【頑固オヤジのクラブ工房】Vol.142 ショートウッドの“引っかけ”を防ぐチューンナップ法とは?
ILLUST/Kochi Hajime
東京下町でゴルフ工房を営む店主がギアに関する悩みに答える連載「頑固オヤジのクラブ工房」。今回のお悩みは「ショートウッド」について。
Q. 初めてのショートウッド
効果的なチューンナップは?
ホームコースのベテラントップアマと回ったら、ラフから9番ウッドでビシビシ乗せていました。私もショートウッドを試してみたいんですが、使いこなすのに有効なチューンはありますか?(48歳・HC13・会社員)
最近は調子狂っちまうよな。6月から真夏日とか、どうなってんだか。そろそろ天気にも落ち着いてほしいよな(笑)。
とはいえ、もう夏だ。夏になると、ラフなんかもしっかりしてくる。刈り込まれて、沈み方が浅くても抜けにくい、抜けても止まりにくい、なんてことがよくある。
こんなのには、ロフトがあるクラブを選ぶのが正解だな。
「オヤジさん、ショートウッド、みつくろってくださいよ」
「なんだよ、ユーティリティに飽きたのかい?」
「いや、この間ホームコースのトップアマと回ったんですよ、68歳の。それが170ヤードぐらいのラフから、9番ウッドでビシビシ乗せてきて、楽々パーを取っていくんです。私は同じラフからチョロみたいなミスばかりで……」
「なるほどな、それでショートウッド、入れたくなったんだ」
9番ウッドのロフトは、23度ぐらい。それでも同じロフトのアイアンやユーティリティよりも、格段に高く上がる。重心深度が深いからだ。
「まあ、最近増えてきた“ぽっちゃりUT”なんかも、よく上がるんだけどね。9番ウッドのほうがソールも広いし、シャフトも長いから、応用とか加減は利かせやすいと思うよ」
「そうなんですよ、そのベテランさん、短く持ったりカットしたりして、150ヤードぐらいでも上手く乗せていたんです」
「ゆるく打っても高さを確保できるからな、それがいいんだよ。ただ、上がりやすさと引っかかりやすさはイコール。やさしく扱いたけりゃ“逃がしやすさ”をプラスするといいのさ」「どういうこと?」
シャフトの挿し方で
逃がしやすさをプラス
ウッドで逃がしやすさを演出するなら、まずはシャフトの挿し方を考える。
「市販の9番ウッドは、非力向けのイメージのせいかヤワなシャフトがプロパーで用意されていることが多い。で、少ししっかりしたシャフトに替えるなら、その際、挿し方をいじればいい」
「……ホーゼルのカチャカチャみたいな感じで、フェースをオープンにするとかですか?」
「そう。9番ウッドでカチャカチャのホーゼルになっているものは少ないから、装着時に向きを決めて挿す。ただ、フェースを開けばいい、とは限らないんだな」
シャフトを右から挿すと、フェース向きはオープンになるがインパクトでロフトが立ちやすい。高さを求めるのには不向きだし、加減すると打球が右に滑るミスにもなりやすい。
「だから、打ち方の傾向に合わせて、右挿しなら気持ちアップライト、逆に左挿しで気持ちフラット、なんて2通りを考えてるよ。お前さんは、左挿しフラットが合うと思うな」
「どうしてですか?」
「左挿しでロフトが増えるとハンドファーストに構えられるし、ソールから着地して滑りやすくなるからな。で、つかまる安心感から加減もしやすくなる。ショートウッド初心者には、このほうが“逃がしやすい”と思うんだ」
仕上げに、グリップを考えてみる。リキまず、コネにくいグリップという観点なら、はやりの右手部分が太い、寸胴タイプがいい。
「コントロールショットとか、細いほうがいいイメージですけど」
「ラフでも抜けるくらいにそこそこしっかり振って、フェース面を安定させたかったら、太いほうがいい。ウェッジと同じ感覚だよ。で、バックラインもしっかりしているほうがいい。ゴルフプライドの『アライン プラス4』を軽く引き伸ばして、少しだけ細めめに調整したのとかがオススメだな」
バックラインの位置も、好みで調整するといいよ。
月刊ゴルフダイジェスト2021年8月号より