【頑固オヤジ】Vol.162「使わなくなったアイアン、チッパーに改造できる?」
東京下町でゴルフ工房を営む店主がギアに関する悩みに答える連載「頑固オヤジのクラブ工房」。今回は、「チッパーはちょっと……だけど、お助けクラブが欲しい」という声にオヤジさんらしい“改造チューン”でお答え。
ILLUST/Kochi Hajime
Q. 使わなくなったアイアン、
チッパーに改造できる?
友人がチッパーで上手く寄せているのを見て、自分も使いたくなりました。そこで考えたんですが、物置にある使い古したショートアイアンを改造して、チッパーを作ることはできませんか?(54歳・HC14・会社員)
軟鉄ヘッドなら加工しやすい
1月末は大寒波が来たりして、西とか北側とか大変だったろうけど、東京はそれほどでもなかったな。常連さんも普通にコース、行ってたみたいだし。スコア、ボロボロだったようだけど(笑)。
まあ、今月とか来月ぐらいはまだ寒いだろうし、芝も薄いからアプローチとか難しいんだろうな。
「オヤジさん、今回も読者からの相談です。チッパーを使いたいんですが、使い古しのアイアンを改造して作れないか、と」
「7、8番ならできるけどね。中古で売って、普通にチッパー、買うほうが早いんじゃねえのかな」
「30年ぐらい前に買ったマッスルバックで、二束三文にしかならないと書いてありました」
若いときに使ったプロモデル、愛着があって手放せない人も多いだろうけど、確かに市場価値は下がる一方だよな。
「それに、市販に多いパターっぽい形状は嫌いだそうで。でも、ショートアイアンで転がそうとするとチャックリが出るんだとか。そこでアイアンっぽいチッパーが欲しいんだそうです」
「軟鉄ヘッドなら、ライ角もロフト角もいじれるし、ソールも削りやすい。元々のロフトもストロング化以前で立ちすぎていないだろうから、ちょうどいい感じで作れると思うよ」
チッパーで大切なのは、十分なロフト角とソールの抜け。アイアンで上手く打てないのは、刃の部分、つまりリーディングエッジが突っかかるから。
「だから、ロフトを立てたり寝かせたりして、バウンスを調整することで刃が刺さらずに滑るようにする。それにはネックを曲げやすい軟鉄がいいんだよ」
刃を出すか引っ込めるか
「チッパーへの改造は、てっきりライ角調整とか長さカット、重量調整とかだと思っていました」
「昔の7番だと36.5とか36.75インチだから、切らなくてもいいんだけどね。長めのパターとかウェッジに近づけるつもりで35インチに合わせるくらいかな。バランスが下がるけど、気にしなくていい。ヘッドが軽めのほうが、扱いやすいからな。まあ、気になるならヘッドに鉛を貼ってもいいけどね」
ライ角は、7番ヘッドなら2度弱ぐらいアップライトにする。軟鉄でも、これ以上曲げると顔が変わりすぎて構えにくくなることが多いんだ。
「打ち方にもよるけど、相談者はパター形状が嫌い、てことはチップショットっぽい打ち方がしたいんだと思う。だからヒールが浮かず、フェースが目標に向きやすいように適度にアップライトにするんだよ」
ヒールを浮かしたほうが突っかかりにくい、ってレッスンもあるけど、右に出やすくなるぶんフェースを左に向けるとか、ややこしい面もあるよな。せっかくチッパーなんだから、すんなり真っすぐ構えやすいほうがいいはず。
「で、ロフトを1~2度寝かせて刃を出すと、バウンス角が大きくなる。チャックリしにくい、抜けやすさが出る。逆に、ロフトを立ててセミグースネックにすると、包み込むように捕まえやすくなるけど刺さりやすくなるから、刃の部分を面取りするか、ソール面を削ってバウンスを強める。この2通りがオススメだよ」
昔のアイアンのロフトは7番で36度、8番で40度ぐらい。ロフトを寝かせるなら7番、立てるなら8番がいいかな。それぞれ38度ぐらいになるから、30ヤード以内のチッピングにはちょうどいいキャリー感になると思う。
「今どきのアイアンでチップショットが難しいのは、ロフトが少なすぎるからだと思う。7番で30度ぐらいじゃ、エッジまでも届かないゴロとかになりがち。ロフトのあるチッパー、いいと思うよ」
月刊ゴルフダイジェスト2023年4月号より