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【イザワの法則】Vol.29 ドライバー選びは飛距離よりも“曲がらない”を重視すべき理由

もうすぐシーズンインとなるこの時期に、ドライバーを買い替えるアマチュアも多いはず。その際、何を重視して選ぶと失敗しないのか。伊澤がドライバー選びで重視していることとは?

TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)

前回のお話はこちら

試打データは飛距離よりも
曲がり幅を見る

新しい年を迎えると、メーカーが新しいモデルをリリースすることが多いですね。気候的にも、これからどんどん暖かくなって、コースコンディションもよくなっていきますから、ドライバーを新しくするにはいい時期かもしれません。プロは、契約メーカーの新モデルを、前のシーズンからテストし始めているのが普通なので、春のツアー開幕の頃にはちゃんと調整が済んで、ほとんど何の不安もなく試合で使えるようになっています。もちろん、新しいモデルがどうしても合わなくて、仕方なく前のモデルを使うプロも、中にはいます。今はヘッドが2、3種類あって、シャフトの種類はそれこそ無限にありますから、それを全部試すとなったら、いくら時間があっても足りないですからね。

新しいドライバーを選ぶとき、今はアマチュアこそ「データ」を重視するべきだと思います。ゴルフショップの試打ブースで、弾道計測器を使ってフィッティングを受けるほうが、確実に自分に合ったドライバーをゲットできる可能性が高いです。ただ、そのときに気をつけないといけないのは、どうしても「飛距離」の数値でクラブを選びがちなことです。ショップの店員さんも、「こっちのほうが飛びますねぇ」なんて言って、飛距離の違いを強調しがちですが、そこは参考程度に見ておくほうがいいでしょう。結論から言って、そのドライバーが自分に合っているかどうかは、左右の「曲がり幅」の数値(あるいは左右ぶれの平均値)によって決まります。つまり、試打した中でいちばん曲がりが少ないクラブを選べば、それが自分にぴったり合ったクラブということです。


曲がらないクラブは
勝負どころで振れるだけ振っていける

なぜ、飛距離のデータより、曲がり幅のデータでクラブを選ぶほうがいいかというと、曲がるクラブというのは、コースで「振れないクラブ」になるからです。データ上、いくら一発の飛距離が出るクラブでも、真っすぐ飛ぶ確率が低いと、コースでは伸び伸び振ることができません。何発かOBが出たりするともう、曲がる恐怖でスウィングが小さくなって、飛距離はどんどん落ちていきます。

逆に何度かコースで使ってみて、このクラブは「曲がらない」となると、それが自信になって、もっと振れるようになる。そうなると当然、ヘッドスピードが上がって飛距離も伸びますから、それが本当の「飛ぶクラブ」になるわけです。プロも、ドライバーに対して、「ある程度振ってもコースの幅には収まる」という信頼度があれば、勝負どころのホールで振れるんです。それでラフに入るくらいならどうにでもできますが、OBはどうしようもない。だから、まず「曲がらない」ことが大事なんです。

それと、ドライバー選びは75%くらいが「ヘッド選び」と言ってもいいくらい、ヘッドとの相性が大事です。たとえば、つかまらないヘッドを選んでしまうと、いくらシャフトを取り替えても、それでつかまりやすいクラブにすることはほとんど不可能です。ドライバーを試打する際には、つかまるヘッドかどうか、無理せず球が上がるヘッド(ロフト)かどうかを、きちんとデータで見極めて、それから何種類かシャフト違いを試してみるのがいいと思います。それと、自分に合うクラブは、意外と最初の1発目からいい感触で打てることが多いので、そういうフィーリングも大切にしてみてください。

「先にヘッドを1、2種類に絞ってデータを比較する。
それから何本かシャフトを試すと“迷子”にならない」

自分に合うクラブなら、スウィングもよくなる

曲がり幅が大きく、自分に合わないクラブだと、安全に当てにいくスウィングになり、上下の捻転差が少なくなる(写真左)。これだと、飛距離は出ない。自分に合ったクラブなら、捻転差を大きくして思い切って振れるので飛距離も出る(写真右)

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2023年4月号より