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【イザワの法則】Vol.60 曲がる人はミニドライバーでも曲がると思います

米ツアーの選手を中心に使用者が増えている「ミニドライバー」。アマチュアの間でも注目が高まっているが、伊澤プロの目にはどう映っているのか?

TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)

>>前回のお話はこちら

ミニドライバーが
受け入れられた理由

海外のツアーで(トミー・)フリートウッドなんかが使って話題になっている「ミニドライバー」ですが、テーラーメイドやキャロウェイ、タイトリストなどがラインナップしていて、一時のブームで終わらなそうな雰囲気になってきました。どのメーカーのミニドライバーも、ヘッド体積は300~350㏄くらい、ロフトが11~14度くらいというのが相場みたいですが、そうなると昔のブラッシー(2番ウッド)みたいな感じなのかなと思います。

ミニドライバーが「曲がらない」と言われているのは、ヘッドの性能というより「短いから」というのが大きいと思います。それならスプーン(3番ウッド)でいいじゃないかと思うかもしれませんが、スプーンは地面から打つことを前提にしているのでドライバーよりフェースの厚み(上下)が少ない。ティーアップして打つのであれば、ある程度フェースは厚いほうが、重心の上部分で打ててスピンが減るので(いわゆる縦のギア効果)、同じロフトでもミニドライバーのほうが飛ばせる可能性はあります。デシャンボーはあれだけ速く振るのに、通常のドライバーでも曲がらないですが、ミニドライバーならさらに曲がりを気にせず振れるのかもしれません。


アマチュアには
ヘッドの小ささがネックになる

つい先日、地元(伊澤プロは福岡県在住)で練習ラウンドしているときに、(小田)孔明がミニドライバーを使っていて、「これいいですよ」って言っていましたが、正直あまり興味は湧きませんでした(笑)。現実的な問題として、「14本」の制限がある以上、もしバッグに入れるとしたら代わりに何かを抜かなきゃいけない。ミニドライバーは一応、フェアウェイからも使えそうですが、それで「じゃあスプーンを抜くか」とはなりづらい気がします。あるいは、7番ウッドとかハイブリッドを入れている場合も、基本的には必要だから入れているわけで、それを抜くほどのメリットがミニドライバーにあるのかどうか……。

結局、普通のドライバーとの2本持ちは諦めて、「ドライバーを抜くしかないのでは?」と思います。普通のドライバーが曲がってしょうがないというなら、かなり有効でしょうけど、私はドライバーが割と「上手い」ので(笑)、今のところは手を出すことはなさそうです。 

ならば、アマチュアにはメリットがあるかということを考えると、普通のドライバーでOBまで曲がってしまう人の場合は、ミニドライバーでもかなり曲がるんじゃないかと思います。むしろ、ヘッドが小さくなる分、普通のドライバーより難しく感じてしまうケースもあるかもしれません。

ミニドライバーは短いので「振りやすい」というのが最大のメリットですから、「普通のドライバーでもそこまで曲がるわけじゃないけど、曲がるのが怖いから思い切り振れない」という人にはぴったりじゃないでしょうか。それでドライバーがリズムよく振れるようになれば、他のショットにもいい影響が出ますから、スコアアップも期待できると思います。

「曲がりが怖くて
ドライバーを振り抜けない人には
有効かも」

曲がる原因を把握しよう

ドライバーの方向性をよくする最大のコツは、「手が胸の前から外れないこと」と伊澤プロ。アマチュアはとくに、テークバックで胸を回さずに手だけで上げるケースが多く、そうなると手と体を一体に動かすことは絶望的で、それが曲がる原因になる

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2025年11月号より