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【ゴルフ野性塾】Vol.1707 「ゴルフは眼の錯覚との戦い」

古閑美保、上田桃子など数多くの名選手を輩出してきた坂田塾・塾長の坂田信弘が、読者の悩みに独自の視点から答える。

女房殿が怒った。
私が浮気してる

んじゃないかと疑った時よりも怒った。
冤罪だった。
そして2021年10月28日、私は思った。ここは女房殿の意見に追随するが私の最善のスタンスであると。
下手に反対しようものなら飛び火、飛んで来るは確かだ。下手な否定は更なる怒りを生む事、疑惑の時に経験済みである。
「どうした?」
「アベノマスクですよ。私みたいな田舎のオバチャンでもチョット考えりゃ分る事なのに、あのマスクの大きさは何よ。孫の景登でも使えない大きさじゃない。誰も使ってません。うちも食品倉庫の一番上に置いてありますけどね。封を切って家の中で一度使っただけで、残りは全部倉庫入りです」
「そうなんだ。俺は見た事もないが」
「見てます。私が見せました」
オッと、危ない。
自分の首を自分で絞めに行くところだった。

「それでアベノマスクなんですけどネ、支給されなかった8000万枚、倉庫に放置してたんだって。購入も管理も税金でしょ。安倍総理が担当してた訳じゃないから安倍総理も責任感が薄い人の被害者と思うけど、税金で生活してる人、意外と馬鹿が多いんじゃないの? アー、腹が立つ。税金は人の金と思って生きてるから、こんな事が起きるのよ。億です、税金から出て行くお金」
「安倍さんも菅さんも大変だな。国民の怒り、どこ迄、背負わされるんだろうな」
「そんなもん、これから先、議員年金貰ってる間はズーッとでしょ」
「じゃあ、アベノマスクの責任取って議員年金辞退したら皆の怒り、収まるのかな」
「国会議員は有言実行が一番大切よネ。今から辞退宣言したら少しは収まるかもネ。でもやっぱり腹立つなァ。誰なのよ、倉庫に放置してた役人さんッ」
「知らん。でも、いつの間にか消える話の様な気もするが」
「消えちゃ駄目でしょ。国家財政から考えりゃ億単位のお金も微々たる金額でしょうけど、私達はお金を粗末にしちゃいけないと教わったのよ。米粒一つも大切にと教わったわ。粗末にしてませんか、国のお金をお役人さんはッ」
「確かにその通り。お前の言ってる事に間違いはない」
女房殿の声が高くなった。
「言わなきゃいけない事が言えない組織になってるんじゃないの。裸の王様ばかりになったらどうなるの、日本はッ」
「中国の植民地だな」
「それって孫の幸せになるの?」
「誰もならない」
私も絶好調。返す言葉短い程に身の危険は遠のく。
返す言葉長いと女房殿の毒針が突き刺さる。

「本当に駄目な自民党。31日の衆議院選挙、どうしてくれようぞ」
「自民党が退屈な政党でも野党はもっと退屈な政党だ。自民党以外の政党は人材不足だ」
「そうなのよネ。私、投票行くの止めようかしら」
「俺は行く。暇だし、散歩にもなるし、少しなまった体に気合を入れる歩きにもなるからな」
「そうネ。じゃあ私も行くわ。ついでに大濠公園迄歩いて、中華料理食べて帰って来ようか」
「いいな。付き合うよ」
「私が付き合うんです。私は家事と孫の相手で動き回ってますけど、あなたは運動不足でしょ」
2度目の危険だった。
しかし、凌いだ。
「今、何時だ?」
「10時5分です」
「仕事する。今日は野性塾の入稿日だ。早く入れてくれと担当が言って来た」
「そうよ。いつも締切切っての入稿だから担当の方も大変よネ。家族サービス、犠牲になってるんじゃない?」
「分った。今から書く。12時迄に入稿する」
そして匿名希望の方の質問執筆に入った次第です。

