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【浦ゼミナール】Vol.8「リストターン」の誤解

身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。「リストターン」は「しろ」と言われたり「するな」と言われたり、何が正しいのかわからない。その真実はどこにあるのか。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki THANKS/√dゴルフアカデミー

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浦大輔

浦大輔

うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰

リストターンは
絶対に必要な動作

――突然ですが、浦プロはリストターンって必要だとお考えですか?

 直球な質問ですね(笑)。結論から言えば絶対に必要ですよ。プロゴルファーは確実に全員がやってる動きです。

――でも、リストターンをすると球が曲がるとか、いまどきの大型ヘッドのドライバーでは必要ないという話も耳にします。

 それは、リストターンをやりすぎたり、間違ったやり方をして球を曲げている人に対して、「そんな動きをするくらいなら手首を固めてしまえ!」っていう反動みたいな教え方がそういうふうになったんでしょうね。もしくは、無意識でやっているプロコルファーが「僕はやってないよ」って言ったのが「リストターンはしない」って伝わってしまったかのどっちかです。実際、リスト夕—ンを誤解しているアマチュアはとても多いです。

――誤解ですか?

 多くのアマチュアは、リストターンというと手首の回旋運動とか、もっと拡大解釈して腕の入れ替えだとか前腕の回旋だとか思っている人が多いですけど、「リスト=手首」を「ターン=返す」動きがリストターン。簡単に言えば、バックスウィングで右手首が甲側に折れたのが、インパクトでスクエアに戻る動きがリストターンなんです。右手でビンタするような動き。

――それだけですか?

 人によっては、個性として若干ほかの動きが入ったりもしますし、インパクト後には惰性で手のひら側まで返っていきますが、基本的にはこの動きだけを考えればOKです。「夕—ン」という表現のせいで、ひっくり返すようなイメージを持って、インパクトの段階で手のひら側まで折ってしまう人が多いので、そこは注意してほしいですね。

――なるほど、たしかになんとなくそんなイメージがありました。


スウィング中のリストターンは開いたフェースを閉じるというよりもスクエアに戻す動き。右手首が甲側に折れたトップから、インパクトまで真っすぐに戻す動作だ。それがインパクトまでに手のひら側に折れてしまったり回旋が入るとおかしなことになる

 実はこの手首の動きは、積極的に動かすというよりは、動きすぎないようにキープするような力の使い方をするほうがスムーズに動きやすいんです。だからプロゴルファーなんかには「手首を固めて使う」と表現する人も多いくらい。大事なのは、自分がどういう意識で動かしたときに手首がどう動いているのかを知ること。自分の意識と実際の動きにはギャップがありますから、そこを埋めなければ正しい動きはできませんよ。


バックスウィングで開いたフェースをインパクトまでに閉じることがリストターンの目的

レッスンの歴史でも
二転三転してきた

――それにしても、手首の動きについてはいろいろなレッスンがあって、アマチュアは混乱しがちです。

 実はこれはスウィングの歴史と関係があって、実際に指導のトレンドは二転三転しているんです。

――そうなんですか!?!?

 たとえば、デビッド・レッドベターの「アスレチック・スウィング」が流行ったころからタイガー・ウッズの全盛時代くらいは、手首の動きを抑えろというレッスンが主流でした。大きなフォローで飛ばせ、と言われた「ボディターン時代」ですね。でもこれって、体が大きくてパワーのある欧米人が、球が曲がりやすいクラブとボールでゴルフをするのに適したメソッドだったわけです。でもその後、これじゃ球がつかまらないっていうことで、積極的に手を返せというメソッドが流行った。手首や前腕のロールを使ったスウィングが推奨された「ローリング時代」とでも呼びましょうか。

――たしかに、そのころはよく「手を返せ」って言われました。

浦 でも、いまの大慣性モーメント大型ヘッドでそれをやったら、球は左に行くんです。だから、右に打ち出してドローを打てと。でもやっぱりチーピンしますよ、それじゃ。そこでいま流行っているのが「シャローイング」です。これって、切り返しでクラブを寝かせてつかまらない状態を作っておいて、体の回転でやや外からクラブを下ろしてくる動きで、引っかけ防止の理論です。ところが、この動きって実は飛ばし向きというわけではなくて、むしろ曲げないスウィング。これで飛ばすにはものすごい上半身の筋力が必要なんです。それをメタボの日本人のおじさんがやったら、低いスライスしか出ません。

――そんな事情があったんですね。

ボディターン時代
腕と体を一体に動かし、腕や手首を使わず体の回転で打つスウィングは球がつかまりにくかった

ローリング時代
インサイドからボールをとらえてフェースを積極的に返せば球はつかまるが、引っかけが多発

シャローイング時代
切り返しでクラブを寝かせリストワークを抑えて打つ「シャローイング」はパワーが無いと無理

浦 まぁそういった流行りがあったから、手首を使えとか使うなとか、いろんなメソッドがあるんです。でもアマチュアが飛ばすには、リストターンを使うデメリットはない。手首のターンで生じるクラブの動きはスピードアップには非常に有効で、飛ばしの重要なファクターなんです。最後にコツをお教えすると、リストターンはダウンスウィングで手元が腰の高さまで下りてきた段階で終了させるくらい早いタイミングで行ってください。ダウンスウィングでは体が先行して回っていくので、実際のインパクトでは手元は右腰の前にある。そこまでにターンを終えておかないと間に合わないんです。

右の2枚の写真の差が、リストターンによって生じるヘッドの動き。右の段階でリストターンは終了している

右腰の横のポジション(写真左)でリストターンが終わっていれば、体を回せばジャストインパクト(写真右)

月刊ゴルフダイジェスト2020年9月号より