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【イザワの法則】Vol.35 アマチュアでもフライヤーは起こる! 夏はとくに注意が必要です

今年は例年以上に厳しい暑さが続くが、プロは夏のラウンドでどのような工夫をしているのだろうか。また暑さ対策以外にも、夏のラウンドで気を付けるべき点があるという。

TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura PHOTO/Shinji Osawa THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)

前回のお話はこちら

練習時間を工夫して
ゲームの質を落とさないことが大事

夏のゴルフのいちばんの敵は、やはり「暑さ」でしょう。プロにとってゴルフ場は「仕事場」ですので、熱中症や体調不良で棄権するなんてことは、絶対に避けたいところですし、一度の棄権が引き金になって、ずっと試合に出られなくなるとか、出ても調子が悪い状態が続くというのはもっと避けなくてはいけません。最近は、プロの間にも熱中症対策というものが浸透していて、しっかり水分補給するだけでなく、「氷のう」のような、体を冷やすものを準備したり、男子プロでも日傘を使っていたりします。若い選手ほど、そういうところのケアはしっかりしているようで、1番ホールから氷のうで首の後ろを冷やしている姿を、よく見かけるようになりました。

夏の暑さというのは、試合中に集中力や体力を奪うだけでなく、練習の時間や環境も制限するので、うまく練習を組み立てないと、疲労だけ蓄積して効率は上がらないということにもなりかねません。とにかく、夏の炎天下で長時間、球を打つのは無理ですから、何をどのくらい打つのかということを、ちゃんと考えて練習する必要があります。そのとき抱えているスウィングの課題の部分だけ確認するとか、試合であまりフィーリングがよくなかったクラブだけ打つとか、「時短」の方法は人それぞれです。また、球打ちの練習時間が短くなる分は、アプローチやパターの練習時間を長くして、全体として練習の質を落とさない工夫も必要になってきます。


アマチュアでも
「フライヤー」対策は絶対に必要

暑さ以外で、夏のゴルフを難しくするものには、たとえば「フライヤー」があります。フライヤーというのは、フェースとボールの間に芝が挟まって、通常よりスピンが減ってしまう現象のことで、そうするとスピン不足で十分な高さが出ない分、普段よりキャリーが出て(ピッチングウェッジで打った球が、9番アイアンの弾道に近くなって)しまうということが起こります。夏の芝は生育がいいので、フェアウェイサイドのファーストカットとか、セミラフといった、春、秋なら「絶好のライ」というところからでも起きることがあるので、とくに注意が必要です。

また、フライヤーは「アマチュアには関係ない」と思っている人も多いようですが、プロアマなどで私が見る限りでは、スコア100くらいの人でも、ピッチングウェッジで100ヤード飛ばせる人だと、大抵、フライヤーしています。弾道を少し横から見ると(最高到達点が低いので)すぐわかるんですが、打った本人はわかってなくて、「あれ、距離間違えた?」なんて言っていることが多いです……。

ほぼ唯一のフライヤー対策は、番手を下げることで、1番手下げると、元の番手とほとんど同じくらいのキャリーが出て、ランはかなり増えます。つまり、トータルでは、番手を下げても元の番手より飛んでしまうこともあるということです。アマチュアの場合は、8番アイアン以上ではフライヤーになりづらいので、9番以下で打つ場合には、番手を下げて打つようにしてみてください。

また、全天候型グローブは、夏のゴルフの必需品です。革製は、汗で濡れると素手より滑りやすくなるのでおすすめしません。濡れたタオルと乾いたタオルを用意して、よく使う番手はグリップについた汗を拭きとる(濡れ拭き→乾拭き)というのも、重要な夏のラウンド対策と言えるでしょう。

「体を冷やすには手を15℃の水につけるのが有効。
プレー中ならこまめに水で濡らすと効果がある」

ファーストカットでもフライヤーに要注意

夏ラフが厄介なのはもちろんだが、ファーストカットでも芝の生育がいい場所だとフライヤーの可能性が高くなる。その場合、番手を下げるか、それ以上下げられない場合は、グリップを短く握り、スタンスを狭めることで、自然にスウィングを「軽く」できる

伊澤利光

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2023年10月号より