多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はマジェスティゴルフの『プレステジオⅫ』ドライバーを取り上げる。

いかにもつかまりやすそうな形状

マジェスティゴルフの主力モデル『プレステジオ』シリーズの最新作を紹介する。最薄部が0.3㎜という極薄クラウンでカーボンクラウン同等の重心設計を可能にし、チタンモノコックヘッドで、接着部がなくエネルギーロスを改善し、快適な打球音が特徴だ。

では、クラブとヘッドを計測していく。いつもどおり数値はすべて実測した値を掲載する。クラブ長が45.5インチとやや長いが、クラブ重量が269.0gと非常に軽いので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが282万g・㎠とやや小さく抑えられている。この数値だと、ドライバーのヘッドスピードが40m/sくらいのゴルファーにとって、タイミング良く振れる設計といえるだろう。

ヘッドを見ていこう。全体にオーソドックスな丸型形状で、時計の4～5時方向の張り出しが大きく、球をつかまえるイメージが出ている。そして、59.5度というアップライトなライ角度と、フェースアングルがプラス2度という強いフックフェース、そしてフェース面のバルジ（トウ・ヒール方向の曲がり）が少ない平らなフェースで球をつかまえようとしているのが伝わってくる。また、高級感のある仕上げも大きな特徴だ。

Point1　クラブ重量が269.0gと非常に軽い
Point2　クラブ全体慣性モーメントが282万g・㎠とやや小さい
Point3　クラブ長が45.5インチとやや長い

左右慣性モーメントが小さめで操作性が高い

実際に試打したところ、まずアドレスではアップライトなライ角、強いフックフェース、平らなフェース面、そして、小さなフェースプログレッションで球をつかまえるイメージが出ている。ヘッドは後方が低いシャローバック形状で、インパクト付近をアッパーブローにスウィングしやすいイメージが出ている。

試打クラブのロフト角は10.5度で、シャフトはメーカー純正の『マジェスティ LV750』のフレックスS仕様。Sと表記されているが、かなり軟らかめの設計なので、ヘッドスピードが37～38m/sくらいのゴルファーなら、このシャフトで十分扱えるだろう。また、グリップが細いのも特徴といえる。

ヘッドの左右方向の慣性モーメントは4212g・㎠と小さめだが、その結果、ヘッドのネック軸周りの慣性モーメントが6777g・㎠とやや小さめになっているので、ダウンスウィングでのヘッドが返りやすい。最近流行の大慣性モーメントヘッドよりも操作性が良く、より球をつかまえやすくなっているのが特徴だろう。

実際に普段キャリーで170～180ヤードくらいのシニアゴルファーにも試打してもらったが、もっとも綺麗な弾道で、効果的に飛距離が出ていた。フレックスSでもかなり軟らかいシャフトなので、非力なシニアゴルファーが球をつかまえて、素直なストレート系弾道で飛ばせそうだ。

【クラブ&ヘッドデータ実測値】

マジェスティゴルフ

プレステジオⅫ ドライバー

松尾好員

まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰

週刊ゴルフダイジェスト2022年9月27日号より