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【50代からのギア選び・シャフト編】<後編>「男子プロでも“軟らかめ”を選ぶ選手が増えている」

なんとなく「以前のように振れなくなった」ことを実感する50代。体力に衰えが見えてくるゴルファーの「大きな曲がり角」だ。以前までのヘッドスピードと飛距離を取り戻す手立てとして、シャフトが救世主になるのか? 前回に続きプロに詳しい話を聞いてみた

PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/クレアゴルフフィールド

解説/堀越良和

試打経験から裏打ちされた豊富な知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる、“キング・オブ・試打”。クレアゴルフフィールド所属

>>前編はこちら

50代になると、体力が衰え、これまで振れていたシャフトが振り切れなくなる問題に直面しているゴルファーも多いだろう。また、スペックを落とすのには抵抗があるものだ。 

しかし、近年国内男子プロもスペックを落としている選手が見られる。男子プロは「X」が当たり前だと思われがちだが、「S」を挿し、それが功を奏して、優勝しているケースもある。 

今年、国内男子ツアーの選手会長に就任した阿久津未来也は、昨年フレックスを「X」から「S」に変更し、ミズノオープンで初優勝。 スウィングでしなりを感じたいと、プロ転向から「S」を使う石坂友宏も今年の開幕戦で初優勝。 


人気選手、石川遼も2023年シーズン途中から「S」を使用。 過去2度の賞金王の今平周吾も昨年「S」に変更、シーズン途中には「R」を使ったときもあった。

「ヘッドスピードが速いから自動的にXがいいということはありません。自分のスウィングに合ったシャフトを選ぶという観点はプロも共通で、ヘッドスピードだけでスペックを決めていません。 

シャフトを替えるタイミングは、トッププロのように、スウィング改造に伴って変更するケースも多いですが、現状のシャフトが体力的な観点で振り切れなくなったら、これは変更のサインです。アマチュアは純正シャフトを使用する人が多いですが、球が上がらなくなったり、つかまりが悪くなる、ヘッドスピードの低下、ラウンド後半の疲労の蓄積が顕著になる場合は、スペックを落としましょう。 

特に、振り切れないシャフトを使うことで、無理やりヘッドスピードを上げようとしたり、球を無理に上げたりすることで、手打ちになったり、力みが生まれます。当然、変な癖がつき、ミスの原因にもなりますし、無理をしてしまうので、各関節や首、背中、腰に負担がかかり、ケガの原因にもなります。たとえケガをしなくても、ラウンド後半で疲労困憊(こんぱい)の状態では、いいスコアは望めません。 

スペックを落とすことは恥ずかしいことではないです。振り切れないサインが出ている人は、シャフト変更を検討しましょう」

阿久津未来也

昨年「S」に変更しミズノオープン優勝

「ベンタス TR ブルー」の6Xから「長い目で見たスウィング改造」に伴い、フレックスをSに変更。FWのシャフトもすべてSに。フレックス変更後の昨年のミズノオープンでツアー初優勝を飾り、賞金ランクも自身最高の10位に

石坂友宏

デビュー以来「S」を使い今年の開幕戦で初優勝

「ツアーAD PT」の6Sを使う石坂は「Xだと強く振らなきゃいけない感覚ですが、Sはしなりを感じてスムーズに振れます」と言う。自身のスウィングテンポを把握し、地道に努力を重ね、今年の開幕戦で初優勝を飾った

石川遼

スウィング改造で「S」を選択した

長くXを使っていたが、スウィング改造に伴い、スペックダウンにかじを切った。「自然なしなりでオートマチックに球をつかまえたい」とスウィングテンポを穏やかにし、現在は「ツアーAD GC」の6Sで米下部ツアーで奮闘中

今平周吾

昨年から「S」に変更一時期「R」も使っていた

2度の賞金王に輝いた今平も昨年の開幕戦からSに。シーズン途中、「ツアーAD FI」に変更した際、「切り返しで大きくしなり、タメが作れる」と5Rにスペックダウンし、話題に。今年の開幕戦は「ツアーAD PT 」の6Sを使う

「50代は新しい“運命シャフト”を探すタイミングです」(堀越プロ)

「50代になると、今まで振れていたスペックが振れなくなってしまうが、見栄やプライドによって使い続ける人は多いです。でも、そんな見栄やプライドはすぐにでも取っ払いましょう。歳を取ると体力の低下はどうしても避けられません。体力の低下を受け入れて、最適な一本を見つけることで、より良いゴルフライフを切り開けるはずです」

