【頑固オヤジ】Vol.168 パターをファウラーみたいな中尺仕様にアレンジするのはアリ?
東京下町でゴルフ工房を営む店主がギアに関する悩みに答える連載「頑固オヤジのクラブ工房」。PGAツアーで話題になった中尺&マレットに興味を持ったミーハーなお客さんに対し、オヤジさんはどんなアドバイスをした?
ILLUST/Kochi Hajime
Q. 話題のファウラー仕様パター
中尺チューンを真似るには?
ネオマレット型パターを使っていますが、ミスが減りません。最近話題のリッキー・ファウラーのような中尺仕様にチューンするとしたら、どういったポイントを押さえればいいですか?(43歳・HC14・会社員)
頑固オヤジ、引退宣言か!?
そろそろ店を畳もうかな、って考え始めたのは昨年の今頃。コロナ禍で常連さんたちの足が遠のいたのもあるけど、さすがに工房の作業が億劫になってきて。目も見えにくくなってるし、根を詰めるのも続かなくなってきたしな。
まあ、完全に引退するわけじゃないんだけどね。隣町の練習場に、以前ウチにチューンのイロハを教わりに来たのが店を出していて、そこに月3回ぐらい顔を出して手伝わせてもらおうか、なんて話してたんだが、練習場のオーナーが来月ぐらいからどう、と言ってくれたんだよ。
「じゃ、もう7月いっぱいで閉店ですか? この連載は?」
担当さん、慌てたね(笑)。
「大丈夫、年内は続けるさ、常連さんにも伝えないと。向こうには月3回、行くだけだから」
「じゃ、連載もこのまま……で?」
「それなんだけどさ、その練習場の工房店長に引き継ぎとかどうかな、結構使えると思うんだけど」
「いや、やはりオヤジさんでないと、話が……」
「じゃ、今度会いに行こうや。一緒に話してみれば、使えるかどうかわかるだろ。オイラもソロソロネタ切れだし、ソイツはまだ40代そこそこだから、お前さんとも話が合いそうだけどね」
「まあ、オヤジさんも話に加わってくれるなら……。編集長に相談してみます」
この連載がどうなるかは、編集部次第ということだな(笑)。
「……今回の読者からの質問です。全米オープンで優勝争いをした2人のパターを見て、中尺パターへのチューンを思い立ったそうですが、チューンニングポイントを教えてほしいそうです」
動かしにくいブレないヘッド
担当さん、一旦のみ込んで、切り替えてきたよ(笑)。
「オデッセイの旧モデル『ジェイルバード』を37インチぐらいの中尺にして、グリップエンドを余してノーマルなストロークを行うのが、このパターを作ったリッキー・ファウラーのスタイルです。全米オープンで優勝したウィンダム・クラークも同じでしたね」
「慣性モーメントの大きい、ネオマレット型のヘッドだな。この手のはオフセンターヒットでもブレにくいのはいいんだけど、動かしにくさ、振りにくさが出やすい。ヘッド重量以上に抵抗感が生じやすいんだ」
テークバックでのちょっとした動かしにくさがフェースの向きのブレを生み、少し押し出したり、引っかけたりといったミスにつながることも多い。オフセンターヒット以前の問題だな。
「それに効くのは、ヘッドを軽くするか、カウンターバランス的に手元側を重くするか。中尺仕様にするポイントは、ずばりグリップを重くする、てことさ」
中尺・長尺用のパターグリップは70~120gと、結構重さのバリエーションがある。まずは80gぐらいから試すといいだろう。
「グリップの重量化だけでなく、中尺化自体もオススメだね。長さは2インチ(5cm)ぐらいならシャフトの端材や木の丸棒を継いで延ばせる。短く持つにしてもグリップエンドが腹に近づくと、手元の軌道が安定してスムーズに振りやすくなるはず」
ただ、ストローク時のフェースのブレを改善するだけなら、鉛チューンという手もある。
「フェース寄りのソール部分に、鉛テープを1~2g貼る。それだけでヘッド重心が浅く感じられ、スムーズに引きやすくなることもある。これはお手軽だから、まず試したほうがいいと思うよ」
本当は、短く持つと動かしやすさは確実に上がるんだけど、アドレス自体が変わるとリスクも大きいからオススメできない。変えるなら道具のスペックが先、だろうね。
月刊ゴルフダイジェスト2023年10月号より