Dr.クォンの反力打法 Vol.32 バックスウィングで骨盤は20度左に傾く
クォン教授いわく、スウィング中の骨盤の傾きと回転角度を見ることで、地面反力を上手く使えているかどうかがわかるというのだが――。
【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる
【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家
吉田 以前、スウィング中の骨盤の傾きについて少しお話しいただきました。今日はそこのところを詳しく伺いたいと思います。
クォン 骨盤は、上半身と下半身を連結しているという点で、体の中核を担うパーツといえる。とくに、下半身の動きを主に反映することから、脚を通じて地面と相互作用していると言うこともできる。
吉田 スウィング中、骨盤はどのように動くのでしょう?
クォン 骨盤の角運動には、「水平回転」「左右への傾き」「前後の傾き」の3つがあるが、なかでも左右への傾きは、下半身が上手く使えているかどうかの指標になる。
吉田 どういうことですか?
クォン 骨盤の左右への傾きは、ひざの曲げ伸ばしによって決まるんだ。バックスウィング中に右ひざを伸ばすと骨盤は左に傾き(左側が低くなり)、ダウンスウィング中に左ひざを伸ばすと骨盤は右に傾く(右側が低くなる)。バックスウィング中の左への傾きは20度前後、インパクト時の右への傾きは10度強が理想的だね。
吉田 骨盤の傾きがこの角度になっていれば、ひざの曲げ伸ばしが適正、つまり地面反力が上手く使えているということですね。
クォン もうひとつ、骨盤の角運動で大事なのが、水平回転。バックスウィングでは右に40〜45度、インパクトでは左に40〜45度回転しているのが望ましい。
骨盤の傾きは反力を利用している証拠
吉田 それ以上回すのはダメなんですか?
クォン もちろん、骨盤の回転量が大きいほうがヘッドスピードは上がる。しかし、骨盤が45度以上回ってしまうということは、骨盤の左右への傾きが十分でないということ。骨盤の傾きが十分なら、骨盤を大きく回そうと思っても回すことができない。自然と45度以内に収まるはずだ。
吉田 なるほど。ヘッドスピードを上げるために、骨盤の水平回転を大きくしようと思えばできるけど、それには限度があるし、無理にひねると体への負担も大きい。それよりも、ひざの曲げ伸ばしによる地面反力を上手く利用すれば、強い回転力を効率よく生み出すことができ、かつ骨盤が左右に傾くことで、水平回転も適度な範囲に抑えられるというわけですね。
Dr. クォン&吉田洋一郎
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