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【ゴルフ野性塾】Vol.1717「力加減を知れば上達は早い」

古閑美保、上田桃子など数多くの名選手を輩出してきた坂田塾・塾長の坂田信弘が、読者の悩みに独自の視点から答える。

前回のお話はこちら

今日1月13日。福岡は晴れ。

横に伸びる雲の上は青空。
気温9度。ただ、風がないから外に出るにしても手袋は要らなさそうだ。
朝7時と午後1時の気温差少なき一日であり、冬が休憩しているかの如き穏やかな一日である。風も寒さも休憩中だ。
「福岡っていい処よネ。雪がないのが何たって一番。今日なんて南からの日射しがビルを暖めてくれている様だもの。電気代は助かるし、買物に行くのも億劫じゃないし、有難いわァ」
確かに女房殿の言う通り、窓から眺めるビル群、南の日射しを受けて暖かそうじゃある。
昨日迄は寒かった。
それが急に暖かくなった。
現在時、午後1時23分。
体調、極めて良好です。

力の入れ様で球の曲りを修正せよ。

手打ちのスライサーです。練習場ではそこそこいい球が打てていると思いますが、ラウンドとなると、目の前のボールに当てよう、飛ばそうとしてスライスがひどくなります。ときどき左に曲がる引っかけも出ます。塾長、スライスを卒業するにはどうすればいいでしょうか。(大阪府・小川彰吾・38歳・ゴルフ歴9年・平均スコア95)


熊本にジュニア塾を開塾したのは平成5年8月。
そして、札幌、福岡、東海、神戸、船橋と開塾し、熊本塾、札幌塾、福岡塾、東海塾、船橋塾を閉塾して10年以上経ち、今残すは神戸一塾なれど、昨年2021年迄の塾出身者のプロテスト合格者数は96名。
他に私の指導を受けた塾出身以外の者15名がプロテストに通っており、私のスウィング指導でプロになった者の総数は111名となっている。その111名への指導内容、ゴルフクラブとボールの変化に対応して変えて来たものもあれば30年間、変らなかったものもある。
子供達は私の指導の目的を知る事はなかったと思う。何故ならば目的を教えなかったからである。そして、プロテストに通った者、通らなかった者、プロを目指さなかった者全員、今も気付いてはいないであろう。

冬2月の合同練習、高い球を打てと命じた。
サンドウェッジからドライバー迄の13本、総てのクラブでだ。
塾生はそれぞれの工夫の中で高い球を打とうとした。
高い球を打とうとすれば球は曲る。右か左の片側だけではなく、左右に曲る。
体の回転、スウィング中の体重位置のズレ、そしてスウィングリズムと球捉えと振り抜きのタイミングが狂えば球は曲った。
曲げるなと命じた。
プロは目一杯の力で球は打たない、力8分、力7分で打つ。
だから曲らない、と教える人がいる。
違う。それは基本の思考が間違っている教えである。
どの力で打てば曲らないかが大事なのであって、その為の高い球を打てだった。
その力が8分の力であれば8分の力がその者の曲らぬスウィングの基本であり、7分の力で曲らなければ7分の力が基本となるのです。
高い球を打てば球は左右に曲る。その左右の曲りを抑えるには振る力のコントロールが最善の手段であった。
スウィングで曲りを正しに行っても左右の曲りを同時に正す事は出来なかった。正す手段は唯一つ、スウィングへの力の入れ様にあったのです。

シーズン始まる前、私は高い球を打たせた。
5歳の時と思うが、自転車に乗っていた時に気付いた。真っ直ぐに進むにはスピード要る事を。ゆっくりとしたスピードで進めばハンドルでバランスを取らなければならなかった。ハンドルは左右に動いた。しかし、スピードを上げれば真っ直ぐ走れた。ハンドルを左右に動かしてバランスを取る必要はなかった。
ゴルフスウィングもそうだった。
真っ直ぐ打つにはスウィングスピードが要った。
目一杯の振りを10分とすれば9分から6分の力の振りが曲らぬ球を打つ最善の手段だった。
ゴルフは己の力加減を知れば上達は早い。スウィングの型よりも力加減を知る事が大切なゲームであった。
知るには日頃の練習よりもクラブ2本、7番アイアンで9番アイアンの高さの球を打てば曲らぬ己の力加減は分るものだ。

