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【ギア選びのウソホント】Vol.90 “大慣性モーメント”はスライサーにとってはやさしくない?

「キング・オブ・試打」としてお馴染みの堀越良和プロが、長年の知見から、ギア選びの際に重視すべきポイントや注意点をわかりやすく解説!

前回のお話はこちら

先週は重心深度の深いヘッドが必ずしも球を上げてくれるわけではないことをお伝えしました。今週はここ5年でどのメーカーもやさしいと謳っている大慣性モーメントヘッドについて、お話しします。

一般的に各メーカーが慣性モーメントと呼んでいるのは「左右方向のヘッド慣性モーメント」になります。そもそも慣性モーメントは物体が回転しようとする際の回転の「しにくさ」を表す数値で、この数値が大きいヘッドだと芯を外した場所でインパクトしてもある程度ヘッドの回転=ブレが抑えられ、打ち出し方向がバラつきません。ただし、この左右方向のヘッド慣性モーメントが高いと、「ネック軸周り慣性モーメント」も大きくなる傾向にあります。ネック軸周り慣性モーメントが大きいと、ダウンスウィングでヘッドの返りが緩やかになりますので、スライサーが使用すると余計にスライスを助長するクラブになりかねません。

週刊ゴルフダイジェストの連載「ヘッドデータは嘘つかない」でも書かれていましたが、やさしいとされる『ゼクシオ』は、実は前述の2つの慣性モーメントの値がどちらもそれほど大きくありません。スライスで悩んでいる人は大慣性モーメントでないクラブのほうが合うかもしれませんよ。

慣性モーメントが大きいから「やさしい」とは一概に言えないのです

堀越良和

ほりこしよしかず。週刊ゴルフダイジェストで試打レビューを続けて約四半世紀の「キング・オブ・試打」

週刊ゴルフダイジェスト2022年6月14日号より