あなたのタイプ別シャフトの選び方

次に、堀越プロに「キックポイント違い」のシャフトと「重量、フレックス違い」のシャフトを打ち比べてもらい、タイプ別に適したスペックを探った。 

まずは、キックポイント違い。テーラーメイドQi4Dの純正シャフト「REAX」で手元、中、先調子で比較した。

「手元調子のREAX LRはしなりが抑えられ、しっかり叩きにいけるハードヒッター向けで左のミスを防ぎたいゴルファーが使用することが多いですが、このタイプで振り切るのが難しくなった場合は、中調子の(MR)モデルに変更することを検討しましょう。キックポイントが手元側から少しでもヘッド側に変わるだけで、しなりを感じやすくなり、ラクになります。 

中調子で振り切れなくなった場合は、先調子(HR)がおすすめです。よりヘッドに近いポイントでしなるため、球が上がりやすく、よりつかまえやすくなります」

続いて、重量、フレックス違いのシャフトを試打したうえで、5Sを使用している前提で、加齢による悩み別にどんなスペックに変更したらいいかを堀越プロに聞いてみた。

「球が上がらなくなった人は、重量を軽くして、フレックスは維持しましょう。軽くなることでインパクトにかけてヘッドの動きがよりスムーズになり、ロフト通りにインパクトし、球が上がりやすくなります。 球がつかまらなくなった人は、フレックスを下げましょう。軟らかくすることで、フェースが閉じやすくなり、つかまりが改善します。 ヘッドスピードが著しく低下した人は、単純に重量を落としながらヘッドスピードを出しやすくし、しなりも生みやすくするため、フレックスを軟らかめにしましょう。 ラウンド後半で疲れてしまう人は、軽くすることで蓄積する疲労を軽減できます」

【今回使用したシャフト】
テーラーメイド Qi4D REAX LR(白)、MR(青)、HR(赤)

Qi4Dのオリジナル純正シャフト。アマチュアのスウィングに対応するべく、3つのキックポイント、重量も40~60グラム台と豊富にラインナップされている

あなたに合うキックポイントはコレ!

手元調子(LR)
左のミスを防ぎたいゴルファーに
「手元調子なので、先端が硬く、叩きにいきたいハードヒッター向けです。球が上がり過ぎる人は吹き上がりが抑えられて、左のミスをしがちな人にはつかまり過ぎることはないのですが、体力が落ちると振り切るのは難しいです」

中調子(MR)
しなりを感じてタイミングを取る人向け
「手元調子が難しくなった場合、中調子がおすすめです。元調子に比べて、ダウンスウィングでしなりやすく、特別な操作をしなくても、オートマチックにしなり戻りが起きやすくなるため、タイミングが合わせやすくなります」

先調子(LR)
球を上げたい、つかまえたい人向け
「中調子で振り切れなくなったら、先調子を検討しましょう。シャフトの先端、ヘッドに近い場所で挙動が発生することで、むちのようにしなり戻りが起き、劇的に球を上げやすくなり、球をつかまえてくれる働きを果たしてくれます」

【今回使用したシャフト】
グラファイトデザイン ツアーAD GC

2024年発売の中調子モデル。リリース当初から多くのプロが愛用。シャフト先端部分の内径を従来のモデルより太くし、大型ヘッドのブレを抑え、インパクトでの当たり負けを防ぐ

悩み別シャフトの選び方(5Sを使用している場合)

●球が上がらない=4S
硬さはそのままで重量を落とすのがおすすめ。「クラブを軽くすることで、ロフトなりのヘッドの動きになりやすく、打ち出しが上がり、適正なスピンも入りやすいです。10グラムでも実際に持ってみたら、とても軽く感じます」

●球がつかまらない=5SR、5R
重量はそのままにフレックスを落とそう。「フレックスを落とすだけでも、違うシャフトのようにつかまりが良くなります。しなり戻ることで、つかまりやすくなるのと同時に、タメが作りやすいので、体の突っ込みも抑制してくれる効果があります」

●ヘッドスピードが落ちる=4SR、4R
重量もフレックスもどちらも落とそう。「単純に重量を軽くすることでスピードが生まれますし、復活したスピードでしなりも感じやすく、エネルギーが伝わりやすい。実は今回の試打で一番飛距離が出たのが4Rのシャフトでした」

●ラウンド後半で疲れる=4S
ラウンド後半で疲れてしまう人は重量を軽くしよう。「ラウンド後半に下半身が踏ん張れなくなるのは、軽くすれば解消できます。注意点として、極端に軽くすると、また違うエラーが出てくる可能性があるので、10グラムの軽量化が妥当です」


シャフト選びの注意点

「必ず、購入前にフィッティングを受けよう」(堀越プロ)

「手軽にネットで物を購入できる時代ですが、シャフトを購入する際は、フィッティングを実施してください。固定観念で選んで合わないモデルだった場合、ヘッド以上にダメージは大きいです。スペックを変える際、今までのモデルと違う系統のシャフトと合う場合があるので、フィッティングに行き、慎重に選択しましょう」

週刊ゴルフダイジェスト2026年6月2日号より