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【浦ゼミナール】Vol.40 フェアウェイからセカンドOB! それ、打ち方よりもマネジメントのミスかもしれませんよ

身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。第40回は、前回に引き続きマネジメントの話から、打った後の情報収集も大事だという浦プロ。詳しく聞いてみた。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー

前回のお話はこちら

浦大輔

うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰

ミスした後の分析が
マネジメントにつながる

――今回も引き続きマネジメントについてお聞きしていきたいと思います。前回は、情報収集が大事というお話でした。

 それもそうですけど、ゴルフはマネジメントが「主食」だっていう話をしましたよね。アマチュアはマネジメントをおろそかにしてスウィングなどの技術論ばかり考えがちですが、結局はそこの意識改革が何より大事だと思います。たとえば2打目をフェアウェイからスライスしてつまらんOBを打ってダボを叩いたとしますよね。するとアマチュアはみんな安直にスウィングミスでOBしたと考えるんですが、それってホントにスウィングのミスですか? っていうところを見直していく必要はあると思います。

――どういう意味でしょう?

 その2打目のライを覚えていますか? もしかしてつま先下がりだったんじゃないですか? そこからつかまらない5番アイアンを振り回していたんじゃないですか? だとしたらこれはスウィングのミスというよりライの判断のミス。つまりマネジメントのミスです。

――なるほど。でもスウィングをミスしてナイスショットできなかったからOBになったのは確かじゃないですか?

 スウィングを主食にしている人は、自分がナイスショットできる状況かどうかの判断ができなかったことを棚に上げてスウィングのせいにしてしまうんですが、これはどう考えたって判断ミスなんです。ものすごく深いラフからロングアイアンを持ってミスったら、誰でも判断ミスってわかる。でもちょっとした傾斜なんかだとそこまで重大に考えずにスルーしてしまうんです。自分のスキルでそのライからそのミスが出ることを予見できなかったことは実はすごく重大ですよ。マネジメントを主食にするということは、そこの優先順位を正しくつけるということ。90台とか100前後で回っている人が、右のOBが浅いつま先下がりでロングアイアンなんて持っちゃダメなのに、スウィングを主食にしていると、簡単にそこを見誤るんです。

――身の程を知れってことですね。

ミスを全部スウィングのせいにしてしまうのは短絡的

明らかに難しい状況で出たミスは判断ミスだと気づきやすいが、ちょっとした傾斜などで出たミスは自分のスウィングのせいにしがち。しかし今の自分の技術で上手く打てる状況だったのかどうか、事後にきちんと判断しておくことが次のゴルフにつながる

 もちろんそれも大事です。でもこれもやっぱり情報収集なんですよ。判断材料がなければ正しい判断はできない。そのためには普段から「事後」の情報をしっかり集めておくことが大事です。

――「事後」というと?


 打った後に状況と結果をメモしておくこと。「170ヤードフェアウェイ、つま先下がり。5番アイアンで右OB」と。このひと手間で、ミスの原因がちゃんと経験値として蓄積されていきます。前回お話ししたように、別に見返さなくてもいいんです。スコアカードをもう1枚もらってそこに書き込んでおいてください。同じミスを何度かやったら「あれ、この間も同じことを書いたぞ」って気づきます。そうしたら「つま先下がりからロングアイアンを持ったらダメなんだ」って理解できますよ。マネジメントって、結局はこの積み重ねでしかありません。ミスを見なかったことにして、記憶から消し去ってしまうから上手くならないんですよ(笑)。

選択肢を減らすことが
マネジメントのカギ

 マネジメント力をアップさせるために、みなさんにぜひやってみてほしいことがあります。

――何でしょう?

 クラブの本数を減らしてラウンドすることです。とりあえずドライバー、FW、UT、ミドルアイアン、ショートアイアン、ウェッジ、パターの7本でラウンドしてみてください。マネジメントの本質を実感できると思います。もしアイアン、ウェッジ各1本とパターの3本だけでプレーできたらさらにベターですね。

コレは絶対上手くなる
「3本ラウンド」を試してみよう!

チャンスがあればアイアン、ウェッジ、パターの3本だけで回ってみよう。河川敷や早朝・薄暮のハーフプレーなどならやりやすい。アイアンは、よく練習する7番や難しく感じる5番ではなく、その谷間の6番がおすすめ

――クラブを減らしてできることが減ってしまうと、マネジメントも何もないんじゃないかと思ってしまいます。だって、アイアン1本しか持っていなかったら、ティーショットも2打目も、普通に打つしかないじゃないですか。

 それが、逆なんですよ。やってみるとわかります。選択肢を減らすことで見えてくることがあるんです。そもそもアマチュアは、できもしない選択肢をたくさん考えて失敗するんですが、プロはその逆をやっているんです。「絶対にできること」しかやらない。ただし、その「絶対にできること」の数がアマチュアよりも多いから選択肢が多いように見えているだけなんです。ミドルアイアン以上で打つ距離なんて、どうせ乗らないんです。なのに、乗せられると錯覚する番手を持っているから欲張ってミスをする。でも乗せられる番手がないなら最初から無謀なチャレンジをしなくなって、2回で乗せられる最適な方法を考えるようになるんです。

――なるほど……。

 本数を減らすことで、その成功体験を得られます。多分、ほとんどのアマチュアは14本でプレーするより7本でプレーするほうがいいスコアが出ますよ。もしかすると3本でも14本よりいいスコアが出るかもしれない。

――本当ですか?

 はい、私が保証しますよ! やることをシンプルにするのはとても大事。ある程度の腕前の人なら、球を曲げる方向を右か左どっちかに限定してプレーするのも有効です。基本は持ち球サイドで考えて、傾斜地でもミスしても絶対に逆球が出ないように気をつける。そうするとスライサーなら絶対左から狙う構図になり、自然とマネジメントも明確になってくるんです。

【マネジメントの土台になる技術】
「曲げる方向を一定に」できれば上級者

ある程度球の曲がりをコントロールできるようになったら、曲げる方向を持ち球方向に限定してラウンドしてみよう。ミスしても逆球が出ないような保険をかけ、傾斜地でも徹底する。これによって狙い方がシンプルになりマネジメントが組み立てやすくなる。スライサーなら、引っかけそうな場面やつま先上がり・左足上がりでも絶対に左に球を曲げないように徹底することが肝心だ

ゴルフがシンプルになる!
「7本ラウンド」 を試してみよう

クラブが少なくて「なんだアイツ」と思われるのがイヤなら、この記事を同伴競技者に読ませ、誘い合ってやってみよう。想像以上に頭を使うし、ゴルフも盛り上がる。ほとんどのアマチュアは14本入れているときよりもいいスコアが出るはずだ。

各カテゴリー1本ずつの7本

ドライバー、FW、UT(浦さんの場合はロングアイアン)、ミドルアイアン、ショートアイアン、ウェッジとパターの7本。FWは3Wよりは5Wがおすすめ

月刊ゴルフダイジェスト2023年6月号より