【インタビュー】グレッグ・ノーマン<後編>「LIVゴルフ創設はやり切った。2032年のブリスベン五輪のため全力を尽くします」
週刊ゴルフダイジェスト
自ら手掛け改修中の琵琶湖カントリー倶楽部三上コースの視察のため、グレッグ・ノーマンが来日。世界を巡るノーマンの設計モットーや、LIVゴルフを終えた“これから”について引き続き話を聞いた。
TEXT/Masanori Furukawa PHOTO/Taku Miyamoto

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- 自ら手掛け改修中の琵琶湖カントリー倶楽部三上コースの視察のため、グレッグ・ノーマンが来日。世界を巡るノーマンの設計モットーとは? LIVゴルフを終えた“これから”についても聞いた。 TEXT/Masanori Furukawa PHOTO/Taku Miyamoto GREG NORMAN ホワイトシャークの異名を取り、2度の全英オープン制覇など世界のツアーで90以上の勝利を挙げたレ……
GD 閑話休題。あなたがリスペクトしたり、参考にしたい設計家はいますか?
ノーマン 古い順でいくとA・W・ティリングハースト(※注2)、アリスター・マッケンジー(※注3)はリスペクトしています。その後、トム・ワイスコフ(※注4)もいい設計・改修をしていますし、つい最近では同業者というか、仲間のクーア&クレンショー事務所のベン・クレンショー(※注5)は気になります。
GD 世界中のゴルフ場をラウンドして感銘を受けたコースは?
ノーマン マッケンジーが設計したロイヤルメルボルンGC(※注6)、今年全米オープンが開催されるシネコックヒルズGC(※注7)は今、世界で一番難しいフェアウェイと言われています。それにセントアンドリュース・オールドコース(※注8)は特別だと感じます。1番から18番、どのティーイングエリア・フェアウェイからもすべてのグリーンを狙えるというのは素晴らしいレイアウトだと思います。もうひとつ忘れてならないのはキングストンヒースGC(※注9)。ここを推す理由は、すべてのパー3が非常によくデザインされているということです。池という景観を使わずにね。
GD コース設計以外のこれからの活動についてはいかがですか?
ノーマン 2032年のブリスベンオリンピックの開催は、これからの私の人生において一番の喜びになると思います。かの地は私の故郷でもあります。6年後ですが、これまでの五輪の中でも最高だったと評価されるように、今懸命に働いています。で、すべての競技場、施設が五輪開催後もレガシーとして将来も維持・使用されるというのが私たちの目的でもあります。それで五輪開催が決まり、私が役員として任命された時、まっさきに個人的にコンタクトを取らせてもらったのがJOC(日本オリンピック委員会)なんです。コロナパンデミックの苦境のなかで開催された経験から得たものを学びたいという思いからです。それがブリスベン五輪を最高のものにするためのアドバイスに必ずなると信じているからです。
GD あなたが親日家であるというのは、1977年、日本でのくずは国際トーナメントという小さな大会で優勝されていることも関係していますか?
ノーマン その通りです。私が日本のツアーに参戦した時、皆さんの優しさ、人情、文化、それから食事に感銘を受けたのを昨日のことのように覚えています。この時、日本は高度経済成長期、ゴルフ産業も右肩上がりでした。私が世界へと出ていけたのも70年代〜90年代の日本ツアー参戦があったからです。くずは国際が私の初優勝で、そこから私のゴルフ人生はスタートしたというわけで、非常に感謝しています。
1977年、日本ツアー参戦。初優勝は2日間競技の「くずは国際トーナメント」。圧倒的なパワーで制したこの体験が世界ランキング1位を331週保持するきっかけのひとつになった

GD 最後にお聞きしたいのはやはりLIVゴルフのことです。LIVゴルフに対して現在の心境は?
ノーマン サウジアラビアのプライベートファンディングから、このプロジェクトのアプローチがあった時から4年契約と決まっていました。その4年が昨年で契約切れとなりました。「現在のLIVに対してどう思うか?」という質問には差し障りがあるでしょうから回答は避けますが、私としてはこの4年間やれたことに誇りを持っています。なぜなら新しいゴルフのトーナメントツアーを創設できたからです。ファンも新しい形のトーナメントを楽しめたと思いますし、何よりプロゴルファーが個人のフリーエージェントとして稼げる場を創り出すことができました。
それにもう1つ、ゴルフもチーム戦が可能だという道も開きました。1試合だけでなく、全試合、チームで戦い、そこにスポンサーがつくという新しいゴルフのプロフェッショナルなマーケットを創設できたことには、やり切った感もあります。
GD 他のツアーやメディアからのバッシングもありました。強い精神力がなければできなかったでしょう。
ノーマン 自分を信じて、考えを貫いたことは自身を称えたいと思います。ただ一点、悔いがあるとすれば、好きな日本のチームができなかったことですかね。そこは残念だったと思っています。


シェイパーやコース側幹部と細部の意見交換。コースの改修とは、一度造ったら終わりではない、完璧に向けて再修正が必要ということなのだ
琵琶湖CC理事長と意見の調整を図る。設計者として必要な資質であろう

注2 アルバート・ウォーレン・ティリングハースト(1876〜1942)米国の建築家にしてコース設計家。代表作はウィングドフットGC、バルタスロールGC、今年全米オープン開催のシネコックヒルズGCなど
注3 アリスター・マッケンジー(1870〜1934)英国の医師、コース設計家。代表作はサイプレスポイントC、球聖ボビー・ジョーンズに依頼されたオーガスタナショナルGC、豪州のロイヤルメルボルンGCなど
注4 トム・ワイスコフ(1942〜2022)1973年全英オープン優勝。ツアー16勝、後コース設計に転向
注5 ベン・クレンショー パットの名手でマスターズで2度勝利。現役引退後はビル・クーアと事務所を設立。クラシックデザインの復権を目指す
注6 ロイヤルメルボルンGC 1891年創立。豪州のゴルフ場ランキングでは常にトップ。A・マッケンジー設計
注7 シネコックヒルズGC 1891年創立。2000年には米国国家歴史登録財に。A・W・ティリングハースト設計。今年6度目の全米オープン開催
注8 セントアンドリュース・オールドコース 1552年創立。神と自然が創り給うたコースとして、ゴルファーの聖地
注9 キングストンヒースGC 1925年創立。メルボルン南東部のサンドベルトに位置。原設計はロイド・ウィリアムズ、A・マッケンジーの助言により改修
週刊ゴルフダイジェスト2026年5月26日号より


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