テーラーメイド「ステルス2」に「ステルス グローレ」僕には結局どれが合うの? アマチュア目線で比較試打
カーボンウッドならではの高初速性能が一層進化し、ツアーでも愛用者が増え続けている『ステルス2』シリーズ。しかし僕らがカーボンウッドの性能を存分に味わうには『ステルス グローレ』を含めた“ステルス4兄弟”からどう選ぶのが正解なのか。クラブデータ、試打データからその性能の違いを探った。
PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/PGST、クールクラブス
ギア探偵●金田一飛助
テクノロジーの謎を次々解き、本当の性能をあぶりだす“ギア探偵”
“真っすぐ、遠くへ!”
スタンダードの『ステルス2』には
この性能が詰まっている
カーボンウッドへと舵を切ったテーラーメイドのドライバー。その魅力は、チタンでは達成し得ない“高初速”にある。
「私が日頃調査を依頼しているクラブフィッターからも、ステルス2の初速性能は他のモデルを凌駕すると報告を受けている」(ギア探偵)
軽いカーボンフェースは、インパクトの瞬間その場にとどまろうとする。しかし大きな慣性力を伴った重いボディは構わず突き抜けようとする。“パワーの圧縮”と“解放”が起こり、従来では成しえない高いボール初速を生む。
現行の4モデルは、いずれもこの“高初速”を味わえるわけだが、ギア探偵はアマチュア目線で考えた場合、そのなかでもスタンダードの『ステルス2』を推したいという。
「コースではミスをいかに最小限に抑えてくれるかが大事。その点では慣性モーメント(MOI)からもわかるようにスタンダードとHDが有利。そしてさらなる飛距離を考えた場合、スタンダードの“重心”は魅力。スピンが抑えられてさらに飛ばせるはずだ。寛容性をもたらす“深重心”と低スピンにつながる“低重心”は、従来両立できない関係とされてきたが、『ステルス2』はそれを具現化した稀有なドライバーと言えるだろう」
ステルス2
飛距離、やさしさ、そして直進性も! 穴のないヘッド
前作に比べて慣性モーメント(MOI)の数値が大きくなり、寛容性が増しミスヒットに強くなった。注目すべきは「重心の低さ」。深重心のヘッドはフェース面上の重心位置が高くなる傾向にあるが、それを低く抑えることに成功している。重心より上でボールをヒットする可能性が高くなり、低スピン弾道が打ちやすい。“真っすぐ、遠くへ”を実現できるドライバーといえる。
ヘッド重量 | 200.8g | 重い |
重心深度 | 43.0mm | 非常に深い |
フェース高さ | 55.9mm | 標準 |
SS高さ | 34.4mm | やや低い |
低重心率 | 61.5% | やや低重心 |
ヘッド左右MOI | 5049g・㎠ | 大きい |
ネック軸回りMOI | 8366g・㎠ | 非常に大きい |
ステルス2 プラス
ウェイト調整でさらに飛ばせる可能性が広がる
米PGAツアーをはじめ、世界中の数多くのトッププロたちから人気を集めるモデル。現行の4モデルのなかでも最も強い弾道が打てるとされるが、それでも重心が浅すぎることはなく、適度な寛容性も併せ持っている。フェース面近くに設置されたトウ-ヒールに動くウェイトを自分の打点位置に近づけることよって、より飛ばせる1本に調整できる点も魅力だ。
ヘッド重量 | 202.5g | 重い |
重心深度 | 40.2mm | やや深い |
フェース高さ | 55.3mm | 標準 |
SS高さ | 33.5mm | 低い |
低重心率 | 60.6% | やや低重心 |
ヘッド左右MOI | 4541g・㎠ | やや小さい |
ネック軸回りMOI | 7297g・㎠ | やや大きい |
ステルス2 HD
前作から大きく進化した寛容性とつかまり性能
HDは「ハイドロー」の頭文字。重心深度は4モデル中もっとも深く、高くつかまった弾道が打ちやすい設計。またMOIも大きいのでミスヒットに対する寛容性も高い。つかまり性能、寛容性の面で、前作から大きく進化しているという。スタンダードと違うのは重心設計。やや高重心で適度にスピンが入るため、ヘッドスピードが速くなくてもキャリーを稼げる。
ヘッド重量 | 201.9g | 重い |
重心深度 | 44.3mm | 非常に深い |
フェース高さ | 54.6mm | ややシャロー(低い) |
SS高さ | 35.1mm | 標準 |
低重心率 | 64.3% | やや高重心 |
ヘッド左右MOI | 5209g・㎠ | 大きい |
ネック軸回りMOI | 8704g・㎠ | 非常に大きい |
