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【浦ゼミナール】Vol.54「パターのグリップだけは完璧に真っすぐに!」

身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。「どんなパターでもOK」だと言う浦さんにも、譲れないポイントが1つだけある。それはグリップの向き。スクエアなグリップは、真っすぐ構えるための必須条件だと言う

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー

前回のお話はこちら

浦大輔

浦大輔

うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・池上で√d golf academyを主宰

スクエアなグリップは
真っすぐのよりどころ

――浦さんはいろいろなパターを分け隔てなく使いこなしているとのことですが、自分が使うパターに「コレだけは譲れない」というポイントはありますか?

 ありますよ。グリップです。グリップが完璧に真っすぐ挿さっていることが唯一にして絶対の条件です。ヘッドの形状やデザインはそれほどこだわりませんしグリップの形も何でもいいですが、グリップの向きだけは譲れません。

――やはりグリップの向きがズレていると、狙ったところに打ち出せないということですか?

 打ち出し云々以前に、グリップの向きがズレていたら「真っすぐ」の基準がなくなってしまうからです。パターは14本のなかで唯一、グリップの断面が真円でなくてもいいクラブ。だからほとんどのパターグリップは上面がフラットな形状になっています。これは他のクラブにはない圧倒的なメリットで、私もパターを構える際にはこの面をスクエアの基準にしています。フェースの見え方はヘッドやネックの形状やオフセット具合によって個体差があるので、フェースの見え方にこだわりすぎるとパターが変わったときにおかしくなる。でもグリップがフェースと完璧に直角なことがわかっていれば、見え方に違和感があってもグリップを信じることで、確実に真っすぐ構えられるんです。


――「真っすぐのよりどころ」というわけですね。

 もしずーっと絶対的なエースパター1本だけを使い続けるなら、そのパター特有の「真っすぐ」を信じればよく、グリップが曲がって入っていようがフェースがかぶっていようが、そのパターなりのスクエアで構えればいい。でも、複数のパターを使い分けたり買い替えたりするのであれば、どのパターにも共通してスクエアの基準になるポイントがないと、真っすぐ構えられなくなってしまいます。言い換えれば、グリップとフェースが完璧に直角でさえあれば、どんなパターでも真っすぐ構えられるんです。
 だからパターグリップは0.1度単位で完璧に真っすぐじゃなきゃダメだし、新しいパターもグリップが真っすぐでなければ買わないか、もしくは買ってすぐにグリップ交換します。グリップ交換も、自分でやるか、そこを信頼できる方にしか任せません。

――なるほど、浦さんがパターを日替わりでチェンジできるのは、そこに理由があったんですね。でもパターを替えたとき、タッチはどうアジャストするんですか?

 グリーンのスピードはコースによって違うし、同じコースでも日によって差があるんですから、そこはパターが何であろうと自分でアジャストが必要な部分です。だから朝のパッティンググリーンで確認し、ラウンドしながらアジャストする。タッチの基準はパターに持たせる必要はないんです。

どんな形のパターでも、フェースがどう見えても、グリップとフェースが完璧にスクエアになっていることが担保されていれば、真っすぐ構えることができる。浦さんが「どんなパターでも使える」という前提条件はここにある

フェース面の“板”が
動いているイメージ

――0.1度単位の真っすぐなんて、見てわかる気がしません。どうチェックすればいいのでしょうか?

 見極めるには経験が必要ですが、自信がなければ信頼できるショップの店員さんに「このグリップ、真っすぐ入ってますか?」って聞きましょう。最近はレーザーを使って完璧にスクエアに装着できるので、そういう設備を備えたところに相談してもいいかもしれません。

――なるほど。ちなみに浦さんはフェースのスクエアが重要とのことでしたが、ヘッドのサイトラインは気にしないのですか?

 個人的にはまったく気にしません。何なら見てもいません。私は構えるときもストローク中も、フェース面しか見ていないので、ストローク中はフェース面の“板”が動いている感覚ですね。

浦さん自身は、パターは「フェースしか見ない」タイプ。ストローク中も、フェース面部分の“板”だけが動いているイメージなので、サイトラインやヘッド後方の形状は気にしないと言う

――だから浦さんはヘッド形状が何でもOKなんですね。

 真っすぐに自信のない人は、サイトラインを補助線的に使うのはもちろん有効です。ただし、置いて構えて見るだけじゃなく、実際にストロークして確認してください。ストロークして線が動いた残像が、自分のイメージに合うかどうかで判断することが重要ですよ。私なんかはむしろジャマに感じることがあるので、黒く塗りつぶしてしまう場合も多いです。

軌道は直線ではないので、必ずしもキレイな直線には見えない点に留意しよう

ヘッドのサイトラインは、真っすぐ構えるうえでの補助線としては有効。自分が構えやすい線のタイプを見つけよう。ただし、構えて置いた状態だけではなく、実際にストロークしてみて、線の「残像」の見え方がしっくりくるかどうかをチェック

――フェースインサートはどう考えればいいですか?

 打感はあくまで好みなので、自分のフィーリングに合うものを選べばいいと思います。個人的には、金属削り出しのソリッドな打感は、インパクトがボヤけないので好きですし、タッチ面のメリットはあると思います。ただしどうしても削り出しのヘッドは高価になりますよね。一方樹脂や複合素材のフェースインサートの最大のメリットは、フェース部分を軽くできること。そのぶん重量を周辺に配分できるので、ヘッドを大型化したり慣性モーメントを大きくするなどの機能をプラスアルファできる。極論、打感と機能のどちらを取るかという話です。

打感を取るなら金属
機能を取るなら樹脂

金属削り出しヘッドのソリッドな打感は、インパクトのフィードバックがボヤけないのでタッチを出しやすい。樹脂や複合素材のフェースインサートは、フェース部分を軽くできるぶんヘッドサイズや周辺重量を大きくしやすく、直進性やミスへの寛容性を向上しやすい

月刊ゴルフダイジェスト2024年9月号より