【アイアン研究】第3弾「飛距離・やさしさ・操作性の3拍子!」“ちょい飛び系”16選
PHOTO/Hiroaki Arihara、Tomoya Nomura
THANKS/ゴルフ倶楽部成田ハイツリー、フライトスコープ ジャパン
アイアンに求めるものは、思い通りにボールを操り、狙ったところへ運ぶこと。でも、もう少しだけ飛距離もほしい……。最近の主流は、そんな悩みを解消してくれる“ちょうどいい飛び”の「ちょい飛び」アイアン。今回は飛びよし、操作性よし、打感よしの、ゴルフがもっと楽しくなるアイアンを徹底試打!
データ分析&解説/松尾好員
小誌「ヘッドデータは嘘つかない」でお馴染みのクラブ設計家。数多くのクラブを計測・分析中。ジャイロスポーツ主宰
試打&解説/鈴木悠介
2016年プロテスト合格。試合に出場しながらインドアスタジオ「千葉銀座CC」でレッスンも行う。千葉学芸高校出身
【計測方法】
鈴木プロのドライバーHSは48m/sで7番アイアンの飛距離は170ヤード。ボールはタイトリスト「プロV1」を使用し、弾道計測器「フライトスコープ」で計測。試打データは5球打った平均値。SS(スイートスポット)の広さは、わざと芯を外して打って判断した
見た目スッキリ
球が上がってスピンも入る!
現在のアイアンの主流となっているのは7番のロフト角が30〜32度の「ちょい飛び」アイアン。薄めのトップラインを持ち、見た目はアスリートモデルとほとんど変わらない。普段はアスリートモデルのタイトリスト「T100」を使っている鈴木悠介プロは
「新しい『T200』は、スッキリしたフォルムで、構えやすさは『T100』と遜色ない。それなのにロフトが3度立っているので1番手近く飛びます。ソールが厚いので球が楽に上がるし、直進性も高い。スピンもしっかり入るので、高さとスピンで止まるボールが打てます」(鈴木)
ボールの上がりやすさにはロフト角が大切だと松尾氏。「ストロングロフトになりすぎると、練習場のマットの上なら何とかなりますが、実際に芝の上から、あるがままのボールを打つ場合にはパワーがないと球が上がりにくい。本来であれば7番で30度以上欲しいですね」(松尾)
飛距離もある程度欲しいけど、高さもスピンも犠牲にしたくない。そんな欲張りな人にピッタリなのが、今回取り上げる「ちょい飛び」アイアンなのだ。
ロフト角31~32度(7I)
タイトリスト「T200」
【ロフト角】31度
飛距離 | 177.9Y |
キャリー | 177.2Y |
初速 | 56.6m/s |
打ち出し角 | 19.8度 |
スピン量 | 6158rpm |
高さ | 37.4m |
シャープな小顔ながら飛びとやさしさを兼ね備える
シャープなトップラインをもつコンパクトなヘッド形状。オフセットも最小限。鍛造L型フェースインサートにより、手応えのある打感とともに高初速を生み出す
タイトリスト「T100S」
【ロフト角】32度
飛距離 | 173.1Y |
キャリー | 172.6Y |
初速 | 55.7m/s |
打ち出し角 | 20.2度 |
スピン量 | 6418rpm |
高さ | 37.0m |
ツアーモデルの操作性と打感はそのまま
「見た目も操作性もツアーモデルの『T100』そのもの。ロフトが立っている分、少し飛びます。多少のミスもカバーしてくれるし、ソールの抜けも抜群で、ただロフトを立たせただけでないことがわかります。打感も軟らかくて、気持ちいい」
ダンロップ「スリクソン ZX5」
【ロフト角】31度
飛距離 | 175.7Y |
キャリー | 175.2Y |
初速 | 57.5m/s |
打ち出し角 | 19.1度 |
スピン量 | 6049rpm |
高さ | 38.1m |
ソールの抜けがよく高弾道でミスにも強い
「スリクソン独特のV字形のソールで抜けのよさは抜群。純正カーボンシャフトもしっかりして振りやすい」
ダンロップ「スリクソン ZX7」
【ロフト角】32度
飛距離 | 174.5Y |
キャリー | 174.1Y |
初速 | 55.8m/s |
打ち出し角 | 19.4度 |
スピン量 | 6430rpm |
高さ | 36.9m |
「ZX5」よりスピンが多く打感もやや軟らかい
「軟鉄素材のため『ZX5』より打感が軟らかく、ロフトが1度寝ている分、スピンがしっかり入って止まる」
ブリヂストン「ツアーB 201CB」
【ロフト角】31.5度
飛距離 | 170.0Y |
キャリー | 169.1Y |
初速 | 54.5m/s |
打ち出し角 | 18.4度 |
スピン量 | 5987rpm |
高さ | 31.6m |
安定した弾道でタテの距離がブレにくい
「ややグースで、構えたときに球がつかまる安心感がある。安定した弾道で正確な球が打てる」
ヨネックス「EZONE CB 702 フォージド」
【ロフト角】31度
飛距離 | 181.3Y |
キャリー | 180.1Y |
初速 | 55.1m/s |
打ち出し角 | 16.3度 |
