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【インタビュー】グレッグ・ノーマン<前編>「18ホールすべてでシグネチャーホールを造るのがモットーです」

自ら手掛け改修中の琵琶湖カントリー倶楽部三上コースの視察のため、グレッグ・ノーマンが来日。世界を巡るノーマンの設計モットーとは? LIVゴルフを終えた“これから”についても聞いた。

TEXT/Masanori Furukawa PHOTO/Taku Miyamoto

GREG NORMAN ホワイトシャークの異名を取り、2度の全英オープン制覇など世界のツアーで90以上の勝利を挙げたレジェンドプレーヤー。コース設計家としても才能を発揮する

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ゴルフダイジェスト(以下、GD) コース設計に興味を持ち、実際にこの仕事に携わられたのはいつ頃でしょうか。

グレッグ・ノーマン(以下、ノーマン) ゴルフコースのデザインというものに最初に興味を持ったのは、1980年代初期のことです。それからただコースを眺めるだけでなく、注目し始め、気がついた時には当時著名だった設計家、テッド・ロビンソン(※注1)のもとで設計およびコンサルティングの業務に夢中になりました。その後もツアーのプレーヤーとして試合に参加しながら、4〜5年、コースデザインのことについて熟考を重ねる日々が続きました。そして「ゴルフコースとはこうあるべきだ」との自分なりの設計者像が見えてきて、1980年代半ばにコースデザインの道を志すと決め、本格的に事務所を立ち上げました。

GD これまで世界各国でどれくらい設計または改修の仕事をされていますか?

ノーマン 世界で143コース、大地にデザインの印を刻んできました。現在22のコースの設計契約が済んでいて、そのうち12コースが建設中です。

GD 具体的には世界のどの国が多いのですか。

ノーマン 故国であるオーストラリア、中東、それから東南アジア、南アメリカ、カリブ海の島々、最近ではメキシコと足を運んでいます。なかでも11年前から訪れているベトナムについては感慨があります。設計したコースの10コースが営業していて、ベトナムの国として観光業の中心になりそうな勢いです。この14年間で観光業の収益が倍増していると。この道を開いたとして、今回、ベトナム観光大使に任命されました。これは私の誇りとすることです。今、世界で一番注目されているゴルフのマーケットがベトナムなんです。それに少しでも寄与できたのは、私の喜びとするところです。

GD 核心に入っていきます。あなたのコース設計に対しての、モットー、哲学を教えてください。

ノーマン 一言で言うなら、「最小限の影響範囲のなかで、コース造成および改修する」ということですね。

GD もう少し具体的に教えていただけますか?

ノーマン コース造成に関していえば、動かすのは最小限の土量、面積、なるだけ現在の地形を生かす。改修もそれまでの原設計は生かし、芝をめくる範囲を必要以上に広くしないということです。これを最小限のディスターバンス(影響範囲)と言いますが、これによってコストが抑えられます。これまで私が世界で143コース造成・改修したと言いましたが、予算オーバーしたのはそのうちの1カ所だけ。あとは予算内で収まっています。これは設計者として誇りにしていいと思います。

GD 設計に臨む際、優先するものを挙げててもらえませんか。

ノーマン その質問に答えるのは難しいですね。なぜならそれぞれのプロジェクトの条件が違うからです。例えば、国、文化、土地が山岳地か海岸沿いか、それから気候、風土の違いもあります。それに市場性も個別的です。最後は開発するクライアント(デベロッパー、オーナー)の求めるものによって優先すべき事柄が決定されると思います。

GD これまでにはどういう要求がありましたか。

ノーマン 今まで携わったなかで多かったのは、PGAツアーのような大きなトーナメントを開催するコースに仕上げてくれというもの。でもトーナメントは365日のなかの1週間にすぎません。残りの358日は一般のプレーヤー、もしくはメンバーのためのコースだと。だから1週間のためだけのコースを造るのは反対だと思っていると、自分の意見は述べてきました。納得してくれるオーナーもいましたし、あくまでトーナメント用のコースにしたいというクライアントにはそのようにしてきました。設計家として、難しいコースを造るのは実は簡単なんですよ。一番難しいのは、あらゆるゴルファーがいかに楽しめるかという部分です。

GD 今回、改修を手掛けた琵琶湖CC三上コースを視察されていかがですか。シグネチャーホールはどこでしょうか。

ノーマン 具体的にはまだいくつかの手直しが必要だと思います。コース外周以外にOBがあるのは解せません。それにランディングゾーンがティーイングエリアから見えないホールは是正することになります。また琵琶湖コースもそうでしたが、一番注力したのはグリーンです。グリーン面だけでなく、グリーンの外周、バンカーも含めて画期的な改修・変革ができたと思います。フェアウェイについてもほとんど土量を動かさずに、刈り込みラインを変えただけなのに印象ががらりと変わりました。今回の改修成果だと思っています。

琵琶湖CCオーナーが求めているのは各ホールに景観美の特徴があり、かつ飽きないこと(ショットメイキング)。それに応えられる自信はあります。シグネチャーホールがどこかという質問ですが、そのシグネチャーホールという概念を私は認めていませんから答えられません。18ホールすべてでシグネチャーホールを造るというのが私のモットーですから。

GD 日本特有の2グリーン制についての見解は?

ノーマン ダブルグリーンというのは世界のどこにもありません。季節による芝の耐久性など、いろいろ理由はあったと思います。しかし現在は芝の品種も改良されて、夏に強い芝種もできているので、2グリーンから1グリーンへと移行していくと思いますし、そうなるべきです。2グリーンはメンテナンスコストを上げているので、コストダウンにもなりますからね。

※注1 テッド・ロビンソン 米国のコース設計家。池や小川など多用し、リゾート系コースの設計が多く、ハワイのコオリナGCが代表作

前回の琵琶湖CC琵琶湖C(9ホール)に続いて、三上C(9ホール)を改修。これでトーナメントコースとして体裁が整った

現在ノーマンはコース設計で世界を駆け巡っている。また6年後に控えた故国オーストラリアのブリスベン五輪でも重要な役目を担う


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週刊ゴルフダイジェスト2026年5月26日号より