィニッシュまでの時間は同じになるのが理想

カウントスタートは、体が動いた瞬間ではなくヘッドが動いた瞬間から

メトロノームで
自分のリズムを計ろう

――自分のBPMはどうやって把握すればいいのでしょうか?

 こればかりはメトロノームを使うしかありません。いまはスマホの無料アプリがいろいろあるので、それを使うといいと思います。ただし自分でスウィングしながらではわかりにくいし、聞こえてくるメトロノームの音に動きを合わせてしまったりもするので、できれば好調時のナイスショットのスウィングを動画で撮っておいて、それをメトロノームに合わせてチェックするのがおすすめです。これを後日、調子がいいときにまたやってみて、平均値を取ってください。

――このBPMが全番手のスウィングでそろえばいいんですね?

 全番手のスウィングどころか、歩くスピードやアドレスでボールに入るときの動き、グローブを外す動作、さらには呼吸のリズムまで、全部にこのBPMが通底しているのが理想です。

基準のリズムがあればコントロールもできる

自分の基準となるリズムを知っていれば、打ちたい球によってそれを加減することもできる。飛ばしたいときはリズムを速く、ゆっくり振ってふわりとした球が打ちたければリズムを遅くする。やわらかい球で寄せるアプローチを打つ際は、セットアップの動きもゆっくりのリズムにする

――メトロノームを聞いて練習するのがいいんでしょうか?

 慣れるまではそういう練習は必要だと思いますし、調子が悪いときなどにそうやってリズムをリセットすることも有効でしょう。自分のBPMと同じテンポの曲を見つけておいて、それを聞きながら練習したり、普段から体に染み込ませておくといいと思います。注意して欲しいのは、このBPMは常に不変というわけではなく、打ちたい球、したいスウィングによってアレンジしたりもします。

――具体的には?

 飛ばしたいときは意識的に速くします。リズムが速くなれば始動からフィニッシュまでの時間が短くなるわけですから、スウィングスピードは上がるので、当然飛ばしやすいスウィングになります。反対にふわっとした球を打ちたいときなどはわざとリズムを遅くします。これも、1スウィングだけ変えるというのは難しいので、ボール地点まで歩くスピードやルーティンの動きなどからスピードコントロールする必要があります。ただし、リズムの変化でトップの深さや切り返しの間まで変わってしまったらミスにつながります。「いまのはリズムが速くなったね」なんて指摘されるのは、リズムが速いことが問題なのではなく、こういう動きの問題なんです。そこを混同しないようにしてください。

音楽を聞きながら練習するのも有効

自分の心地いいBPMと同じリズムの曲を見つけて、それを聞きながら練習するのはいいリズムを身に付けるうえで有効。プロもイヤホンで音楽を聞きながら練習する人は多い

月刊ゴルフダイジェスト2024年2月号より