つかまった球で“飛んで、止まる”。本間ゴルフ『ツアーワールド GS』アイアン
多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回は本間ゴルフの『ツアーワールド GS』アイアンを取り上げる。
飛ぶだけでなく
ミスヒットにも強い
「GAIN SPEED TECHNOLOGY(=さらなるスピードの獲得)」をコンセプトに開発されたのが今回紹介する本間ゴルフ『ツアーワールドGS』。ドライバーだけでなく、アイアンにも高反発と高弾道を追求し、飛距離だけでなく、飛んで止まるを実現した。
4I~7Iのソールには新形状の溝を配し、タングステンウェートを内蔵。トウ側の溝幅を広げることで、トウヒットのミスに強くなり、また反発力の高い素材を用いたLカップフェースで縦の打点ブレに強くなった。8I~11Iにはフェース裏の打点部に縦スリットを入れることで、こちらも打点ズレに強くなっている。
さて、クラブの計測をしていこう。今回はアイアンなので、番手は7番の実測値になる。クラブ長が37.125インチとやや長いが、クラブ重量が379.4g(標準カーボンのスピードチューン48仕様)と軽く、スウィングウェートもD0.7と大きすぎないので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ慣性モーメントが264万g・㎠とやや小さく抑えられ、この数値であればドライバーのヘッドスピードが40m/sくらいのゴルファーにとって、タイミング良く振れる設計といえるだろ。
Point.1 クラブ長が7番で37.125インチとやや長い
Point.2 リアルロフト角が29.4度と小さい
Point.3 クラブ重量が379.4gと軽量
丸みを帯びたデザインで
見るからにやさしい
まずはヘッド形状をみていく。本間ゴルフのプロモデルのイメージであるシャープさはなく、ヘッド全体の輪郭(トウ、トップライン、リーディングエッジ)が丸く作られていて、やさしく打てそうな雰囲気が出ている。
実際に試打したところ、まずフェースは程よい長さで、全体に丸みを帯びた形状でやさしく打てそうなイメージがある。そして、アドレスではグースネックと丸いトップラインで球を包み込むイメージも出ている。さらに、トウ側が高いので、アドレスすると、ややトウ寄りの打点がイメージされる。
試打クラブは7番で標準のカーボンシャフト「スピードチューン48(フレックスS)」が装着されており、シャフトは軟らかめの設計。ヘッドスピードが30台のシニアゴルファーでもこのシャフトであればSフレックスで扱えるだろう。そして、トップラインが厚く、同時にスイートスポットも高い設計で、パー3で高めのティーアップで打つ人にとって、より芯で球をとらえやすくなっている。
日本モデルとしてはソール面のトウからヒール方向の丸みがあるので、多少起伏のあるライに対してもより対応しやすくなっている。フェース面は硬くインパクト音も高いが、フェースの弾き感はいい。ソールには適度なバウンス角があるが、強くダウンブローに打つよりもターフをあまり取らないスイープなスウィングのほうがソールの抜けは良かった。
本間ゴルフ
ツアーワールド GS
<試打モデルスペック>※メーカー公表値
●ヘッド素材/#4~#7: 17-4プラス(ボディ)& AM355P(フェース)、#8~SW/17-4プラス
●ロフト角/29度
●ライ角/62度
●長さ/37インチ
●シャフト/スピードチューン48(S)
●総重量/約375g(S)
●価格/12万1000円(#6~#10)
クラブ&ヘッドデータ(実測値)
クラブ長さ | 37.125インチ |
クラブ重量 | 379.4g |
スウィングウェート | D0.7 |
クラブ慣性モーメント | 264万g・㎠ |
ヘッド重量 | 270.7g |
リアルロフト角 | 29.4度 |
ライ角 | 61.5度 |
フェースプログレッション | 3.3㎜ |
バウンス角 | 6.4度 |
重心距離 | 38.6㎜ |
重心深度(フェース面から) | 4.8㎜ |
スイートスポット高さ | 23.0㎜ |
ヘッド慣性モーメント(左右) | 2696g・㎠ |
ネック軸周り慣性モーメント | 6020g・㎠ |
松尾好員
まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰
週末ゴルフダイジェスト2021年4月6日号より