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【ゴルフ野性塾】Vol.1727「大切なのはトップの型」

古閑美保、上田桃子など数多くの名選手を輩出してきた坂田塾・塾長の坂田信弘が、読者の悩みに独自の視点から答える。

前回のお話はこちら

今日3月24日。福岡の空は晴れ。

ただ、陽の日射しははっきりとした晴れたる空ではない。
空一面、霞がかった晴れ空である。東の空は霞の中に消えている。しかし、南に面したビル壁面は朝から輝き続けている。
だから今日は曇り空ではなく、春の晴れ空だと分る。
大濠公園と舞鶴公園の桜、5分から7分咲きとテレビの予報が教える。
明日も晴れの予報。桜を見に行くなら明日か。土曜は激しい雨降る一日であるらしい。
予報は当る。外れがない。
現在時、午後3時5分。
原稿ファックス送稿した後、風呂に入って眠るか、それとも5分の桜、見に行くか。
暇です。
でも、暇なりの忙しさ在るのは不思議。さてとどうするか。
まずはファックス送稿だ。
体調良好です。

すりこぎ棒で毎夜10分、素振りせよ。

ドライバーとアイアンの調子の波が激しく、スコアがまとまりません。ドライバーの調子がいい日はアイアンが当たらず、ドライバーが曲がる日はアイアンが絶好調だったりします。ドライバーもアイアンもスウィングは同じとよく言われますが、自分にはそういう実感はまったくありません。ドライバーとアイアンのちぐはぐな調子はなぜ起こるのでしょうか。プロでもそういう感覚はあるのでしょうか。どうすれば両方とも好調を維持できますか。(東京都・中山大輔・38歳・ゴルフ歴11年・平均スコア97)


人は己の型を持つと思う。
体・技・心、総てに於てだ。
体の型、技の型、心の型と人、それぞれの型はあると思う。
体型、技型、心型である。
ゴルフ始めて4年間、練習は楽しかった。
辛いとか苦しいとか、イヤだなァと思う事はなかった。しかし、ツアー参戦した後の戦績は平凡以下だった。練習を楽しいと思う気持ちが薄れて行った。面倒臭いと思う日が増した。それでも練習はした。練習への意気込みが薄れた。目標と現実が離れ始めた。
心の型、作れないまま、ツアー参戦を続けた。
そして、三流半の位置が私の定位置となった。
ゴルフ始めたのは24歳になったばかりの時。プロテストに通ったのは27歳と11カ月の時。28歳でツアー参戦したが、その日から46年が過ぎた。

優先順位、何が一番大切かの認識は必要と思う。
若い時は漠然と生きて行けるものだ。
その漠然さを批判する人は少ないし、自己批判、自己否定も生れやしないと思う。
だが、30歳過ぎた漠然さは無責任との批判を受けよう。
それが世間とゆうものである。
人に認められるか認められないかは漠然さの量にあるのではないかと考える。漠然さ多いと、甘いとの批判は生じる。
若い時の漠然さは面白い男の評を得るが、30歳過ぎての漠然さは周りの不思議を生む様な気はする。
心の型は一途一徹が基本と思う。
気構え、心構えが上段である程に認められるものが人の世の常であろう。上段は一撃の構えと私は教わった。
気構え、心構え、中段は人の世に対して自在である。攻めるも善し、己の身を守るも善しの自在構えだ。
下段の構えは返しの構えであろうか。ただ、一撃の返しであり、覚悟の要る構えと思う。
若い頃の私は上段の構えを目指した。常にバーディを狙うティーショットと第2打第3打だった。
予選落ち半分の試合が続いた。いつの間にか心の型、中段の構えになっていた。そしてボギー叩かぬ守りの型を身に付けていた。ボギー嫌えばバーディは取れぬものだ。プロの世界、バーディなしのゴルフで生きては行けぬ。
ボギー叩く恐れが中段の構えを生んだと思う。己への覚悟、余りにも希薄だった。失くすものはないのに失くす事を怖れた。

私はプロとしての心の型、持たなかった未熟者である。
ジュニア塾生には体・技・心の型を教えた。
型、作れずに失敗した者の経験あれば型の作り様の指導は易しかった。己の型持てた者は己の型を持てなかった者を補佐にすればいい。
成功者には成功しなかった者を身近に置くが最善。
成功しなかった者が指導者となった時は成功した者を身近に置けばいいのです。
勝利数30勝以上の超一流は成功者だ。29勝から10勝迄の一流も成功者と思う。
彼等は体・技・心の型を持つ。
持たなければ勝つ事は出来ぬのがプロの領域故にだ。
私は体と技の型は作れたが、それも二流止まりの型だった。
心の型は五流であり、体・技・心、合せて三流半の者だった。

私はジュニア塾開塾の時、心の型、美しき者を私の補佐にした。そりゃ、皆、ハンディ1かゼロであっても私よりゴルフは下手だった。
だから彼等の持つ体の型、技の型は無視して心型を見た。
皆、私程、疲れてはおらず、傷付いた心型でもなかった。
私の心型は醜くなっていたと思う。
ジュニア塾は私の技型とコーチの心型で始められた塾である。
平成5年開塾の熊本塾のコーチは3人。
今、笠清也は笠りつ子のキャディをしている。伊藤龍志は己の練習場でジュニアの指導に励んでおり、堀田宏樹は九州東海大学のゴルフ部監督をしている。
3人共、心型持つ者であった。
私に彼等の心型あったればと思う。でも、足りずが人の世の常の想いと考える。
周りから見れば足りていると思えていても満ちてはいない。何かが不足の想い、持つのが人の常か。

貴兄は両の腕を鍛えよ。
体の型を作るには腕の太さ作るが基本である。
技の型はトップ型で5秒静止の後の一度の素振りを勧める。
技の型を作る時、球は打たなくても良いのです。
ゴルフに於て一番大切なのはトップの型である。
型を無視し、意識せぬ10年と型を意識した1年が同等の結果を生む事を私は塾生指導の中で知った。
塾生の出す結果は早かった。私の予想を超えていた。
プロテスト合格者95名、シード権獲得者13名がその結果である。他、塾生以外も指導したが、15名がプロテストに通っています。そして、これからもその数は増えるであろう。
私に不足したものを与えればプロにはなれると思う。
それは心型である。
失敗の経験は少ない方がいい。
ゴルフは失敗の経験よりは成功の経験が善き結果を生む競技である。
貴兄は新たな経験と出会う時に立っている。
ドライバーとアイアンのトップ位置の高さが変っている様な気はします。
ドライバー、アイアンそれぞれの左腕地面に平行の型を作って下さい。
自分では同じ位置と思っても左腕の高さ、異なっている筈。
球、曲らぬ時、ウッドもアイアンも同じ感覚で打ててる時の左腕の高さの位置は不変である。
位置、バラつき出すと球は曲ります。
貴兄はその時に来ていると思う。
位置を固めよ。
己を変えるには根気が要る。
一つを100回200回と繰り返す根気である。
人を変えるには忍耐が要る。
同じ言葉を同じリズムで語り続ける忍耐だ。
壁に向って毎夜10分の型作り。すりこぎ棒を持っての素振りを勧める。
その根気で貴兄は心の型を得るであろう。

坂田信弘

昭和22年熊本生まれ。京大中退。50年プロ合格

週刊ゴルフダイジェスト2022年4月12日号より