つかまった高い球でビッグキャリー!『マジェスティ ロイヤル』ドライバー
多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はマジェスティゴルフの「マジェスティ ロイヤル」を取り上げる。
しっかりシャフトでHS速めの人にもおすすめ
記念すべき50周年という節目の年にマジェスティが送り出したモデルがこの「マジェスティ ロイヤル」だ。
今回のドライバーの特徴は、低重心化のために一般的なカーボンの1.5倍の強度である「高強度TPカーボン」をクラウン部に、ボディの軽量化のために6-4チタンよりも比重の軽いチタンを採用し、高打ち出しを実現した。また、ダイヤモンドに次ぐ硬度を持つホウ素をタングステンに被覆させた金属繊維で、復元力が高く、強度と粘りを持たせられる「ボロンファイバー」を採用したシャフトは、「ツアーS」と名付けられ、HSが速いゴルファーにアピールしている。
さて、クラブを計測していこう。毎回のことながら、数値はすべて実測値だ。クラブ重量が290.7gと軽いが、クラブ長が46.5インチと非常に長いので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ慣性モーメントが293万g・cm2と大きくなり、数値上はヘッドスピードが46m/sくらいのパワーヒッターがタイミング良く振れる設計になっている。
Point.1 クラブ長さが46.5インチと非常に長い
Point.2 クラブ慣性モーメントが293万g・cm2と大きい
Point.3 ヘッド重量が190.9gと軽い
高い球が打ちやすい
ヘッドをみていこう。横幅が広すぎないオーソドックスな丸型形状で、構えるとやや小ぶりな感がある。バルジ(丸み)の少ない平らなフェース面、かつフックフェースとアップライトなライ角度で、球をつかまえるイメージが出ている。ここ数年で市民権を得た、いわゆるカチャカチャ構造ではなく、またウェートビスもないシンプルな形状、さらにスコアラインがまったくないのが特徴だろう。
実際に試打したところ、前述のとおりやや小ぶりのヘッド、かつバルジの少ない平らなフェース面、さらにフックフェースということで構えた感じはスライスが出ないイメージだ。
試打クラブは9.5度で標準のマジェスティ LV540 ツアー(ツアーSフレックス)だったが、軟らかめの設計ながらも、適度なしっかり感がある。ヘッドの後方が低いシャローバック形状で、しかもクラブ長が46.5インチと長いため、インパクト付近はアッパーブロー軌道になりやすい。その結果、打ち出し角度は高くなり、球も上がりやすくなっている。シニアゴルファーに試打してもらったが、ヘッドは低重心仕様なので、適度なバックスピンが入る。ヘッドスピードが40~42m/sくらいあれば、球は綺麗に飛んでいくだろう。
振りやすさを表す「クラブ慣性モーメント」が大きいため、シニアゴルファーはどうしてもクラブを振りにくく感じるかもしれないが、逆にこの振りにくさを利用して、クラブの重みを感じながら、打ち急がないでゆったりしたタイミングでスウィングできるだろう。
マジェスティゴルフ
マジェスティ ロイヤル
<試打モデルスペック>
●ヘッド素材/Super 438FGX(フェース)、軽比重チタン(ボディ)、高強度TPカーボン(クラウン)
●ロフト角/9.5度
●ライ角/60度
●長さ/46.5インチ
●シャフト/マジェスティ LV540 ツアー(S)
●総重量/約294g(S)
●価格/13万2000円
クラブ&ヘッドデータ(実測値)
クラブ長さ | 46.5インチ |
クラブ重量 | 290.7g |
スウィングウェート | D2.4 |
クラブ慣性モーメント | 293万g・cm2 |
ヘッド重量 | 190.9g |
ヘッド体積 | 444cc |
リアルロフト角 | 9.5度 |
ライ角 | 60.0度 |
フェース角 | フック1.0度 |
重心距離 | 40.4mm |
重心深度 | 37.3mm |
フェース高さ | 55.4mm |
スイートスポット高さ | 32.2mm |
低重心率 | 58.1% |
ヘッド慣性モーメント(左右方向) | 4475g・cm2 |
ネック軸周り慣性モーメント | 7216g・cm2 |
松尾好員
まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰
週刊ゴルフダイジェスト2021年3月16日号より