【ゴルフの急所】Vol.28 ドライバーイップスを克服するには?
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30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。
PHOTO/Yasuo Masuda、Hiroaki Arihara THANKS/六甲国際GC、ザ・リンクスGC
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私の悩みは、ドライバーが怖くて仕方がないことです。練習場ではまだ打てるのですが、コースに出ると、トップから動けなくなってしまいます。この状態から抜け出すためのアドバイスをお願いします。(横井祐さん・45歳・HC26)
あぁ、つらいですよね。ボクも同じような状態になったことがあるのでよくわかります。では、そういうときにはどうしたらいいのか?
まず疑うべきは、右手(利き手)を使いすぎていないか、力が入りすぎていないかということです。プロ、アマに限らず、大半のミスの原因は右手にあります。そのミスの記憶が積み重なると、体がスムーズに動かなくなり、イップスを引き起こすことがあるのです。
この場合は、左手1本で打つ、ステップをしながら打つなどの練習をして、左サイドで打つ感覚、下半身で打つ感覚を磨く必要があります。それができるようになれば、ショットの精度は確実にアップします。その自信が、ドライバーの不安を払拭してくれる可能性は高いでしょう。
次に考えられるのは、自分に合わない動きを取り入れているのではないか、ということです。
骨格、筋力、柔軟性、運動経験は人それぞれで、自分にとってやりやすい動きはみんな違います。ところが、多くの人はどんな動きが自分に合っているのかを知りません。好きなプロのマネをしたり、レッスン書にかかれている動きを鵜呑みにしたりするのですが、それが自分に合っていない可能性もあるわけです。自分に合わない動きを取り入れれば、体は拒否反応を起こします。それが原因でイップスになったプレーヤーをボクは何人も見てきました。
そこで試してもらいたいのは、普段とは違う動きに挑戦してみる、という作業です。アップライトな軌道を意識している人なら、いつもよりフラットに。フラットを意識している人ならアップライトな軌道で振ってみるのです。
同じように、グリップを少しウィークに握ったり、ストロングに握ったりする。また、いつもよりつま先体重で構えたり、かかと体重で構えたりするのもいいと思います。そういう作業をしていると、そのなかに、今まで気づかなかった気持ちよさや、思わぬ発見に出合ったりします。そうやって、自分にとって、いちばん気持ちのいい動き、グリップを見つけることができれば、それがイップス脱出の糸口になるはずです。
最後に。ドライバーイップスになると、OBや池、林などが気になって仕方がないと思います。しかし、そんなときほど打つべき場所を強く意識し、「あそこに打つんだ」という覚悟を持ってスウィングをやり切ることが大切です。
あそこはダメ、ここも嫌とオロオロしていたら、どんどん怖くなって動けなくなってしまいます。曲がろうが、曲がるまいが、どっちにしたって打たなくてはいけないわけです。であるなら、覚悟を決めて打つ。そういうプレーを心掛けることもイップス克服には必要だと、ボクは思うのです。
Point 1
左サイドで打つ感覚、下半身で打つ感覚を磨く
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まずは、右手(利き手)を使いすぎないスウィングに取り組む。左手1本で球を打ったり、ステップしながら球を打ったりする(足踏みをしながら、右足を踏んでバックスウィング、左足を1歩踏み出して球を打つ)ことで、左サイドと下半身で打つ感覚を磨こう。
Point 2
握り方や体重配分を変えてみる
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グリップ(握り方)をいろいろ変えてみたり、体重のかけ方を変えてみたりするのもよい。左手を少しウィークにする、ストロングにする。いつもよりつま先体重、かかと体重で構える。そのなかに、今までより気持ちよく振れる握り方、構えが見つかればしめたものだ。
Point 3
普段とは違った動きをしてみる
普段とは違う動きに取り組み、自分に合った動きを探る。アップライトに振るときは、いつもよりタテに上げて、高いところに振り抜く。フラットに振るときは、いつもよりヨコに上げて、低いところに振り抜くというように、バックスウィングとフォローの方向をいろいろと変えてみよう。
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アップライトに振る
自分がいつも行っているスウィングよりクラブをタテに上げて、高く振り抜いていく
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フラットに振る
今度はいつものスウィングよりクラブをヨコに上げて、低い位置に振り抜いていく
気持ちよく振れる軌道を見つけよう
「近年シャローイング動作が注目されていますが、アップライトな軌道のほうが気持ちよく振れる人はいくらでもいます。そんな人が、無理にシャローに振ろうとすれば、脳の回路がショートすることは当たり前。まずは、アップライトに振ったり、シャローに振ったりしながら、自分が気持ちよく振れる軌道を見つけてください」(寺西)
月刊ゴルフダイジェスト2023年6月号より