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【陳さんとまわろう!】Vol.234「いろいろな技が使えるからランニングアプローチは楽しいんですよ」

日本ゴルフ界のレジェンド、陳清波さんが自身のゴルフ観を語る当連載。今回は、「ランニングアプローチが一番安全な寄せ方」と語る陳さんが、ランニングの基本の打ち方を改めて教えてくれた。

TEXT/Ken Tsukada ILLUST/Takashi Matsumoto PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/河口湖CC、久我山ゴルフ

前回のお話はこちら

クラブ選択やフェースの返し具合で技を生かせる

――グリーンのそばからボールをピンに寄せるときにはランニングアプローチが効果的で、パターばかり使っていると技が生まれない、という話が前回出ました。

陳さん はい。パターは1本しか持たないし、ボールを初めから転がすだけですから、技の生まれようがないわけよ。しかしランニングアプローチはピッチングウェッジからロングアイアンまで、ロフトの違うものを何本も使えるでしょ。それだけで、同じ打ち方をしてもボールの落ちる場所と転がる長さが違ってくるんですから、ここでクラブ選択による技が生かされるわけね。それからボールを打つときも、フェース面を変えないで打つのと、返しながら打つのとでは、落下した後のボールの転がりが違ってくるの。分かるでしょ。

――返しながら打ったほうがランが多くなるんですね。


陳さん そう。グリーンの状況によって打ち方を変えて、足を使ったり殺したりね。こういう技は、普通の人は見てもわかりませんよ。フェースを返して打ったかどうかなんてね。小さなストロークの中でのことなんですから。

――ボールを転がしたり止めたりされたら、同伴競技者は不思議がるし、上手いなと思うでしょうね。

陳さん 気分いいでしょ(笑)。

――ではそういう技も含めて、まずはランニングアプローチの基本から教えてもらえますか。

陳さん いいですよ。ランニングアプローチは打ち始めでボールを上げて、1メートル先とか2メートル先、3メートル先に落としてからボールを転がす寄せ方ですがね、これを成功させるためにはまずハンドファーストに構えたアドレスが必要なんだね。それからインパクトでもハンドファーストを崩さないことが絶対に必要ということなんですよ。ハンドファーストというのは、自分の目から見て、ボールの位置より手の位置が左にある状態。このように構えると、クラブのロフトが立つでしょ。いま私は8番アイアンを持っていますけど、7番ぐらいのロフトになるわけね。このように手を左に出してロフトを立てると、インパクトでクラブヘッドが突っかかったりしないんだねえ。もし手をボールの真上に置いて打ったりしたら、クラブヘッドにしゃくる動きが入るためにダフリが出やすくなるんだ。

――陳さんの構えを見ると、両足の幅を10センチぐらいに狭くして、ボールの位置は両足の真ん中。手の位置が左太ももの前にありますね。

陳さん はい。この構えができて、1メートル先にボールを落とすなら、ほとんどリストアクションだけでテークバックして。だから手の位置はアドレスのときとほとんど変わらないはずよ。どう?

――そうですね。トップの位置でも左太ももの前にあります。

陳さん 1メートルキャリーならテークバックでクラブヘッドを30センチも後ろに引けば大丈夫。(と言ってボールを打つ)小さいでしょ、ストローク幅が。ボールは打っておしまいでいいです。フォロースルーはつけません。これが3メートル先にボールを落とすなら、テークバックが大きくなりますからリストアクションだけでは無理なんだね。肩も少し入るし、手の位置も後ろに引かれます。それからフォロースルーも少しつけるように。(と言ってボールを打つ)ヘッドアップはしちゃダメね。ボールを打った跡を見るようにするといいんだ。

陳清波

ちん・せいは。1931年生まれ。台湾出身。マスターズ6回連続出場など60年代に世界で日本で大活躍。「陳清波のモダンゴルフ」で多くのファンを生み出し、日本のゴルフ界をリードしてきた

月刊ゴルフダイジェスト2023年3月号より