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【浦ゼミナール】Vol.39 マネジメントは「情報収集」が大事!

マネジメントとは「スコアメイクそのもの」だと言う浦さん。そのベースになるのはできるだけたくさんの情報を集めること。「マネジメントと言われてもよくわからない」という人は、まずは「見る」ことから始めよう。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara、Tsukasa Kobayashi THANKS/√dゴルフアカデミー

前回のお話はこちら

浦大輔

うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰

情報がなければ何も判断できない

――前回のマネジメントの話、すごくおもしろかったというか、耳が痛い内容でした。そこで今回もマネジメントについてお聞きしたいのですが、ズバリ、マネジメントの本質とは何でしょう?

 ゴルフの「主食」ですね。

――「主食」ですか?

 そう。食事でいえば、食事の最優先課題は何よりもまずお腹を満たすこと。そのときのメインになる主食こそが、ゴルフにおけるマネジメントなんです。ゴルフは「いいスコアで回る」ことが目的で、マネジメントはスコアメイクそのものと言っていい。アマチュアは、マネジメントをカレーの福神漬けとか牛丼の紅生姜くらいに思っている人がいますけど、そういうもんじゃない。

――そうですか。主食はショットじゃないんですね?

 ショットは手段です。マネジメントを実行するための手段。言ってみれば料理かもしれません。料理が下手だとあまりおいしく食べられないけれど、お腹を満たすという目的はそれなりに達成できる。どんなに料理が上手くても、料理自体でお腹は満たされないけれど、下手でも下手なりにジャーで白いご飯を炊いて食べれば満腹にはなれる。スウィングとかクラブなんて、さらにそのための調味料とか調理器具みたいなもの。だから、したり顔で「マネジメント“も”大事だね」なんて言っている人は、ゴルフの本質が全ッ然わかっていないんです!

――そこまで言いますか。ちょっとびっくりしました。

 ツアープロなんて、プレー中90パーセント%以上マネジメントのことしか考えていませんよ。どこに打って、どう攻めるかばっかり考えている。

――アマチュアは、どうすれば上手にマネジメントしながらプレーできるようになるのでしょう。

 まずはたくさんの情報を集めることが大前提です。マネジメントは、何の情報もなしには成立しません。コースレイアウトが見えなかったら、攻め方を考えようもないでしょう。小さいことから言えば、パッティングのラインを読んだり風向きをチェックするのもマネジメントの一環です。フックラインだから右に打つ、左からの風だから左を向く。こういう情報をたくさん集めて、初めてマネジメントについて考えることができる。

ラインを読むのも風を見るのもマネジメントなんです

パッティングのラインを読んだり風向きをチェックするのも情報収集で、その情報をもとに狙いを変えるのもマネジメント。こういったことをどんどん拡大できるのがマネジメント巧者だ


 同伴プレーヤーが打っている間、ボーッと突っ立って、「昨日のキャバクラのお姉ちゃん、かわいかったなぁ」とか「昼飯は何を食おう」なんて考えている暇があったら周りを見て、いろんな情報を集めてください。できればそれを全部メモする。スコアカードをもう1枚もらって、余白に気づいたことを全部書き込んでおく。これだけでマネジメントの質は劇的に上がりますよ。

気付いたことは全部スコアカードに書け!

コースを観察して気付いたことは、スコアカードの余白に書き込もう。専用にもう1枚もらっておけばベターだ。見直さなくても、書くことで記憶に残り、それをベースに予測を立てられるようになる

狙いどころばかり見ずコース全体を見よう

――情報と言いますが、具体的にはどんなことを書き込めばいいんでしょうか?

 目に見えたあらゆることを。あそこのバンカーのアゴは高いとか、あの木の右側はすぐOBだとか、何番グリーンの奥は広くて平らだとか。いまプレーしているホールについての情報だけでなく、先のホールや、何ならホールアウトした後のホールについても何でも書き込んでおいて損はありません。スタート前のキャディマスター室周りからは9番や18番のグリーン周りが見えるでしょうし、ティーイングエリアから隣のホールのグリーンが見えたりするはずです。

マスター室前からの景色や隣のホールのグリーンにちょっと目をやっておこう

高い位置にあるグリーンやティーイングエリアからは隣のホールが見えるし、マスター室前や練習グリーンからは上がりホールが見える。これをメモしておけば、いざその場所に来たときに情報が頭をよぎってくれるのだ

――書き込んだ情報を見てマネジメントを考えるということですか?

 それができれば最高ですが、とりあえずは書くだけでもいい。書くという作業をするとその情報は意外と頭に残るものなので、そのホールに行ったときに「そういえば右手前のバンカーは深くて左サイドは広かったな」とか「あの木の右に行ったらアウトだぞ」とか、チラッと思い出す。そういう「知っている安心感」がプレーの不安要素を減らしてくれるし、判断材料になるんです。

――なるほど。

 年間何百ラウンドもする人は、いちいち書かなくてもこういう情報が蓄積されていくんですが、普通の人はそんなに頻繁にラウンドできませんから、メモして得られた少ない情報を十分に活用したい。書くことで、1ラウンドで普通の人の数ラウンドぶんもの情報を得られます。こういった情報を蓄積していくと、初見のコースもある程度危機管理ができるようになるんです。「あのエリアのOBは浅そうだな」とか「こういうホールはグリーンの傾斜がきついぞ」とか。

――数を質で補うんですね。

 コースを見る際には、「高い所」に注目するのがポイントです。まずその付近でいちばん高い山とか丘を見つける。その周辺のエリアは必ずその山からの傾斜がついていますからね。そしてホール全体を引いて見て、どこが高くてどこが低いかをチェックする。池は高い所にはありませんし、グリーンの右に山、左に谷があればグリーンの傾斜は絶対に左下がり。こういうのを見もしないでグリーンに上がってから「キャディさん、これどっちに切れるの?」とか言っている人がスコアメイクできるわけがない。アマチュアは、フェアウェイのベスポジとグリーンばっかり目がハートになって見ているけど、それ以外にも見るところはたくさんある。こういう情報収集をきちんとする習慣をつければ、自ずとマネジメントも身についてきますよ。

全体の景色を見て高低差をつかもう

狙いどころやグリーンばかりを点で見るのではなく、周辺まで視野を広げて全体的な景色をチェックすることが大事。周辺でいちばん高いところ、低いところを確認しておけば、ホール全体の傾斜の傾向がわかってくるし、危険エリアも察知できる

月刊ゴルフダイジェスト2023年5月号より