【クラブ選びの新基準】#2 ヘッドよりも“芯に当たるシャフト”を見つけることが先決
コースで結果を出すためのクラブ選びについて、敏腕クラブフィッターの吉田智さんに話を聞いた。ついヘッドにばかり目が行きがちだが、まずはシャフトを決めることが重要だという。その理由とは?
TEXT/Kousuke Suzuki ILLUST/Hideki Kamekawa PHOTO/Takanori Miki
解説/吉田 智
「プレミアムゴルフスタジオ」主宰。プロ、アマ問わず幅広いゴルファーのフィッティングを行っている敏腕フィッターで、YouTubeなどでも活躍中
- 練習場ではナイスショットが出るのにコースに行くとミスばかり。そんな人は、クラブの選び方に問題があるのかもしれない。コースで結果を出すためのクラブ選びの基準を、敏腕クラブフィッターの吉田智さんに教えてもらった! TEXT/Kosuke Suzuki ILLUST/Hideki Kamekawa PHOTO/Takanori Miki 解説/吉田 智 ……
自分に合うキックポイントが必ずある
では実際にコースで結果が出やすいクラブの選び方について教えてもらおう。この点についてフィッターの吉田智さんは、クラブ選びはまずヘッドよりもシャフト選びを先にできればベターだと話す。量販店やネット販売で純正品を買う場合には当てはまりにくいが、「プレミアムゴルフスタジオ」にフィッティングに来るゴルファーを前提にいえば、カスタムシャフトも含め「自分に合うシャフト」を選ぶことが結果につながりやすいのだそうだ。
「コースで結果を出すにはクラブが“振りやすい” “芯に当たる”ということがとても大事なんですが、やはりそれはシャフトありきなんです。シャフトはクラブ重量を決める最重要ファクターですし、人によってどうしても合わないシャフトというものもあります。そういうシャフトを選んでしまうと、そもそも芯に当たりにくい。芯にさえ当たってくれれば、球が曲がるとか球の高さとかスピン量とか、そういう点はヘッドでカバーできるんです」
カスタムシャフトまで考えると、数えきれないほどの種類があるシャフトのなかから、何を選べばいいのか、どれが自分に合っているのかは、アマチュアにとっては本当にわかりにくい。試打をしても違いを感じられないという人も多いだろう。
「そういう人のために、僕らフィッターがいるんです(笑)」と言いながら、吉田さんは選び方のコツを教えてくれた。
「何も考えずに振ったときに、芯に当たるシャフトが自分に合うシャフトです。球が曲がっても上がらなくてもいいし、左に真っすぐとかプッシュアウトでもOK。いろいろ打っていると、気持ちよく芯に当たるシャフトがあるはずです。それが自分にとってタイミングが取りやすく振りやすいシャフトなので、まずはいろんなシャフトをできるだけたくさん打ち比べて、芯に当たりやすいシャフトを何本か見つけてください」
曲がってもいいので芯を食うのが合っているシャフト
フィニッシュでグラつかない重さを選ぼう
たくさんのシャフトを打って芯に当たりやすいシャフトを何本かピックアップしてみると、ほとんどの場合、それらのシャフトに一定の傾向が見えるはずだと吉田さんは言う。基本的にはキックポイント。または「先端が硬い」とか「手元がしっかり」などというキーワードかもしれない。ここではメーカーのカタログやHPなどで情報をチェックする必要があるが、これさえわかってしまえば以後のシャフト選びもその傾向の範囲内から選べばいいので、ぜひ一度こういうチェックをしてほしいと吉田さんは言う。
「直近2~3年の各シャフトメーカーの製品を見てみると、だいたい手元、中、先調子とそろっているはずです。そのなかから、自分に合うキックポイントのものを選べば、大きな間違いはないはずです。シャフト重量は、『振り切れる』ことが大事。これはフィニッシュでグラつかずにピタッと止まれるかどうかです。何種類か重さ違いを打ち比べてみれば、自分でもわかると思います」
この「振り切れるかどうか」は、試打室内とコース内で差が生じやすい部分でもある。緊張するコースでは後半疲れてくるので、終盤ホールでは前半ホールのように振れないこともある。その意味ではギリギリのところを攻めず、余裕を持ったチョイスが大事かもしれない。
細かく考えれば、さらにスウィングウェイト(バランス)や長さなどの調整もあるが、この辺はヘッド重量などとの関係もあるので非常に複雑。細かく考えたいなら、信頼できるフィッターに相談するべきだろう。
■自分が振りやすいキックポイントを知っておこう!
芯に当たりやすいシャフトは、だいたいキックポイントや特性が似ている。新しいシャフトを試す際にも、まずは自分に合いそうなキックポイントのもののなかから選べば大きな失敗はしにくい。
■“振り切れる”の基準はフィニッシュでグラつかないこと
クラブの重量はシャフトの重さがもっとも大きく影響する。重さが適正かどうかは、スウィング時にフィニッシュでグラつかずにピタッと止まれるかどうか。静止できないクラブは重さが合っていないので、シャフト重量を変えてみよう。
最終的には鉛で重さを微調整
同モデルでのシャフト重量は10グラム前後で刻まれている場合が多いので、重量帯を変えると総重量の変動値が大きく、最終的にはヘッド重量によっても総重量は変わってしまう。そういった微調整は、鉛を貼るなどして行う
■長さはテンポが関係する
長尺・短尺などの長さのアレンジは非常に複雑なので専門家に任せるべきだが、傾向としては、スウィングテンポがゆっくりな人は長尺クラブも扱えることが多く、テンポが速い人は長尺は苦手で短めのほうが合いやすいという
シャフトの次はいよいよヘッド!
- コースで結果を出すためのクラブ選びについて、敏腕クラブフィッターの吉田智さんに話を聞いた。ヘッドを選ぶ際には、いわゆる“やさしい”と言われるスペックが必ずしも万人にとってやさしいわけではないことを理解しておく必要があるという。 TEXT/Kousuke Suzuki ILLUST/Hideki Kamekawa PHOTO/Takanori Miki ……
月刊ゴルフダイジェスト2023年3月号より