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【ゴルフ野性塾】Vol.1774「左腕が弱まると球のバラつきが生じる」

古閑美保、上田桃子など数多くの名選手を輩出してきた坂田塾・塾長の坂田信弘が、読者の悩みに独自の視点から答える。

前回のお話はこちら

今日3月8日、
水曜日。

窓の外は薄霞みの空。
今日の最高気温21度と聞く。
冬は最低気温に注目したが、今は最高気温に気持ちが向う。
21度は4月上旬の平均気温とテレビの天気予報は教えるが、福岡の冬は終ったのか。
だとすれば今年の冬は短かった。
現在時、午後1時31分。
15階から眺める東の山、本稿書き始めた時より霞んで来た。
このまま、福岡空港先の東の山、見えなくなってしまう様な気もする。
春霞、出会えて嬉しや、桜1分咲き。
正月の雑煮の味、まだ憶えているのにもう3月。
研修生時代、そしてツアー現役の頃は早い一日遅い一日あったと記憶するが、今は早い一日だけである。
東の山、頂上が見えなくなって来た。
山霞、地に降りて桜、3分咲き。
体調良好です。
それでは来週。

一日30回。腕のクロス運動を継続せよ。

50歳を過ぎた頃から、アイアンが左右に散るようになってきました。スウィングで球をつかまえ切れない感じで右にすっぽ抜けます。この球が出ると、次は手先で調整して左に引っかける、という流れです。最近はこのパターンが多く、パーオンするホールが減ってきました。塾長、手先で調整せずに、狙った方向に球を打ち出せる特効薬はありませんか。(兵庫県・高橋一智54歳ゴルフ歴30年HC8)


スウィング中の体の動きに異和、生じていると思う。
私も貴兄と同じ経験をした。
ただ、50歳過ぎた頃ではなく、65歳過ぎた時と記憶する。
左腕の力が弱まっていると感じた時、打つ球のバラつきは生じた。
貴兄も左腕の筋力、弱まっているのではと推測する。
ならば左腕の筋力を強める努力は必要だ。
左腕の筋力の弱まりを他の部位で補うのは難しいからである。
理想は球打つ中で左腕の筋力アップ出来ればいいのだが、ゴルフクラブは軽い。
筋肉に掛かる負荷は少ない。
故に球打つ中での筋力アップは望めぬ。
その事に気付かぬ人は意外と多い。

となれば左腕筋力向上のトレーニングは要る。
真っ直ぐに立って貰う。
右足と左足の幅は6アイアンを打つ時の幅。足先の向きは正面に直角。
要するに右足と左足、平行となるスタンスであればいい。
そして、6アイアンを持って貰う。
両の手はそれぞれにクラブの端、グリップエンドとクラブヘッドを持つ。
その両の腕を前に突き出す。
この時、両の腕の肘は伸ばして貰いたい。
まず、左腕を下に下げ、右腕を上に上げる。
動きは軽くでいい。
両の肩の位置はアドレス時と同じ位置。変えてはいけません。
次に左腕を上に、右腕を下に下げる。
この時も軽い動きでいい。無理に近い動きは必要ない。

人、一生懸命と言うと無理なる動きをするものだが、程々の持つ鍛錬能力と修復能力、そして順応能力に無関心の時は多い。
程々に一生懸命、一途は必要なしである。
60歳過ぎれば分る事一つある。
程々の持つ力の存在だ。
若い頃の程々は周囲と迎合し難いが、60歳過ぎれば人の世との調和に程々が入って来る。
75歳を過ぎ、76歳へ向う途中の我が身、老いて楽しく想う事は多くなった。
ただ、程々ばかりでは退屈する。
やる気も出て来ない。
程々の両の腕のクロス運動、10回続けて貰いたい。
それ以上は無用だ。
そして深呼吸3回。
次への動きの間は深呼吸3回で作れる。

再びの両の腕のクロス運動、この時、最初の10回より強い動きが要る。
両の腕に力を入れて左腕を下に、右腕を上へと上げて行く。
右腕の位置は最初の10回よりも高く、左腕の位置は低くだ。
右腕と左腕の引っ張り合いを意識しての腕のクロスの動きは必要。
この時、腹に力を入れ、膝を少し曲げて姿勢を落して貰う。
この動き、10回の繰返し。
この後、程々の動きで腕のクロス運動を10回やれば終了だ。
腹への力の入れ様も腰を落す動きも必要なしである。
合せて30回、この運動を毎日続ければ10日間で結果は出ます。
若い時は単純簡単への抵抗は多かった。
しかし、年齢進む程に単純簡単への抵抗は弱まる。
それが老いの得とゆうものだろう。

75歳になって気付いた事は多い。
忘れたもの、失くしたものへの執着なければ楽しく老いて行ける事を知った。
老いるは恐怖ではない。
喜びだ。
男は単純に、女性は上品に優しく老いて行けばそれだけで幸せと思う。
人それぞれじゃある。
人は人、己は己でもある。
だが一人で生きて行けるわけじゃない。
人と人、人と世間、何等かの繋がりは生じているものだ。

貴兄は30回の両の腕のクロス運動を続ける。
苦痛になる回数じゃない。
継続が一番の結果を生むと先人の生き様は教えた。
続けよ、一日一度の30回だ。
それで貴兄のパーオン率は上る。
練習場で打つ球は以前以上に球散り幅、小さくなってくれるであろう。
左腕の引きの筋力を上げよ。
今、私が貴兄に求めるのはそこだけだ。
何事に於てもそうだが、クロスの動きは予想以上の結果を生む事が分った。
何事に於てもだ。
クロスするには反対のポジションが要る。
右と左を大切にせよ。
上と下を大切に、前と後ろを大切に、それで老いる程に老いの楽しさ、増えて行くと思う。

85歳の方が仰った。
75歳は若造だ。可愛いものよ、と。
確かにその通り。
私は若造である。
貴兄が若造に達するは20年先。
急がずともよい。
ただ、回り道は少ない方がいい。
道はそこに生きるものが作って来た。
獣道、人の道、都会と田舎道、いずれもそこに生きるものが作った道である。
継続は真っ直ぐの道を作る。
そして継続は万能薬、特効薬となり得るものである。
一日30回のクロス運動を続けて下さい。
以上です。

坂田信弘

昭和22年熊本生まれ。京大中退。50年プロ合格

週刊ゴルフダイジェスト2023年3月28日号より