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【浦ゼミナール】Vol.9「トップの高さ」に正解はある? ポイントは右ひじの位置

身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。今回のテーマは「理想のトップの高さ」。果たしてトップの高さに正解はあるのだろうか?

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroyuki Tanaka THANKS/√dゴルフアカデミー

前回のお話はこちら

浦大輔

浦大輔

うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰

力を出しやすい
ポジションを知ろう

――浦プロ、今日お聞きしたいのは理想のトップの高……

 ハイハイ、トップね。高さは関係ないです。体型によって違いますから。

――最後まで聞くまでもないって感じですか(笑)。

 この質問ホント多いんですよ。トップの位置は、背が高ければ高くなりますし、背が低ければ低くなる。番手が変わればライ角が変わりますから、高さも変わる。だから「この高さ」っていう誰にでも当てはまる決まった位置はないんです。

――なるほど。

 ただし、飛ばしたかったらトップは高いほうがいい。

――え? 本当ですか?

 ゴルフスウィングって、地面にあるボールに対してエネルギーをぶつけていく動作ですから、大きなパワーを出すためには当然助走距離が長いほうがいい。右手でボールを持って地面(アドレス時のボール位置)に叩きつけようとしたら、高い位置に振りかぶるでしょう? これが力が入るポジションですから、ゴルフスウィングの「飛ばせるトップ」もこのポジションがいい。

低いトップはボールに対して力が出せない

右手で持ったボールを地面に強く叩きつけようと思ったら、右腕が縮こまって低い位置に収まる人はいないはずだ

――右手をボール位置からできるだけ遠いところに持ってくる感じですね?

 そうです。ボールを地面に思い切り叩きつけるときの右手の位置に左手を寄せていったポジションが「飛ばせるトップ」。実際は左手はこの右手の位置まで届きませんから、少しだけ低くなりますが。
ただし条件があって、それは手の位置が体の幅から外れないこと。

――体の幅ですか?

 左右の肩幅の間です。手元がこの幅から外れると、力が入らなくなってしまいます。こういうやわらかいボールなんかを両手で挟んでギュッと押し潰そうとしたとき、手元が体の幅にあるときはそれなりに力が入ってボールを潰せるんですが、この幅から外れると急に力が入らなくなります。だからスウィングも手元がこの幅から外れないことが大事なんです。ボ—ル、潰してみてください。

――本当だ! 手が横に外れると急に力が入らなくなります。

 だから本当は、スウィング中の腕の力って、スピードが出て勢いがついても手元がこの体の幅から外れないようにキープするために使うんです。これがわかると、ホント一気に飛距離が伸びますよ。


体の幅から外れない範囲で
ボールから遠くに上げる

右手でボールを持って、地面に思い切り叩きつけようと振りかぶった位置が「飛ばせる」右手の基本ポジション。ここに左手を寄せてトップを作るが左手は右手の位置に届かないので、両手の中間点でクラブを握った位置が「飛ばせるトップ」。ただし、手元が体の幅から外れないことが大事

体を回しても手元が体の幅から外れない範囲なら力を入れやすくボールを潰せる

手元が体の幅の外に外れると力が入らないので腕がブレ、パワーも正確性も低下する

支点となる右ひじを
体から離さない

 で、ここまで説明しておいて何ですが、理想のトップの位置がないというのは嘘です(笑)。

――え? 嘘なんですか?

 誰にでも当てはまる理想の位置がないのは本当ですが、体型によっていちばん安定する位置はあります。それは右ひじと体の関係がアドレス時と変わらないポジション。ちなみにこれは、「飛ばせる位置」よりも低いですよ。

――右ひじですか?

 僕、昔死ぬほど調べたんですよ。トッププレーヤーのアドレス時と喉仏と地面との距離とか、右ひじと地面との距離とか、股上と地面との距離とか、トップ時のグリップエンドと地面との距離とか。ありとあらゆる高さを。でもトップの高さとの関係性がわからなかった。そして行き着いたのが、上腕と体との距離。トッププレーヤーは、アドレスとトップでこの関係性が崩れないんです。

――どうしてなんでしょう?

 スウィングの支点が右ひじだからです。ここが動きの支点になっているから、ズレちゃいけない。

――右ひじの位置は身長や番手によって変わるから、トップの高さもそれに応じて変わるってことですね。

 そうです。ただし、このポジションをキープするためには、「キープしよう」としてもダメ。バックスウィングの過程で腕やクラブの重さで絶対に何センチか下がります。個人差はありますが、3~5センチ手元を上げるイメージではじめてキープできるということを知っておいてください。

右ひじの位置を保つには3~5センチ上げるつもりでちょうどいい

――なるほど、感覚的には少し手元を上げる意識が必要ってことですね。

 はい。クラブを下から支えるようなテンションと言ったほうが正確かもしれません。ちなみに、トップの高さは。身長171センチの僕の場合、後方から見たときに、9番アイアンで左腕の下側で右肩がちょっと隠れる高さ。ドライバーだとそれより少し低くて右肩が左腕で完全に隠れる高さです。これって撮影するカメラの位置が変わると見え方が変わってしまうので要注意です。後方から撮るときは。つま先のライン真後ろで腰骨の高さから撮ってください。

右ひじと体の距離が保たれているのがいいトップ

スウィング中の右腕の動きは、実は右ひじの屈伸でクラブを担いで下ろすだけ。この動きの支点となる右ひじの位置がアドレスとトップで変わらないことが重要なので、理想のトップも右ひじを支点に考えることが大事だ

右ひじを曲げてクラブを担ぎ体を回して前傾したら理想のトップの完成

長いクラブのほうがトップ位置は低くなる

後方から見たとき、身長171センチの浦プロの場合は9番アイアンで左腕の下側で右肩が隠れる位置が理想のトップ。クラブが長く軌道がフラットになるドライバーではそれより低く、左腕が右肩に重なる高さ。身長が高い人はこれよりも高くなり、身長が低い人は低くなるのが自然だ

月刊ゴルフダイジェスト2020年10月号より