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15番ティーから5番グリーンへ!? 「川奈」の知られざる超難関・特別ホールにドラコンクイーンが挑戦!

ある日、ジョー隊長が川奈の富士コースでプレーしたとき、興味深い話を耳にした。かつて13番のバックティーから14番グリーンを狙ってワンオンさせ、15番ティーから5番グリーンにもワンオンさせた人物がいたという。真偽のほどを確かめるために、フジサンケイレディスが行われるはずだった週の川奈ホテルGC富士コースに向かい挑戦してみることにした!

ILLUST/Hisaki Hiramatsu PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/川奈ホテル

文/ジョー隊長(特別編集委員) 

年齢不詳でいまだに現役記者の特別編集委員、通称ジョー隊長。ゴルフダイジェスト入社後、世界中を取材し、空港の滑走路を使ってドラコンを行うなど、特別な企画の時に登場する。日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員

風が強いあいにくコンディション

川奈ホテルGCには都市伝説が2つある。ひとつは、戦前戦後を通じて川奈集落の学童たちは、学校から戻るとクラブとボールを持って夷子神社と造船所の裏から川奈埼灯台のある11番ホールに入り込みプレー、6ホールのコンペも開催したという。やがて彼らの大半がプロになり“川奈派”と呼ばれるようになり、戦前戦後合わせて総勢40名以上になった。これは伝説ではなく事実である。

もうひとつの都市伝説は、13番のバックティーから海をかすめるようにして14番グリーンを狙い、次は名物打ち下ろしの15番ティーから5番ホールのグリーンを目がけてワンオン狙いで打つというものだ。この2ホールでワンオンを狙い、見事成功させた人物がいたという話が川奈では語り継がれている。

また、灯台がそびえる名物11番ホールと12番の間にはエクストラホールがある。ここは江戸時代に黒船来襲に備え、徳川幕府により大砲が設置された場所で、川奈の創始者、大倉喜七郎にちなみ“大倉ホール”と呼ばれている。距離は140ヤード前後の打ち下ろしだ。このエクストラホールと、13番から14番グリーン、15番から5番グリーンを狙って、ドラコンプロの鈴木真緒が伝説に挑んだ。

挑戦者/鈴木真緒

すずき・まお。東京都出身、24歳、154cm。4月末に行われた日本プロドラコン協会(JPDA)プロドラコンツアーの兵庫大会で58キロ級、無差別級で優勝。ヘッドスピード50m/s、最長飛距離328ヤードのJPDAドラコンプロ

<ルール>
戦前の川奈で使われていたウィッカーバスケットを再現したピン(大島コース開場95周年記念のため20本製作)がこの日のために特別に用意された。大倉ホールは143ヤードの打ち下ろし。13番から14番グリーンは打ち上げで201ヤード、15番から5番グリーンまでは打ち下ろしになるが292ヤードと距離がある。各ホール最高5球までのチャレンジとした

●使用ドライバー/ピンゴルフG440 LST(8度)×フジクラプラチナムスピーダー(3X、45.75インチ)
●使用ボール/スリクソンZ-STAR XV

Challenge 1
まずは肩慣らしの“大倉ホール”

●143Y(高低差-4Y) ●使用クラブ/7番アイアン

見事4球目でオン!
距離は143ヤードの打ち下ろしで難易度は高くない。風はやや左から(海から)のアゲンスト。最初は8番アイアンを手にして打ったが、弾道が高いためか風に押し戻されてしまった。7番アイアンを手にすると4球目でオンさせた。「左から吹く海風が思ったよりも強く、上空はそれ以上と想定して打ちました。距離的には8番で届きますが7番に持ち替えて成功しました」(鈴木)

Challenge 2
13番バックティーから谷越え、14番グリーンを狙う

●201Y(高低差±0Y)  ●使用クラブ/3番ウッド

風を読み切り4球目で成功!
海からの強い風が正面から吹き付ける。14番のグリーンは小さくしかもかなりの砲台のため飛距離よりも確実にオンさせるショットが求められる。風の強さが攻略のポイントになるホール。「かなりのアゲンスト。距離だけなら7Wですが、風の強さを計算して230ヤードとしました。グリーンが小さく、すごい砲台。吹く風の向きと強さも変化していたので難しかったです」(鈴木)

Challenge 3
15番レギュラーティーから5番グリーンを狙う

●292Y(高低差-24Y)、●使用クラブ/ドライバー

強い風に負けてしまった!
風の影響を受けるホールで打ち下ろし。5番グリーンは14番よりも大きいが距離は実測で292ヤード。風が強く5球すべてが風に戻されてしまい最長飛距離328ヤードのドラコンクイーン鈴木真緒でも届かなかった。「周りに何もない15番は風が強くしかも完全にアゲンスト。私は高弾道の球筋なのでこれだけの強い風が吹くとかなり影響を受けてしまいます」(鈴木)

レディスティーから再挑戦

●240Y(高低差-10Y)、●使用クラブ/ドライバー

1球目でリベンジ成功
「レディスティーはレギュラーティーよりも前になるだけでなく、かなり低い位置にあるので風の影響がだいぶ変わりました。距離は240ヤードなので十分に届きますが、上空に強い向かい風が吹いていることには変わりないので、ボールをやや左に出して風にぶつけるようにして乗せました」(鈴木)

挑戦中に新ルートを発見!

13番バックティーから灯台のある11番グリーン方向を振り返ったとき、目に入ったのは“大倉ホール”のグリーンだった。距離を測定したら、やや打ち下ろしながら海越えで330ヤード強。飛ばし屋の男子プロなら乗せることができるかもしれない。いつか挑戦したいものだ

チャレンジを終えて…
「面白かったですね。普段は打てない場所、打たない方向へのチャレンジは、どこを狙ってどこに落とすのがベストなのかを考えなければならず、本来のゴルフが持つ面白さだと思います。通常のプレーだとスコアを作ることを考えてしまい、知らないうちに守りに入ってしまいます。それに対して果敢に挑戦することの大切さ、それを体験できたことはよかったですね。
 挑戦をしていかなければ可能性は生まれないでしょうし、改めて挑戦することの大切さを認識できたので、体験に勝るものはないと思います。少しでも上手くいけば次につながり、さらに工夫をすることにもなりますから。
 しかもプロのトーナメントが開催される地であり、世界でも評価の高い川奈ホテルGC富士コースで挑戦できたのは貴重な経験になりました。このような機会を設けてくださったコース関係者の皆様に改めて感謝申し上げます」(鈴木真緒)

週刊ゴルフダイジェスト2025年6月3日号より