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【浦ゼミナール】Vol.16「ロングアイアンを打ちこなすには“水平移動”が必須です!」

身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。浦プロでさえ「難しい」というロングアイアンのスウィング。今回はロングアイアンを打ちこなすために必要な体重移動について教わった。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー

前回のお話はこちら

伸ひ上がるくらいの意識でやっと平行移動

――前回、ロングアイアンの打ち方についてお聞きしましたが、ロングアイアンを打ちこなすために必要な体重移動について、今回詳しく説明していただけるとのことでした。

 そうでしたね。まずは前回の内容をおさらいしておきましょうか。6番以上の長めのアイアンはロフトが立っているしフェースの高さも低いので、長いインパクトゾーンでボールを横からとらえないといけない。その状態でヘッドスピードを上げるには、インパクトゾーンで手元をターゲット方向に押し込みつつクラブ全体を加速させるような動きが必要になります。そのために不可欠なのが、切り返しで体全体をターゲット方向にスライドさせる体重移動なんです。

6番より上のロフトの立ったアイアンを打ちこなすには、右に体重移動せずにバックスウィングし、そこから左に体重移動してからダウンスウィング。アドレスよりも手元が押し込まれた位置でのインパクトが必要だ

 ここまではOKですか?

――はい、OKです。

 では前回、高くティーアップしたボールをクリ—ンにとらえるドリルを宿題に出しましたが、それはやってみましたか?

――やってみたんですが、上っ面に当たるミスやティーを叩いてしまうミスが多発して、とてもむずかしかったです。あとは上手く打ったと思っても球が高く上がってしまうか。

 そうでしょうね。高いティ—ァップでボールをクリーンに、しかもレベルにとらえるためには、ロングアイアンを打つときに必要な体重移動で長いインパクトゾ—ンを作らないといけないですから。自分の感覚だけでこの体重移動をしようとしても、ほとんどの人が体が沈み込んでしまい平行移動にならないんです。下の写真のように、鏡の前などに自分の目が隠れるように棒などをセットして切り返しの動作をやってみてください。ちょっと伸び上がるくらいの意識がないと、目が隠れたままの平行移動にならないんです。

普通にやると頭の位置が下がりやすい
平行移動しているつもりでも、実際は少し体が下がりやすいので、少し伸び上がるくらいの意識が必要

――本当だ! 自分では平行にスライドしているつもりなのに、目が棒の下から見えてしまいます。

 この動作がすごくむずかしいからロングアイアンはむずかしいんです。僕は昔、こういう体重移動だけの練習を徹底的にやりましたが、みなさんはやったことないでしょ?

――はい。体重移動「だけ」の練習なんて、やったことありませんね。

 ロングアイアンを打ちたかったら、この練習は必須です。これと並行して、左足の外側を壁に密着させた状態で切り替えして、背中が壁にドンと当たるようにスライドする「壁ドン」のドリルも有効です。まずはトップの姿勢のまま平行移動する感覚を、徹底的に覚えてください。


体重移動の感覚を養うには、左足の外側を壁につけたままバックスウィングし、上体をトップの形で保ったまま体を左に平行移動させ、背中を壁にぶつける「壁ドン」ドリルも有効

右の腹筋を縮めればクラブが加速する

――この平行移動ができれば、ロングアイアンもバッチリ打てちゃうということですね?

 いちばん難しいのはこの動作で、あとはほかのクラブのスウィングと同じと言えば同じなんですが、ちゃんとスライド動作を行ってからダウンスウィングに入るように、動きを分離する意識は必要ですね。

――分離ですか?

 切り返しのスライドが終わらないままダウンスウィングを始めると、体の回転が阻害されてスウィングが詰まりますし、体の右サイドが下がってダフリなどのミスも出やすくなる。必ず左にシフトしてからダウンスウィングに入ることが肝心です。

切り返しでの体重移動とダウンスウィングは別の動作として分けて行うことが大事。体重移動が終わらないうちにダウンスウィングに入ると、左に乗り切れていないので回転が阻害されスウィングが詰まりやすい。また体の右サイドが下がってダフリなどのミスも出やすくなる

体重移動が終わらないうちにダウンスウィングを始めると軸が傾きやすい

――なるほど。ダウンスウィングからインパクトでは、手元を押し込みながらクラブ全体を加速させるとのことでしたが、これにはコツはありますか?

 切り返しでちゃんと体のスライドが完了していれば、手元は左にシフトした体の重心に対して下りてくるので、インパクトゾーンでわざわざ手を使って押し込むような動作は必要ありません。それよりも、クラブをしっかり加速させるためには、ダウンスウィングで右の腹筋を縮める動作がとても重要です。もちろんこのときも、目線の高さは変えない。この動きを力強く、スピーディに行えるほどヘッドスビードは上がります。

――右の腹筋を縮めたら右肩が下がるので、目の高さも変わってしまいませんか?

 それは下半身が動いていないから。ダウンスウィングでの「右足の蹴り」の説明は以前しましたよね。

――右のかかとを上げて「ひざ蹴り」する動きですよね?

 覚えているじゃないですか(笑)。じゃあ右の腹筋を縮めると同時にその動作をやれば……?

――あ、目線が下がらず右の腹筋が縮められました! なるほど、肩を下げて右わき腹を縮めるのではなく、右かかとを上げて右のわき腹を縮めるんですね。

右足の蹴りがないまま右腹筋を縮めると、 右肩が下がってダフりやすいうえ、パワーも出ない

 そういうこと。実はこの動作も、パワーの源でありながら繊細でむずかしい。だから下の写真のように、鏡を見て目線が下がらないようにチェックしながら、右足を蹴りつつギュッと右の腹筋を締めるそれ専用の練習をしてほしいんです。アマチュアはボールを打ちながらスウィングのレベルアップをしようと欲張りますが、本当に上手くなろうと思ったら、体重移動しかり、右わき腹の動きしかり、特定の動きを抽出して正確にできるようにする練習をしなきゃダメ。全体の動きを考えるのは、その後の話ですよ。

右の腹筋に力を入れ、右わき腹を縮めるようにしながら、同時に右足を蹴る動きを行う。鏡を見ながら、目の高さが変わらないように意識してやってみよう

月刊ゴルフダイジェスト2021年5月号より