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【人気連載アーカイブ】遊ぶつもりでやってみて Vol.69 落ちてからびっくりするほど転がる! その名も“生き球”

家族全員がチャンピオンの経験のある四国イチのゴルフ一家「二宮家」。その長男でありベストスコア59(!)のトップアマ・慎堂さんが、ゴルフに対する独特の考え方や一風変わった練習法を紹介。上達のヒントが満載!

ILLUST/Masaaki Takauji

前回のお話はこちら

瀬戸内海に面した豊かな自然が魅力の今治市。ゴルフ、釣り、サイクリング、ちょっと行けばスキーもできるから、多趣味な人が多い。ただ個人的にはやっぱりゴルフが一番面白いな~って思う。

とくに、1本のクラブであんな球やこんな球を打ち分け、「この技、使えるな!」とひらめいた瞬間は最高である。

最近、自分の中でのヒット作は59度のSWを使った転がしアプローチ。題して“生き球”だ。ボクの得意技のひとつに、ポトリと落ちてトロトロ~っと転がるアプローチ、通称“死に球”があるが、それをアレンジしたのが“生き球”だ。

死に球との違いは、落ちた後の転がり加減。トロトロ~どころの騒ぎではなく、えらい転がるのだ。一緒に回っている人が「慎堂、今のなにで打ちよった?」と首をかしげるほど。ボクが「SWだけど」と応えると、「溝ないんちゃうか?」と怪しまれる。

でも、クラブに細工は一切していない。ごくごく一般的なSWだ。僕のクラブはボールを真ん中に置いて、普通に打てば球は上がり、スピンが効くように設計されているのだが、それをガン無視したのが生き球の打ち方だ。

まず、スタンスはクローズ。ボールを左足親指にセットし、ハンドファーストに構える。軌道はインサイドイン。そして、このショット最大のポイントはダウンスウィングでヘッドが下降する途中でボールを打つこと。つまり、打った後にヘッドの最下点がくるのが正解だ。ダウンブローの打ち方に似ているが、ちょっと違う。なぜなら、ヘッドを極端に被せるイメージで打つからだ。ロフト59度のSWなら、マイナス59度で打つイメージでちょうどいい。

これをゴルフ仲間に説明するとみんなキョトンとするんだけど、まぁ、言ってみれば、意図的に球を弾いて打つということだ。球を弾くと、フェースにボールが乗らなくなるのでバックスピンがかかりにくくなる。しかも若干フック回転するので、落ちてから想像以上に転がるのだ。この球のメリットはラインに乗せやすいこと。よっぽど難しい状況でなければ、ワンピン以内に寄せる自信はある。

変わった打ち方なので、うちの母親なんかは「弱そう~」とゲラゲラ笑うんだが、球はまるで生きているみたいにスルスル~っとカップに寄っていく。だから“生き球”と名づけた。実際、これを覚えてからチップインの確率も増えたような気がする、本当に。

先日も、雨上がりでグチャグチャした土の上からパーフェクトな転がりを見せ、オッケーバーディにつけた。

花道から転がしたい場合も、この技さえあればもう7番にするか8番にするか迷うことはない。SW1本持っていけばいいのでラクチン。その身軽さも、ボクの性に合っている。コツをつかむまでに多少時間はかかるが、いいことづくめの“生き球”。みなさんも練習してみて。

球を弾きながら飛ばすため、スピンが入らず、まるでボールが生きているかのようにスルスル転がり、カップに寄っていく


全員がチャンピオン! 二宮家

(左から)●慎堂(ボク)1983年生まれ。13、15年四国アマ優勝。HC+2。ベストスコア59 ●英二(父)1958年生まれ。90、95年四国アマ優勝。HC0。練習場経営 ●薫(母)1960年生まれ。94~97、01、03年四国女子アマ優勝。HC2。主婦 ●歌奈子(妹)1985年生まれ。07年四国女子アマ優勝。HC5

週刊ゴルフダイジェスト2018年4月24日号より