【大人ゴルフの歩き方】Vol.19「メンバー居ぬ間のビジターラウンド」
スコアだけがゴルフじゃない! コラムニスト・木村和久が独自の視点から現代の正しいゴルフの在り方を指南。
ILLUST/Shinichi Hoshi
第19講 メンバー居ぬ間のビジターラウンド!
①名門メンバーは猛暑にゴルフをしません
②こっそりビジターが借りるのはありだね
名門倶楽部に行くもメンバー不在の夏
残暑は続くよ、どこまでもですね。長いビジター人生を送っていると、たまには良いことも起こります。知り合いが名門倶楽部の割引プレー券を貰ったとのこと。早速連れていってもらいました。
その倶楽部は平日で通常2万7000円が、今回は1万7000円という価格に。こりゃ行くしかないです。名門倶楽部は服装にうるさいので、夏でも長ズボン着用。ジャケットは不要と言われましたが、念のため、手に携えて行くことに。足元は革靴で、しかも、自分のクルマは軽自動車なので、友達の高級国産車に乗せてもらいます。どんだけ気を使ってんねん。
いざお目当ての名門コースに行くや、その日は猛暑で、お客さんは10組もいないありさま。古参のお年寄りが多く、そもそも歩きプレーだから、夏場はみんな熱中症を警戒して来ないのです。じゃメンバーはどこか? 北海道や軽井沢の提携コースで避暑ゴルフをしています。我々はメンバーの居ぬ間のラウンドをさせてもらっているのです。ありがたいけど、今度は秋のトップシーズンに安く回らしてもらえませんか。ラウンド内容は、暑くて、あまり覚えてなかったもので。
●名門倶楽部
名門倶楽部のメンバーの平均年齢は70歳以上。だから猛暑の最中、ラウンドすると大変なことになる。割引券を配布し、若いビジターに回らせるのは賢明かもしれない
●提携コース
最近の名門は海外まで提携コースが広がってます。約100コースと提携している海外の名門倶楽部もあります
●覚えてなかった
名門はよく行くけど、夏と冬しか覚えてない。名門に春と秋はないようである
●高級国産車
名門は高級車しかエントランスに停められない雰囲気で、無言の圧力があります。しょぼいクルマの場合、まず駐車場に停め、バッグを担いでエントランスに行く方法があります
実はビジターで成り立っている倶楽部
名門倶楽部のオフシーズンビジターラウンドは、全国で行われています。北海道の名門倶楽部は、夏場4万円もするのに4月末のオープニング直後は、1万円程度でビジターがプレーできます。それゆえ毎年北海道ツアーの人気コースに組み込まれるのです。私も行きました。嬉しくて、キタキツネのように飛び跳ねてラウンドしましたね。
そんな北海道のメンバーは、冬の寒い時期はクローズするので関東などの提携コースのラウンドを楽しみます。これは名門ゴルフ界のお約束ルーティーンで金持ち喧嘩せずの法則と言います。
もちろん貧乏ビジターの逆張り、隙あらば突っ込む作戦も存在しており、メンバーの居ぬ間の、間男ゴルフを繰り広げるのです。
例えば東京近郊で、ビジターで3万5000円する超名門コースが、年2日の開放デーは1万9800円でラウンドできます。当然人気で予約は半日で埋まりました。どうせ超名門なんて1年に1回行けばいいんです。ならば開放デーにラウンドすれば、十分、溜飲を下げられるでしょう。
貧乏ビジターが頑張って予約電話しているのに、お金持ちは気楽に打てていいなあ。ここは発想の転換をして、お金持ちに対抗しましょう。
真夏の埼玉で灼熱ゴルフをやった時は「ドバイでゴルフをした」と思えばいいのです。そして真冬に鹿島灘を見ながらゴルフをしたときは「スコットランドのリンクスに来た」と思えば、“いと楽し”なのです。ものは考えようです。 今度金持ちの友達に、真夏の埼玉でドバイでゴルフする気分を味わえると誘ってみますか? ぶっ飛ばされそうですけど。
そういえば毎年冬にコンペをやっているんですけど、お金持ちの友達はいつも「寒いから」と敬遠して来ません。そしてある年の正月、ハワイでゴルフしているインスタを発見したのです。金持ちは気温10度以下で、ゴルフをしないんだと悟りましたね。
●北海道ツアー
飛行機、ホテル、名門2ラウンド代込みで4万円台。激安ツアーは安いプレー代だから可能なんだね
●金持ち喧嘩せず
金持ち同士はお互いの権利を融通しあうということ
●開放デー
公益法人の名門倶楽部は、年に2日ぐらい地域住民に開放する日を作らねばならない。庶民の暴動を抑える効果もあるよね
●気温10度以下
ゴルフは寒い国が発祥。でも冬のゴルフはしんどいですね。ボール飛ばないし、着膨れして打ちづらいし、芝枯れてるし。ゴルフはシーズンスポーツになって来たかも
●ドバイでゴルフ
今や日本は、気候の変動が激しく、世界のどの気候も体験できます。だから海外に行く必要ないで~す。ほんまかいな
今月のまとめ
ゴルフ場は賑わってなんぼよね。
夏に行かない名門コースがあったら
代わりに使ってあげますよ。
そのほうが経営も成り立つでしょう
いっそ名義を貸してくれませんかね
教える人/木村和久
ゴルフ歴32年のコラムニスト。ベストスコア75、2001年鶴舞CCキャプテン杯優勝。『89ビジョン』など新しいゴルフの楽しみ方を様々提案する自称「ゴルフ生活評論家」
月刊ゴルフダイジェスト2022年10月号より