スピン量 | 6423rpm |
高さ | 32.1m |
シャローフェースとV字ソールで抜けが抜群
「打感もよく、インパクトで“ボーン”と前に飛ぶ感じがある。シャローフェースだが芯は広めで抜けがいい」
ミズノ「JPX921 FORGED」
【ロフト角】31度
飛距離 | 172.2Y |
キャリー | 171.5Y |
初速 | 56.4m/s |
打ち出し角 | 18.6度 |
スピン量 | 6076rpm |
高さ | 35.4m |
打ち込んでも払って打ってもいい球が出る
「さすがミズノという打感と打音。多少のミスも、そこまでミスにならないやさしさも合わせ持つ」
ロフト角30度台(7I)
キャロウェイ「APEX」
【ロフト角】30.5度
飛距離 | 175.6Y |
キャリー | 174.8Y |
初速 | 55.9m/s |
打ち出し角 | 19.8度 |
スピン量 | 6178rpm |
高さ | 33.9m |
構えたときに安心感のあるやや厚めのブレード
「やや厚めのブレードで、思ったよりもミスに強い。スピンも入るし、球が上がりやすくやさしい」
キャロウェイ「APEX DCB」
【ロフト角】30度
飛距離 | 181.9Y |
キャリー | 180.4Y |
初速 | 57.7m/s |
打ち出し角 | 18.2度 |
スピン量 | 5689rpm |
高さ | 33.7m |
つかまりがよく飛距離も出る
「『ちょい飛び』のなかでは、かなり飛距離を重視したモデル。つかまりもよく、ボールが楽に上げられる」
ブリヂストン「ツアーB 202CBP」
【ロフト角】30度
飛距離 | 178.2Y |
キャリー | 177.3Y |
初速 | 56.3m/s |
打ち出し角 | 17.4度 |
スピン量 | 5823rpm |
高さ | 32.9m |
やや弾くような打感。つかまりは抜群
「とにかくつかまりがいい。飛距離も出るし、厚めのブレードで多少芯を外しても飛距離が落ちない」
プロギア「05」
【ロフト角】30度
飛距離 | 178.1Y |
キャリー | 177.3Y |
初速 | 57.1m/s |
打ち出し角 | 16.7度 |
スピン量 | 6716rpm |
高さ | 33.3m |
風にも強いライナー系の強弾道
「純正シャフトが先端部にメタルを複合した『MCI』で、しっかりしていて振りやすい。そのせいなのか球が強く、ボールが前へと飛んでいく。打感はやや弾く感じがある」
テーラーメイド「P790」
【ロフト角】30.5度
飛距離 | 176.8Y |
キャリー | 176.1Y |
初速 | 56.7m/s |
打ち出し角 | 17.1度 |
スピン量 | 6684rpm |
高さ | 33.6m |
スピンのしっかり入った中弾道の強い球
「内蔵されたタングステンの効果なのか、多少のミスヒットでも安定した弾道で飛距離がそれほど落ちない。打ち出しはやや低めで、初速が速く強い球。それなのにスピンもしっかり入って止まる。打感もそれほど硬くない」
フォーティーン「TB-5 フォージド」
【ロフト角】30度
飛距離 | 189.0Y |
キャリー | 187.9Y |
初速 | 58.0m/s |
打ち出し角 | 16.0度 |
スピン量 | 5984rpm |
高さ | 32.1m |
厚みのあるソールでミスにも強い
「マッスルバックのようなブレードだが、バックフェースがえぐれたようになっていてスイートスポットが広い。ソールにも厚みがあり、見た目よりかなりやさしい」
フォーティーン「PC-3」
【ロフト角】30度
飛距離 | 177.7Y |
キャリー | 176.6Y |
初速 | 57.3m/s |
打ち出し角 | 17.4度 |
スピン量 | 6657rpm |
高さ | 33.2m |
グースネックでつかまりやすく球も上がりやすい
「面長で大きく安心感のあるヘッドで、実際にスイートエリアも広い。グースネックでつかまりがよくボールも上がりやすい。ドロー系の高弾道でスピンも十分」
ピン「G425」
【ロフト角】30度
飛距離 | 183.7Y |
キャリー | 183.1Y |
初速 | 57.5m/s |
打ち出し角 | 19.6度 |
スピン量 | 5451rpm |
高さ | 39.0m |
当たり負けしないミスに強いヘッド
「打ち出しが高く、そのままどこまでも上がっていくような高弾道。飛距離も出るし、スピンよりも高さで止められるクラブ。ヘッドも大きめでミスにも強い」
本間ゴルフ「ツアーワールド TR21X」
【ロフト角】30度
飛距離 | 173.6Y |
キャリー | 173.3Y |
初速 | 56.9m/s |
打ち出し角 | 17.6度 |
スピン量 | 6958rpm |
高さ | 35.1m |
スピンがしっかり入って、止まる球が打てる
「中空だが、すごく飛ぶわけでもなく、まさに『ちょい飛び』。高重心で驚くほどスピンが入る」
週刊ゴルフダイジェスト2021年9月7日号より