ステルス グローレ
キャリー不足を解消してくれる重心設計
“ステルス4兄弟”の一角をなす『ステルス グローレ』。ヘッド重量が軽く、ヘッドスピード40m/s未満のゴルファーでもカーボンウッドの高初速が味わえる。グローレらしくミスヒットに強く、打ち出しも高いが、他の3モデルに比べ重心が高いため、適度にスピンも入りやすい。普段キャリー不足で飛距離をロスしているゴルファーには強い武器となるはずだ。
ヘッド重量 | 193.9g | 軽い |
重心深度 | 41.0mm | 深い |
フェース高さ | 56.7mm | 標準 |
SS高さ | 37.1mm | 高い |
低重心率 | 65.4% | 高重心 |
ヘッド左右MOI | 4686g・㎠ | 標準 |
ネック軸回りMOI | 8398g・㎠ | 非常に大きい |
「ステルス」現行4モデルを
HS40m/sと45m/sで打ってみた
テスター1●堀口宜篤プロ(右)
米国でゴルフを学んだ経験を生かし、クラブフィッティングとスウィングを同時進行で教える数少ないプロ。パフォーマンスゴルフスタジオ(PGST)ヘッドプロ。今回はHS45m/sでテスト
テスター2●佐多俊一さん(左)
ゴルフ歴35年。平均スコア80前後でヘッドスピード40~42m/sの競技派ゴルファー。現在はテーラーメイドの『SIM』ドライバーを愛用している
各モデルの計測データを踏まえ、実際に試打してさらなる性能を調査することに。今回のテーマは“アマチュア目線”。アマチュアの佐多さんはもちろん、堀口プロもその観点で試打。両者とも最大飛距離を記録したのはスタンダードの『ステルス2』だった。
「芯を外しても大きく曲がらず、飛距離もあまり落ちない。自分のドライバーより10ヤードは飛んでいます」(佐多)
「確かに真ん中に当たらなくても初速が落ちづらい。これは大きなメリットです。かつフェード気味に飛んでもスピン量が増えないから、スピン量が多いスライサーにもマッチする。これは合う人が多いでしょう」(堀口)
堀口プロ(HS45m/s) | 佐多さん(HS40m/s) | |
---|---|---|
ステルス2 プラス | 272.2Y | 233.8Y |
ステルス2 | 276.4Y | 238.9Y |
ステルス2 HD | 270.8Y | 232.5Y |
ステルス グローレ | 261.7Y | 235.3Y |
次点はアマチュアとプロで別れた。佐多さんはステルスグローレの振りやすさを推す。
「『HD』もいいんですが、『ステルスグローレ』は軽いぶん楽に振り切れました(総重量281g・Sシャフト)。スピンも入るので、キャリーと曲がりがバラつかない安定したドローで飛ばせます」(佐多)
堀口プロは『ステルス2 プラス』の強弾道は魅力という。
「叩けば叩くほど飛ぶ印象。パワーのある中・上級者は、もう一段飛距離が伸びそうです。つかまえにいっても左が怖くないので、どんどん振っていけますね」(堀口)
結果的に今回の試打では、『ステルス2』の安定した直進弾道が光った。芯を外しても曲がりにくく高初速、アマチュアがカーボンウッドの効果を存分に体感できる1本だ。
“とにかく強い球!”という人はコレ一択
「球の強さは4モデルのなかでも際立つ。中弾道でドーンと飛んでいく感じですね。左が怖くないのでドローヒッターに合うのはもちろんですが、フェードヒッターも左に思い切って振っていけるから、低スピン性能と相まって飛距離が伸ばせます」(堀口・以下同)
安定感はピカイチ! オフセンターヒットに強い
「初速性能が一段と高くなりました。さらに前作よりもつかまり感が出て、直進性もアップしました。特に進化を感じるのはミスに対する寛容性。多少芯を外しても『アレッ!?』と思うぐらい距離が落ちません。幅広いゴルファーにマッチします」
つかまる、上がる。この安心感は武器になる
「ヘッドがシャローに(低く)なり、球が上がりそうなやさしい印象です。つかまえにいかなくてもつかまりますが、スピンが少なめなので、急激に大きく曲がってしまう危険性は少ない。ヘッドスピード42~43m/sくらいの人がいい感じで飛ばせそう」
“高弾道で”とことん“やさしく”飛ばしたい人に
「とにかく頑張らずに飛ばしたいなら、『ステルス グローレ』ですね。ヘッドスピードが40m/s弱の人でも、カーボンウッドならではのボールスピードの速さを体感できます。スピンも適度に入るので、キャリー不足も解消できる1本です」
週刊ゴルフダイジェスト2023年4月11日号より
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