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冬は軽くて軟らかいシャフトを使ったほうがいいってホント?

ILLUST/Kochi Hajime

東京下町でゴルフ工房を営む店主がギアに関する悩みに答える連載「頑固オヤジのクラブ工房」。今回のお悩みは「冬のシャフト交換」について。

Q.“寒い日専用”の
飛ばせるチューンはある?


冬場のラウンドで少しでも飛距離を稼げるようにと、カチャカチャで軟らかいシャフトに交換しようかと思っています。普段は60g台のSですが、50g台のRとかで大丈夫でしょうか? (57歳・HC14・会社員)


シャフト交換は上級者向け

ここんとこ、ヘンに暖かかったり、急に寒くなったりで、体調がおかしくなりそうだったけど、まあボチボチやれてるかな。

常連さんたちも、緊急事態宣言もあってラウンドを控えたのか、グリップ交換とかクラブのオーバーホールの依頼が結構来てるよ。

「オヤジさん、読者からの質問です。冬場にシャフトを軟らかくするとしたら、どのぐらいの重さとフレックスがいいのか、と」

担当さん、新年のあいさつもそこそこに、早速仕事だよ(笑)。

「ウーン、その人のハンディは……14か。じゃあ、シャフトチェンジは考えないほうがいいな」

「え? でも冬場は体が動きにくいぶん、シャフトの軟らかさで振りやすくするのは理にかなっているんじゃないですか?」

「それは、シャフトのスペックを変えても、上手く合わせて振れる腕がある上級者だけさ。この質問者ぐらいだと、逆に当たらなくなって悲惨なことになると思うよ」

冬場は体が動かないだけじゃなく、気温やら湿度やら、物理的に飛距離が落ちるのは当たり前、と考えるのが正しい。それなのに軟らかいシャフトで下手に振り回したら、ミート率が落ちるだけ。

「だからヘッドスピードを上げるとか飛ばす工夫よりも、ミート率を上げる、方向性を整えるほうがスコアは良くなるとオイラは思うんだけどね、冬場は」

「この間、話していたカチャカチャでフックフェースにする、とかですか?」

「そう。動きにくい体で、無理せず振ってもしっかりつかまる、ってチューンのほうが、結果的には飛距離もそこそこ稼げるんじゃねえのかな」

短く持ってトウ寄りに鉛を貼ればOK

「ミート率アップですか……。短く持つ、とかも良さそうですけど、どうも上手くいかないんですよね、トップしたり引っかけたりで」

「冬場だと寒いから、つい打ち急ぎやすくなるんだろうな。で、短く持つとそれが助長される」

「じゃ、長く持つままがいい?」

「いや、ちょっとヘッドに鉛を貼って、ヘッドの居場所やフェースの向きを感じやすくなれば、短く持っても大丈夫だろう」

ここで勘違いしたらいけないのは、短く持つぶんのバランスを出そうと、鉛をベタベタ貼りつけて重くしすぎること。

「ヘッドがキュッと返らない程度、まあトウ寄りに1~2gも貼れば十分。少しだけフェースが返りにくいぐらいで、ヘッドの重さ感とかフェースの向きは感じられるはずだよ」

ドライバーで、ウェートを移動させられるタイプのヘッドだったら、そいつを少しトウ寄りにセットするだけでいいと思う。

「じゃ、アイアンはトウに鉛を1~2g貼って、ドライバーはカチャカチャでフックフェースにしてウェイトをトウ寄りに移動、と」

「アイアンは6番より短いなら、鉛は要らないよ。そのままでヘッドは十分重いし、つかまりやすいはず。UTとかFWも、短く持つだけでいいんじゃないかな。要は飛ばそうとして振り回さなけりゃ、問題ないと思うよ」

「いじるのはドライバーだけでいいんですか?」

「月イチゴルファーなら、振り回したいドライバーだけ少し慎重になれる準備ができていればいいんだよ。カチャカチャでいじったことが頭にあれば、落ち着いて振れるだろ? それだけでいいのさ、当たるようになれば」

冬場だから打ち方を変える、なんて芸当は一般アマには無理。少しおとなしく振って、つかまるオマジナイをかけたクラブを信じるぐらいがちょうどいい。

「本当のチューンは、シーズン中の調子のいい時に行うのがベスト。冬場はアレンジのみがいいよ」

月刊ゴルフダイジェスト2021年4月号より