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ホールインワンを達成したらビールを振る舞う? アメリカの“エース”事情

日本では、ホールインワンを達成すると、コンペなら同伴者に記念品を贈ったり、パーティを開くなど、達成した当人が盛大にお祝いするという慣例がある(セルフプレーが一般化した今では少なくなったが)。かたやアメリカでは、同伴者にアルコールを振る舞うケースが多いようだ。

“エース”を出すと、クラブハウスにいる人間全員に飲み物(アルコール)を奢るという伝統は、一説によれば1920年代のペブルビーチで始まったらしい。禁酒法時代、17番パー3でエースを達成した人物が「幸運のお裾分け」として、クラブハウスにいた20数名のゴルファーに高額なカナディアンウイスキーを振る舞ったのがはじまりとか。

時代は流れ、パブリックコースが増えたせいもあって、今では同伴プレーヤーにビールを奢る程度に落ち着いている。クラブハウスの人間に飲み物を配る場合でも、ビールのピッチャーを買って、それで済ませるのが一般的とか。

こんな昔話を紹介した理由は、先の「ジョンディアクラッシック」で、ホールインワンを達成したP・ロジャースが、クラブハウスの冷蔵庫にある瓶ビールを買い占め、マスコミなどにも自由に飲めるよう、大判振る舞いをしたからだ。プロの試合であれば、ホールインワンというのもさほど珍しいものではない。だから、クラブハウスにいる人間や、ましてメディアにまでビールを振る舞うというのは、非常に珍しい。かつて、T・レマという名手がいたが、彼が初優勝を飾ったときにもシャンパンをマスコミに振る舞い、“シャンパン・トニー”というあだ名がつけられたという話もある。

一方、M・クーチャーが2019年にエースを出したときには、前年に優勝した際のキャディに対する支払いが少なかったことから、「ケチ」と呼ばれた彼がビールを振る舞うのか? というジョークが飛び交ったことを覚えている向きもいることだろう。

そういえば、今年のフェニックスオープン16番ホールで缶ビールが飛び交ったのも、S・ライダーがホールインワンを達成したから(事態が収集するまで15分以上かかったそう)。いつの間にか、エースにはビールがつきものになってしまった?

フェニックスオープンの16番は常にお祭り状態だが……(PHOTO/Tadashi Anezaki)

週刊ゴルフダイジェスト2022年7月26日号より