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暑さ対策、プレーファスト…乗用カート「フェアウェイ乗り入れ」賛成? 反対?【山を動かす】

ゴルフにまつわるさまざまな問題に関し、読者や識者に率直な意見をぶつけてもらう連載「山を動かす」。今回のテーマはフェアウェイ乗り入れを含めた“カート事情”について、識者とアマチュアゴルファーに聞いた。

●乗り入れには反対です。メンテナンスする側の大変さ(元に戻すのに時間がかかる)や、自然と向き合ってプレーしたい思い。そこは、時間短縮ではないと思う。(50代男性・岐阜県)

●近年の日本の暑さは異常。年齢的にも7、8月のプレーは厳しくなってきました。電磁誘導カートで、カート道と反対の方向に打ってしまい走っていって、打って戻る。または戻らず、歩く。フェアウェイ乗り入れならどんなにラクかと思います。(70代男性・東京都)

●僕は米国フロリダのゴルフ場で働きましたが、アメリカでは2人乗り乗用カート(電動バギー)でのプレーが当たり前でした。帰国したら、日本ではキャディ付きプレーから電磁誘導4人乗りカートのセルフ式があっという間に主流になりましたが、これには致命的欠陥があると思います。それは“追い抜けない”ことです。米国では前が4人組で、こちらが2人なら抜いていくのが常識。それがプレーファストを促していると思います。ところが電磁誘導ではそれができない。この自走できないシステムがスロープレーを生んでいると思いますし、カートの一番の良さが失われます。たとえば急病のときなど、即行動が起こせません。緊急用として手動切り替えキーも渡してはどうでしょうか? 安全のため、キーは渡していないのでしょうが、米国では「バギーでの事故はプレーヤーの責任」との事項にサインさせられます。それがまた抑止力にもなっているのでは……。セルフ運転のほうが、電動誘導よりプレーファストにつながると思いますよ。むろん2人乗りでフェアウェイ乗り入れがカートの良さをいちばん体現しているでしょうが。(タケ小山/テレビ解説者)

●タイガーがケガから復帰して、プレーは問題なさそうだけど、歩くときがいかにも辛そうで見ていて気の毒になる。もし、カートでプレーできるなら、タイガーのプレーがもっと長く見られそうなのに。(50代男性・東京都)

2人乗りのカートなら、芝への影響は少ない。カートが使えれば、タイガーの選手寿命も延びるのではとの声もあるが……。

●経費の観点からカート事情についてお話ししましょう。4人乗りカート導入には、まずアスファルトのカート道路が必要で、これが18ホールで約2億円。乗用カートそのものは1台約150万円で、これが最低40台。予備としてあと10台は欲しいので計50台。電磁誘導システムにするとさらに金額はアップし、GPSナビを搭載すると約1500万円は上乗せが想定されます。カートにはガソリン車、充電式がありますが、充電式は環境にやさしいものの、設備や倉庫が必要。だからガソリン車が多いのが現実。これだけの設備投資をしてでも、日本のアップダウンのあるコースでは乗用カートは不可欠と言えます。しかし、2人乗りカートは日本では製造されておらず、米国からの輸入となって割高。とはいえ、乗用カート採用はゴルフ場経営からすると、キャディと比較して有利なのは間違いありません。キャディの人件費は出費するだけですが、カートは“カネを生むマシン”ですから。カートフィーがコースによっては年間約1億円の収入になります。というわけで、一部のプライベートコースを除き、日本のゴルフ場ではカートが増えこそすれ、消えることはないでしょうし、フェアウェイ乗り入れも進むのでは。(東海地方のコースコンサルタント)

●新規ゴルファーがどんどん増えているとはいえ、コア層はやはり70代。友人同士でコースを選ぶ際「フェアウェイ乗り入れ可」は、大きなポイント。みんなの家から近い、と同じくらい重要です。(70代男性・神奈川県)

●「フェアウェイ乗り入れ可」をうたっているコースでも、少し天候が悪いと「本日不可」となる。こちらとしては、乗り入れ可も選ぶポイントだったんだけど、この程度の天候でもダメなのか、と残念になります。でも、芝の管理のことを考えたらしょうがないかなとは思います。(50代男性・千葉県)

●まず一時期、1人立ち乗りのスクーターが出現したこともありますが「お客さんにバッグを運ばせていいの?」という意見もあり、すっかり消えました。ゴルファーのさまざまな事情をある程度満たしてくれるのが乗用カートです。もちろん、キャディバッグも運べますし、キャディさんがいるなら一緒に乗ってもらう。電磁誘導カートなら、歩きのゴルフも選択できます。また、2人乗りカートでフェアウェイも乗り入れ可能とすれば、乗用カートの一番いい面を享受できます。私自身はこれからのゴルフはこの“2人乗りゴルフ”に向かっていくのではないかと思っています。団塊の世代がクラブを持たなくなる、とされる2025年問題をもう少し先延ばしするための策は2つあると思っていまて、1つはシニア・女性が腕前に応じて選べるティーイングエリアが2つずつあること。もう1つは乗用カート(理想は2人乗り)利用。この2つが必須と思っています。(菊地英樹/ゴルフ場経営コンサルタント)

●フェアウェイ乗り入れ推進大歓迎! さらに乗り入れはできなくても、カート自体がどんどん進化しているようでうれしいです。PGMの会員ニュースで知りましたが、熱中症対策として、送風機をゴルフカートに取り付けた「クールカート」を8月から順次、PGM62コースで運用するということです。送風の強さは強、弱の2パターンから選ぶことができて当日の天候や温度・湿度などによって調節が可能とか。1台につきコースによって700円~900円かかるそうなので、ちょっと高い気もしますが、とにかく暑い。まずは1回利用してみたいです。(70代男性・東京都)

週刊ゴルフダイジェスト2022年8月16日号より

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