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“10K”ドライバーの飛ばし方 #2 上下のミスに強くなったが「一発の飛び」はなくなった?

ドライバーは従来「フェースセンターより少し上」で打つのが一番飛ぶとされてきたが、「10K」では少し様相が異なるようだ。その理由とは?

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Shinji Osawa、Takanori Miki THANKS/パフォーマンスゴルフスタジオ

試打・解説/堀口宣篤

東京・葛飾区にある「パフォーマンスゴルフスタジオ」店長。アメリカでゴルフを学び20歳からティーチングの道に。ギアにも詳しく、試打経験も豊富

“フェース上め”が
一番飛ぶ時代は終わった

ヘッド上下の慣性モーメントが大きくなったという「10K」ドライバー。では実際に打ってみるとどんな差があるのだろうか。堀口宣篤プロに、「G430 MAX 10K(以下10K)」を「G430 MAX(以下MAX)」と打ち比べてもらった。

「確かに『10K』は上下の打点ミスにとても強いですね。『MAX』も打点ズレには相当強いですが、『10K』はとくにフェース下側のミスにさらに強くなりました。下めに当たってもちゃんと球が浮くしスピン量が安定するので、変な弾道にならず距離もそこそこ出る。上下の慣性モーメントが大きい最大のメリットはここにあるなという感じがします」

さらにトウ側のミスヒットにも、「MAX」と比べてさらに強くなっていると堀口プロ。ヒール側のミスは他方向への打点ズレと比べると影響が大きく飛距離は落ちるものの、左に大きく巻き込むようなミスになりにくく、安定感アップは感じるという。

一方で堀口プロが違和感を訴えたのは、フェース上めで打った場合だ。


「『10K』は、フェース上めに当たっても弾道は安定してちゃんと飛ぶんですが、ある種の“ニブさ”があるんです。従来のドライバーは、芯より少し上の打点で打ったときに高打ち出し・低スピンの弾道が出て一番飛ぶと言われていたんですが、『10K』にはそれがない。ほかの方向への打点ズレも含め、どこで打っても芯で打っているような安定感はあるんですが、いわゆる『真芯を食った』ような心地よいフィーリングがなく、全体的にボヤケた感じがあるのは否めません」

これは上下の慣性モーメントが大きくなったことによる、ギア効果の減少が原因だろうと堀口プロは分析する。従来の「フェース上めの打点が真芯よりも飛ぶ」という現象は、インパクト時にボールが芯より上に当たることでヘッドに上を向く回転モーメントが働き、それによってロフトが増えつつ、ギア効果でバックスピン量が減って高弾道・低スピンの球が出るという仕組み。上下の慣性モーメントが大きくなれば、芯より上に当たってもヘッドがブレにくく、ロフト増もスピン減も起こりにくくなるため、この現象が起きないというわけだ。

「G430 MAX 10K」の打点イメージ

どこでも飛ぶけど「一発」はなくなった
フェースの下側やトウ側の打点ズレにはめっぽう強く、ヒールも「MAX」より強い。しかし上めの打点でも「驚異の一発」は出ず、全体的にボヤけた感触だという

「G430 MAX」の打点イメージ

ギア効果で「フェース上め」が高打ち出し・低スピンになる
芯よりわずかに上で打つと、インパクトの衝撃でヘッドが上向きに回転してロフトが増え、ギア効果でバックスピンが減るため「高弾道・低スピン」の芯より飛ぶ球が出やすい

「ミスヒットに強くなり、どこで打っても80点以上の球が出る反面、120点のビッグドライブも出にくくいのが『10K』の特徴といえるでしょう。これをどう評価するか。スコアにこだわる人、競技ゴルファーにとっては最高の進化といえるかもしれませんが、エンジョイゴルファーにとっては、一発のロマンがなくなって面白みが減ったと感じるかもしれません。でも大きなミスは確実に減る。とくに下側やトウ側はメチャクチャ強いですよ」

現実的には、意図してフェース上めで打つ技術を持たない普通のアマチュアであれば、奇跡の120点が出なくとも100点の出る確率が高いほうがうれしい。そもそも普段からあまり芯を食わないような人にとっては、打点ズレのカバー能力が上がったぶん、今まで出なかったような当たりが出ることもあり得る。
しかし10Kドライバーでは、従来の「フェース上めで飛ばす」という飛ばし方が通用しない以上、新たな飛ばしの方法が必要になりそうだ。

「10K」は、上下のミスヒットに強いだけでなくトウ側でも飛距離が落ちにくい。ミス時の曲がりも小さく、打点が安定しない人ほど平均飛距離はアップし、弾道のバラつきも抑えられる。先っぽや下っ面のミスが多い人には最高だ

一発の飛びは「MAX」に軍配

平均値では「10K」に及ばないものの、「MAX」はフェース上めの「飛ぶ打点」でしっかり打てれば120点のビッグドライブがあり得る。意図してこれが打てる人にとっては「MAX」にもメリットはある

>>では、10Kの性能を最大限に引き出すには
どんなスウィングをすればいい?

月刊ゴルフダイジェスト2024年7月号より