周防灘に所属していた時、豊前ゴルフセンターが私の雨の日と夜の練習の場だった。
その日の練習の最後、私はサンドウェッジで高い球を打った。
打席の右端から右のネット越えの球を打った。
真似る人もいたが、ハンディ一桁の人が打ってもネットの半分の高さ迄しか上がらなかった。
私の球は越せた。
右ネットの右にはアプローチグリーンがあったが、そのグリーンに球は集まった。
私はシーズン始まる前の2月、高い球を打っていた。
ティーアップなしのグリーンマットからの直打ちだった。
今はネットの高さ、3分の1の球しか打てないと思う。だが、40年前、私は打てていた。
ラウンド時、私の球は曲らなかった。己のスウィングの曲らぬ力を知っていたが為である。
パーオン率は高かった。
ただ、パットが悪かった。
試合で平均パット数30を切ったラウンドはなかったと記憶する。グリーン上の失敗を怖れるビビリ屋だった。加えてパット練習は嫌いであった。研修生の時もプロになってからもだ。
下手が下手になるばかりの悪循環が生じていた。パットの練習せずにショットの練習ばかりするシーズンオフだった。
そして、練習の最後、高い球を打てば己の球を曲げぬ力が分る事を知った。

試合当日のスタート前、私は低い球を打った。
低い球を打てば右か左、いずれかに球は曲る。左右どちらにも曲る曲りはない。そして、どちらかに曲る球を正した。
その後、日頃の球の高さを打てばラウンド中の曲りは生じなかった。だから試合のない時は高い球、試合ある時は日頃よりも低い球を打った。
フェアウェイを外す事もなく、グリーン外す事もない。グリーンに乗る迄は平和な日を過した。
そこから3パットした。
4パットもあった。
イップスではない。
グリーン上が怖かっただけだ。
競技ゴルフに向く性格ではなかったと思う。
幾度も競技ゴルフを止めようと思った。幾度もだ。周防灘への退職届を書いた事もある。
ペンを持ったのは昭和58年の11月だったが、原稿料で生活出来る様になったのは昭和62年の5月、今より35年前、40歳の時だった。

貴兄は手打ちの方か。
ならば、練習の最後、まずは高い球を打て。球は右にも左にも曲る様になるであろう。最初はスライスしても、20球30球と打てば左曲りの球は生じる。
そして、どの力で打てば真っ直ぐの球が出るかを求めて行け。
そりゃ、スライス直し、簡単ではないと思うが、スウィングでの修正は努力の浪費と思う。
無駄となる努力はないと人は言うが、無駄となるばかりの努力があるから貴兄も私も悩むのである。無駄となる努力の中で人は生きて来たし、これからも生きて行くと推察する。
だから、せめてゴルフだけは無駄な努力少なき日々あればと考える。

高い球を打て。
そして左右の曲りを修正せよ。力の入れ様への工夫で修正せよ。
ラウンド前は低い球を打て。
低い球、打った後、いずれか一方の曲りを修正し、最後の3球で日頃の球の高さを打てばその日のラウンドのスウィングは出来上りだ。
人、それぞれ、色即是空、一期一会の言葉を私は好む。特に「人、それぞれ」の言葉を好む。
貴兄は努力の人だ。
だから悩む、苦しむ、悲しむ、そして己への嫌悪、絶望、諦めを覚えてもゴルフが好きだからゴルフから離れる事は出来ぬのだ。
人、それぞれです。
貴兄の努力に拍手します。
私の顔入り、名前入りのボールを送る。そのボールを思いっ切りヒッパたけ。ただ、OBだけはイヤだよ。坂田の野郎、こんな処にOB打ちやがってと思われたらイヤですからネ。
以上です。

坂田信弘

昭和22年熊本生まれ。京大中退。50年プロ合格

週刊ゴルフダイジェスト2022年2月1日号より