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【工房系ドライバー調査団】Vol.4 「エミリッドバハマ」四半世紀の研究・開発の結晶

四国~中部地区にかけて地クラブ愛好家の間で「やさしいのに飛ぶ」と評判のエミリッドバハマ。その最新モデルが『カールヴィンソン CV8』だ。

PHOTO/ARAKISHIN

バハマならではの飛距離性能に加えて、重心距離を短くしたことで球のつかまりがよくなり、重心位置を前方にしたことで低スピン化を実現


エミリッドバハマ

(愛媛県)

パーシモン時代からクラブヘッドの開発を手掛ける田中浩士さんが社長を務めるグランプリ。上級者向けのグランプリに対して、「アベレージゴルファーでもやさしく使えて飛ぶヘッドを」というコンセプトで誕生したのが「エミリッドバハマ」だ。ヘッドにデザインされたライオンが存在感を放ち、所有感を満たす


グランプリ専務
田中浩章さん

永久シード選手のパーシモンヘッドを製作していた社長の田中浩士さんから設計を学び、HC2のトップアマである自身の経験を基に、飛距離性能とやさしさを両立させたクラブ開発を進める

キャリーだけでなくランも稼げる

開発者である専務の田中浩章さんはプロを目指したこともある四国のトップアマ。エミリッドバハマについて聞くと、「会社名と同じ、グランプリというブランドがまずあり、上級者をターゲットにしていました。叩いても左に行かない、引っかからないヘッドは、競技ゴルファーに人気がありましたが、難しいイメージがあり、アベレージゴルファーの使用率は高くありませんでした。競技ゴルファーは全体から考えるとひと握りしかいないので、アベレージゴルファーでも扱いやすいクラブが必要と考え、このブランドを立ち上げました」(浩章さん)


エミリッドバハマのコンセプトである「もっとやさしく、もっと格好よく」の“格好よく”を表すライオンのシンボルマークがソールに大きく刻印された『カールヴィンソンCV8』は、ブランドの8代目ヘッド。

「設計コンセプトは“球をつかまえる”で、流行のつかまりのいい、高弾性シャフトに合うように作りました。とはいえヘッドが返りすぎないように重心位置などは調整しています。社長の田中浩士はパーシモン時代からヘッドを削ってきたので、構えやすい“顔”や“座り”の形状には一家言あり、また前職ではF1の部品を作っていた職人でもあるので、100分の1単位の精度を追求した高いクオリティを業界に持ち込みました。さらにグランプリという会社を立ち上げた当初から飛距離性能を上げるためにフェース構造の研究・開発を続けてきて、フェース裏面にはさまざまな飛ばしの要素を詰め込んでいます。その研究結果から、このヘッドの売りのひとつである特殊合金で作ったカップフェースが生まれました。長年の経験からカップフェースはフォージド製法でないと飛距離性能が落ちることがわかっているので、鍛造にもこだわっています。

もうひとつの特徴は、ソール形状です。まず目を引く6個のウェイトビス。このビスの重量(1、2、3、5g)を替えることでゴルファーひりひとりの最適な重心深度や重心距離を手に入れることができますし、ヘッドを軽くすることで長尺でも、逆に重くして短尺でもほどよい振り心地に調整することが可能です。ウェイトをソール前方に集中させているのは重心位置を浅くするためです。ディープフェースと相まって低スピンでキャリーが出るだけでなく、落ちてからもランが稼げるようになっています。

またソール形状によって打音も変わってくるので、心地よい弾き感がある打感を目指した結果、この形状になりました。ソールのトウとヒール側の凹みによって、ソールの剛性を高め、カップフェースのフェース部分がしっかりたわみ、その結果、エネルギーロスを減らしインパクトを最大効率化しています」(浩章さん)

エミリッドバハマ
『カールヴィンソン CV8』

ソールにある6個のウェイトビスは1、2、3、5gから選ぶことができ、ヘッド重量と重心位置を自在に調整可能。長尺でも振りやすいので、飛距離アップが可能だ

◎素材/特殊合金 ◎ロフト角/9~12度 ◎ライ角/59.5度 ◎ヘッド体積/460cc ◎価格(ヘッド)/7万7000円

週刊ゴルフダイジェスト2022年6月7日号より