【ゴルフの急所】Vol.37 ネガティブな自分を直したい
30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。
PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/六甲国際GC
私は、いいスコアが続くと「そろそろミスが出そうだ」と思ってミスをするし、悪いスコアが続くと「今日はダメだ」と思って、ずるずるとスコアを崩してしまいます。こんなネガティブな私が、スコアを伸ばすためにはどうしたらいいのでしょう?(大森純也さん・45歳・HC19)
バーディが続けば、そろそろボギーが出そうだと考える。悪いスコアが続けばくじけそうになる。それは人間であれば普通のことだと思います。ボクもアマチュア時代には同じような経験をしてきましたし、決してあなただけがネガティブなわけではありません。それを理解してもらったうえで、どうしたらそういう場面を乗り越えられるのか、ボクなりの方法をお伝えしたいと思います。
まず、いいスコアが続いている状態というのは、気持ちが変わった(スコアを意識した)瞬間に途切れてしまうものです。これはプロもアマも同じで、質問のケースも同様です。いいスコアが続いていても、「ミスが出そうだ」と思った瞬間、それまでのようなプレーはできなくなってしまうのです。
そんなときボクは、もうひとりの自分と会話をしながら、次の一打に集中するようにしています。
たとえば、「おい、寺西。ミスを意識したんやから、もう同じようなプレーはできへんぞ。一番やったらあかんのは右のOBやから、左のフェアウェイに打っとけ」みたいな感じです。
絶対やってはいけないミスはなんなのか、それを避けるにはどうすべきなのか、どこを狙って、どんな球を打つべきなのか。それに集中することは、ミスに怯える自分を忘れ、前向きなプレーをすることにつながります。そうすることで、それまでと同じとはいかないまでも、そこそこの結果は得られやすくなるのです。
それでもミスが怖い場合は、もうひとりの自分に「それならボギーでもええやん」などと言ってもらえば、心は楽になるし、無理もしなくなるので、大きなミスは避けられるでしょう。
逆に、悪いスコアが続いてくじけそうなときには、もうひとりの自分に「こんな状態から戻ってこられたら(スコアを立て直せたら)カッコええんちゃう?」と、気持ちを震い立たせてもらいます。
もちろん、プロのようにバーディを量産して、スコアを元に戻すのは難しいかもしれません。でも、残りのホールを目標どおりのスコア、ハンディどおりのスコアで回ると決め、それをやり切ることは不可能ではないはずです。
悪い状態から立て直した経験を持っている人は、多少叩いても諦めなくなるし、大きく崩れなくなります。そういう経験の積み重ねが、ゴルフの上達につながっていくのです。
人は反省する生き物。ミスをすると自分を責めたり、ミスの原因を考えたりしやすいのですが、そんな状態のままプレーをすれば、次のミスを呼んでしまいます。反省するのはラウンド後。ラウンド中は、自分で自分の心を奮い立たせ、前向きな気持ちでプレーに集中するように心がけてください。
スコアに翻弄されないコツ
「ラウンド中は自分で自分の心を奮い立たせよう」
●悪いスコアが続いてくじけそうになったら…
「寺西~、そんなところから立て直したらカッコええんちゃう?」(もうひとりの寺西)
●いいスコアが続いていることが怖くなったら…
「おい、寺西! そんな気持ちのままじゃホンマにミスするぞ。次の一打に集中や!」(もうひとりの寺西)
月刊ゴルフダイジェスト2024年3月号より