現在時10月28日午前11時37分。
一体、誰だ。使えぬマスク税金で購入し、8000万枚も倉庫で眠らせた役人さんはッ。俺の家、迷惑してるんだぞ。
危なかった。
女房の怒り、やっと静まった。
「風呂に入るでしょ。それとも先に食事するの?」
「風呂が先だ」
女房が風呂場へと向った。
女房の歩く音、遠のいて行く。
怒った時の女房殿の足音は大きい。
今少しの警戒必要だ。
体調良好です。

己の眼の癖を知るところから始めよ。

パッティングの目の錯覚の悩みです。1~2メートルのストレートラインで、ボールの後ろからスパットを見つけておきます。でも、いざ構えると、カップとスパットが直線上に並ばず、スパットが左にあるように見えてしまいます。つまり感覚的には、カップより左に打ち出さなくてはカップに向かって転がらない感じです。そのため、スパットを無視して自分の感覚で打つと、すべて右に打ち出してしまいます。塾長、この目の錯覚を消す方法はありますか。(東京都・匿名希望・56歳・ゴルフ歴31年・HC10)


己の眼の持つ癖を知ればいい。
1 椅子に座る。
2 1.5メートル先の目標に眼線を合せる。目標に正対しての眼線の合せが要る。
3 次に右手の人差し指を立て、眉間と鼻頭の位置に軽く当てる。この時、両の眼で見る目標は人差し指の右側か、左側に来ている筈だ。
4 目標が人差し指の右側に見えるのであれば、利き眼は右だ。左側に見えるのならば利き眼は左である。
5 右に見える人が左眼を閉じて右眼だけで目標を見る。この時、目標位置は変らないと思う。
6 右眼を閉じて左眼だけで目標を見る。目標は眼線の中央に見えると思う。
7 1に戻り、右人差し指を両眼の前、水平に置く。ただ、ピタッとくっ付く当て様ではなく、3センチ距離をあけてかざして貰いたい。
8 左眼だけを閉じる。人差し指は両眼で眺めていた時より上の位置に来ると思う。そして、右に少しズレている筈だ。
9 次に右眼だけを閉じる。指は右眼だけで眺めていた時より低くなり、右へズレていると思う。

ここからは私の実戦経験とジュニア塾生と進化論塾生への指導経験で申すが、人差し指を眉間と鼻頭に当てた時の右眼と左眼のズレ、大きい人はフックかスライスのいずれかを得意とする人であった。
ズレ、小さい人は得手不得手を強く持たぬ人だった。
そして人差し指を水平に置いた時、指の位置、左右上下に大きく変る人は球より離れて打った方がカップへの距離に正確さを生み、大きく変らぬ人は球に近く立って打った方が正確さを生んでいた。
青木功さんは大きく変った人であり、杉原輝雄さん、村上隆さん、中嶋常幸等は小さく変る眼線を持っていた人と思う。
指導する人は近く立てとか、遠く立てとか教えるが、その指導は己の眼癖に準じた経験指導であり、人それぞれである眼癖を知りての指導ではなかったと思う。
まずは己の眼の癖を知りてのその後の対応となるが、文章での対応手段説明は理解し難いと考える。
故に本稿では己の眼癖を知って貰う手段だけを述べ、その後についてはイラスト入りの解説の機会を持つ事にします。

2020年、コロナは私に多くの時間を与えた。
己の過去に戻り、これから先を求め行く時間も生れた。
経験と理論の一致が生れた。
そしてこの眼癖を如何に生かすべきかを考えた。
人は皆、人それぞれとゆう認識、今少し強く持っていれば40年前、30年前に気付いた事と思うが、人それぞれの認識、強く持つ様になったのはこの10年であり、人差し指を眼の前で立てて眺めるか、横にして眺めるかで己の適性と対応が見つかる事に気付いたのは1年前である。
それもコロナが与えし時間なければ気付かなかったと思う。
イラストが要ります。
文章だけの説明には忍耐力が要りましょう。やはり図解は必要だ。機会あればと思いてリード執筆に移ります。

坂田信弘

昭和22年熊本生まれ。京大中退。50年プロ合格

週刊ゴルフダイジェスト2021年11月16日号より