【大人ゴルフの歩き方】Vol.22「素晴らしき! 現状維持ゴルフ」
スコアだけがゴルフじゃない! コラムニスト・木村和久が独自の視点から現代の正しいゴルフの在り方を指南。
ILLUST/Shinichi Hoshi
第22講 素晴らしき! 現状維持ゴルフ
①仕事も体重もゴルフも現状維持が大事
②ゴルフの腕前は一歩前進一歩後退なり
オヤジのゴルフ環境は悪化の一途
皆さん、こんな覚えはありませんか。たまの休み、ズボンを買いにショッピングモールに行ってみました。試しにウエスト88センチのをはきます。ちょっときつ¥な~、でもこれがはけるようにダイエットしようっと。そう思ったあなた! 一度でも、ダイエットに成功したことがありますか?
それと同様にハードスペックのドライバーを買って、これが打てるように練習し、使いこなせましたか? できていないハズです。
このように世の中には、理想と現実のギャップが多々あるのです。
これから来る、“老いのゴルフ”はさらに厳しいです。まずいつかは上手くなるあすなろ物語は、お伽話と思って捨てましょう。スコアは現状維持ができたら十分です。そして自分を取りまく状況を客観視すべきです。年収、髪の毛、仕事、貯金、友だちまで減る一方ですから。
ゴルフでいえば小遣いが減り、飛距離も落ち、体力もないし、トイレも近いし、視力も低下、反射神経なんてないに等しい。そんな状況でこれ以上のスコアアップを目指すのは無理ってものです。そして人間は諦めの境地になった時、初めて一筋の光明が見い出せるのです。
●ハードスペック
昔、ショップで、これ打てるようになったら一人前みたいなことを言われたけどね。今の時代、クラブは簡単に打てなきゃダメ
●あすなろ物語
「目指せ!シングル」を夢見れるのは、50歳代までか。シニア層で夢が破れた人は現状維持で十分っす
●取りまく状況
年金だけじゃ月イチゴルフもなかなかどうして。ゴルフの腕前アップよりも経済的問題のほうが大きいかも
●諦めの境地
自分を客観視できて、現実を受け入れられる人が、前に進めるってこと。ラウンド回数が少なく、飛ばないゴルフでも創意工夫で前進できますよ
ゴルフは休んだら腕が鈍るよね
ゴルフの腕前維持は「ザルで水をすくう」ようなものと言われています。つまりゴルフは休んだら終わりの世界。継続が大事です。腕前を上げるならマメな練習とラウンドは欠かせません。現状維持なら月2回の練習と月1~2回のラウンド。これがギリギリと思ってください。
現状維持の具体的戦略はいろいろあります。まず打つクラブの番手の見直しです。仮に7番アイアンで150ヤード飛んでいたら、今は7番で140ヤードに修正しましょう。知らずに飛ばなくなっているのに、昔のノリで打っているからマン振りをして叩くのです。
クラブは簡単なギアを使うようにしましょう。シャフトはカーボン製のR、アイアンはキャビティ、バンカー用のSWは打てば出るバウンスの効いた簡単サンドウェッジを試すとかね。その価値はあります。
さらに温故知新、案外、昔打っていたクラブをほじくり出してみるのも悪くないです。クラブは自分に馴染んでいることがすごく大事ですから。
もし新しいクラブを購入するなら、試打して即打てないと意味がありません。練習して調整してなんて、それでうまくいったためしはないはずです。
そして現状維持ラウンドの戦略は、自分を客観視することです。
350ヤード以上のパー4ホールは、すべて刻み。狭いホールもドライバー厳禁、180ヤード以上のパー3でドライバーを使うのもやめましょう。長いパー3ホールは、5番ウッドで刻めばいいのです。そもそもドライバーで打って、グリーンに乗ったことなんてないでしょう。最後はショートゲームがものを言います。寄せようとしてトップやザックリをする人は、見栄を捨ててチッパーを使うのも一案かなと。人からなんと言われようと、上がってナンボじゃないですか。現状維持を心がけたゴルフをやっていると、案外、レベルアップすることもあります。とにもかくにも、ゴルフを続けられることに感謝ですね。
●休んだら終わり
ゴルフは休めば休むほど勘が鈍る。だから常にやっていないといけない。最低限を維持するのが月イチゴルファーってわけ
●昔のノリ
昔は4番アイアンで200ヤード飛んだと言う人がいますが、そもそも今、シニアで4番アイアンは使わないでしょう
●簡単なギア
やさしいスペックの簡単ギアや古いギアを軽く見る風潮がありますが、使いやすいクラブがアマチュアにとっては一番。最新クラブで全部そろえて叩く姿はちょっと笑えます
●パー3
ドライバーはグリーンを狙うクラブじゃないので、距離が届いても滅多に乗りません。力んで自滅するのが落ちです。ならば手前の安全な場所に刻むのがクレバーってものです
●チッパー
最近、チッパー盛り上がりの動きが。漫画「オーイ!とんぼ」でライバルも使ってました
今月のまとめ
今からどんどん体力が落ちてくると現状維持の難しさが身に染みて分かります。
本格的なゴルフがしんどいなら簡易的なゴルフもあります。
それでも人生楽しいですよ。
教える人/木村和久
ゴルフ歴32年のコラムニスト。ベストスコア75、2001年鶴舞CCキャプテン杯優勝。『89ビジョン』など新しいゴルフの楽しみ方を様々提案する自称「ゴルフ生活評論家」
月刊ゴルフダイジェスト2023年1月号より