ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回からの語り手は、お笑い芸人のドロンズ石本氏。

もともと父親がゴルフ好きだったので、中学生の頃には父親とショートコースを回っていましたし、芸能界に入ってからもテレビ局のコンペに出たりゴルフ番組に出演したりして年に2、3回はラウンドしていました。でも、スコアは120くらい。ゴルフの魅力にも気づいていなくて、人に「ゴルフをやっています」なんてとても言えないような状況でしたね。

ところが、新型コロナウイルスの感染拡大が始まって芸人仲間と夜ご飯を食べに行ってワイワイ騒ぐなんてことができなくなりました。そんななかでも何か楽しめることはないかなあと考えていたら、あっ、ゴルフがあるじゃないかと。屋外で楽しめますからね。そこから真剣にやり始めたらこれが面白い。もうすっかりハマってしまいました。

実は僕をこんな気持ちにさせてくれたのは、僕にとってゴルフの師匠とも呼べる人がいたからなんです。その人は僕がやっている恵比寿の飲食店の常連さんで、とある警備会社の会長さんなんですけど、腕前はハンディ5以下のバリバリ。ゴルフビギナーの僕から見れば神様みたいな人なんです。その会長さんが以前習っていたレッスンプロから教わったこと、会長さん自身が長年プレーしてきた経験から学んだことなどを、ものすごくわかりやすく僕にアドバイスしてくれたんです。

そもそもゴルフって教え魔が多いスポーツじゃないですか。自分の腕前に関係なく誰かに何かを教えたがりますよね（笑）。なので「石本が本気でゴルフを始めたみたいだぞ」っていう話が広まった途端に、いろんな人がいろんなことを言ってきたんです（笑）。でも、それをぜんぶ真に受けていたら、とてもじゃないですけど頭がこんがらがっちゃって何が何だかわからなくなってしまいますよね。そこで、僕は会長さん以外の人の言うことはスルーすると決めました。僕にはそれだけ会長さんの言葉がズシリと響いたんですね。

会長さんのアドバイスは3つ。「穴に入れようと思っちゃいけない。あの辺りにボールを置こうとアバウトに考えてプレーしたほうがいい結果が出るんだよ」「ゴルフは引き算だ。ティーイングエリアから400ヤードを4打で上がろうとするから大叩きする。グリーンから引いていって石本ちゃんが得意なのは残り80ヤードなんだから、そこまでどうやってボールを運ぶかのプランを考えればいいんだよ」「クラブをもっと信じなくちゃダメだよ。例えばドライバーを飛ばしてやろうと思って力を入れれば入れるほどかえって飛ばなくなるんだ。軽ーく振ってもクラブがちゃんと仕事をしてくれるんだよ」

どれも説得力がありますよね?　この3つのアドバイスをちゃんと守ったおかげだと思うんですが、僕は皆が「高い、高い」と言って苦労する100の壁も比較的すんなりクリアしましたし、本格的に始めて1年ちょっとで84というベストスコアもマークできました。この3つのアドバイスの効果は僕が保証します。スコアメイクに苦しんでいるアベレージゴルファーの皆さんにもぜひオススメしたいですね。

ドロンズ石本

1973年広島市生まれ。96年お笑いコンビ「ドロンズ」として日本テレビ「進め! 電波少年」で「南北アメリカ大陸縦断の旅」に挑戦、人気者となる。ドロンズ解散後はタレント、レポーター、俳優として活躍中。恵比寿の馬肉料理専門店「馬肉屋たけし」のオーナーでもある

週刊ゴルフダイジェスト2022年7月19日号より