【ゴルフせんとや生まれけむ】黒田カントリークラブ<前編>「危うく芸名が“ニアピンゾウ”に!?」
ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回からの語り手は、タレントの黒田カントリークラブ氏。
僕はもともと俳優でした。あき竹城さんの付き人をやりながら活動していたものの、なかなか芽が出ない。「このまま大部屋で終わるのかな」と思っていましたが、心機一転、お笑いに転向。5人のユニットを経てその後、ピン芸人に。2008年の冬には結婚もして子どもが生まれました。ちょうど「○○芸人」と銘打つのが流行っていたので、僕もと思って考えたのが「育児芸人」。
そんな芸人、当時は1人もいなかったから「これはイケる」と思いました。それから育児のことをいろいろ勉強して、さあ、これからと思ったとき、何と離婚することになり、子どもとも離れて暮らすことになってしまったんです(笑)。こうなると育児芸人どころじゃないですからね、どうしようかとホント参りました。2011年の年末の話です。
その頃、僕の仕事のほとんどがイベントMC。MCの依頼はそこそこあったので、これを生かせないかなあと考えていました。当時はちょうどアイドルグループのブームで、芸人たちは皆そっちに注目していました。でも、僕にとってアイドルは菊池桃子さんで終わっていて今のアイドルは全く知らない(笑)。そう諦めたとき、突然ひらめいたんですよ「そうだ、女子プロゴルファーだ! ゴルフだ!」って。芹沢名人さんが開拓した道の後には誰も続いていない。僕の前にその道がバーンと開けているのがはっきり見えました。
それでまず芸名を変えようと思いました。ピン芸人のときはTAIZOという名前でやっていたんですけど、ゴルフ好きの事務所の大先輩に「ゴルフタレントになります」と伝えたら「俺たちがつけてやる!」と。嫌な予感! 出たのが「ホールインワンゾウ」。絶対イヤですと断ったら「ニアピンゾウ」。どっちもどっちです(笑)。そうしたら同期のヤツが「お前、黒田なんだから黒田カントリークラブでいいじゃん」と言うんですよ。
その瞬間、体中に電気が走りましたね。黒田カントリークラブ、響きがナイスカントリー。調べてみたら黒田カントリークラブというコースは全国どこにも実在しなかったのでこれに決めて、「恋もゴルフもアプローチが苦手」というキャッチフレーズも考えました。そして「ゴルフ界の盛り上げ隊員」を自称して、それまで培ってきたMCの技術にゴルフを結びつけるスタイルを作ったんです。
初めのうちはとにかく名前を覚えてもらわなくちゃいけません。企業やスナックのコンペなどいろいろなゴルフ関係のイベントがあると聞くと、頼み込んで無償でMCをやらせてもらっていましたね。そうやってゴルフのMCテクニックを磨いているうちに少しずつ依頼も増えていきました。女子プロゴルフ界の人気急上昇と黄金世代の選手たちの登場。クラブメーカーやウェアメーカーなどいろいろなところから声をかけていただくようになりました。
その意味で、黒田カントリークラブを名乗ってゴルフタレントを始めたのはまさにベストタイミングだったですね。遠回りはしましたが、大好きなゴルフに仕事で携われるのですから幸せです。
黒田カントリークラブ
1970年、熊本県生まれ。俳優、お笑い芸人を経て2012年、芸名を黒田カントリークラブとし、ゴルフタレントとして活動を開始。現在はゴルフ関連企業のコンペやイベントのMC、ネット中継の実況などで活躍中。ベストスコア74
週刊ゴルフダイジェスト2022年6月21日号より