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Dr.クォンの反力打法 Vol.23 スピードは下半身、コントロールは上半身

本日のテーマは「フェースローテーション」について。反力打法ではリストワークを積極的に使ったほうがいいのか、それとも抑えるべきか。クォン教授は「競馬」を例に説明してくれた――。

【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる

【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家

吉田 スウィングを教える人のなかには、フェースローテーションを積極的に使ったほうがいいと言う人もいれば、できるだけフェースは返さないほうがいいと言う人もいます。ボールを遠くに飛ばすためには、フェースを積極的に返したほうが有利な気もしますが、「反力打法」的にはいかがでしょう?

クォン フェースローテーションは極力使わないほうがいいだろうね。

吉田 その心は?

クォン 反力打法では、クラブスピードを生むのは下半身の役目で、上半身はクラブの動きをコントロールするためだけに使われる。たとえるなら、競馬だね。

吉田 馬……ですか。

クォン 走るスピードを生み出すのは下半身たる馬の役目。そしてその馬をコースに沿って走らせるのは上半身たる騎手の役目というわけだ。

吉田 なるほど、わかりやすい。

クォン そしてある程度馬がスピードに乗っていれば、騎手がそれほど力を加えなくてもコースなりに安定して走ってくれるのと同じで、スウィングもしっかり下半身主導で振ることができれば、自然と手元がオンプレーンに下りてきて、手に余計な力を入れなくても簡単にフェース向きを制御することができる。

吉田 走るのは馬のほうであって、騎手ではない。フェースローテーションを多用する打ち方というのは、騎手がむやみに頑張ってしまっているようなイメージですね。

クォン 上半身主導のスウィングが、まさにそれ。クラブスピードを上げることと、クラブの動きをコントロールするという2つの仕事を上半身、とくに腕が担うことになってしまう。そうすると、切り返しで腕が主体となってクラブを引き下ろすことになり、ダウンで手元が体から離れ、フェースが開いた状態で下りてくる。クラブをオンプレーンに戻してくるために、どうしても手をフリップ(こねる)しなければならなくなる。

騎手がいくら頑張っても、馬は速く走ってくれないように、上半身でいくら頑張っても、ヘッドは思うように走らない。地面の反力を利用した下半身主体の動きができれば、十分なスピードが生まれ、かつクラブもオンプレーンに動きやすい。手は余計な操作を加える必要はないのだ。

吉田 騎手がむやみやたらに馬をムチでフリップ(打つ)している感じですね。

クォン インパクトでフェースを素早く閉じようとすると、フェース向きの変化が激しくなるから、ミスの可能性が高くなる。わずかなタイミングのズレが、ショット方向の大きなズレにつながってしまうわけだ。その意味でも、インパクトエリアでフェースを急激に閉じる必要のない打ち方のほうが、有益だと思うね。

Vol.24へ続く | 反力打法TOP

Dr. クォン&吉田洋一郎
『驚異の反力打法』

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